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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1888/1927

第1878話、地底シェイプシフターの反撃


「発射!」


 ドレッドノートⅡ級戦艦4隻による魔導放射砲攻撃は円盤都市に直撃する。表面から内部に侵食しつつあったシェイプシフターごと巨大なる都市が破壊される。


「都市を魔導放射砲で吹き飛ばす日が来るとはな」


 第一群指揮官のタウロ中将は、思わず呟いた。

 敵の大群を一撃で粉砕する魔導放射砲。この兵器は、ジン・アミウールのバニシング・レイを再現したものであり、戦場では多くの敵を葬ってきた。

 しかしこれを扱うシーパング同盟軍人は、人が住む町や村にこれらの大破壊兵器を用いることはないと教わる。

 だから、見慣れない形とはいえ、一応町である円盤都市に対して魔導放射砲を使うことは、熟練の将校であるタウロはいささか躊躇いをおぼえるのであった。


「目標、墜落します!」

「うむ」


 円盤都市の残骸が地面に向かって落下していく。重力に従うままの落下は、都市を浮遊させていた装置の崩壊を物語っていた。中枢が魔導放射砲によって破壊され、町を喰らっていた黒い塊もまた消滅したと思われる。


「まずは、一つか」


 他部隊も同様に初期の目標を叩いていたら、残す目標は二つとなるわけだが。

 墜落した円盤都市の爆発が広がり、あれではもしシェイプシフターが残っていたとしても一緒に燃えただろうとタウロは思った。


「さすがの威力でしたな」


 参謀長が言った。


「敵の抵抗はありませんでしたが、ジン・アミウール様の仰る通りでしたら、次はこうは上手くいかないのでしょうな」

「敵も学習が早いらしい」


 タウロは表情を険しくさせる。あまりに簡単に進んだが、それは最初だけであると言われている。


「センサーに反応あり! 未確認の飛行物体群、接近!」


 観測士官が報告した。この状況で未確認機とくれば、地底シェイプシフターだろう。


「数、およそ30!」

「思ったより反撃は早そうだな」

「あちらも、こちらを敵と認識しているでしょうからな」


 参謀地は同意した。


「戦闘機を出しましょう」


 大鳳級装甲空母から、待機していたストームダガー戦闘機中隊が緊急発艦。未確認シェイプシフターの迎撃に向かう。


「全艦、対空戦闘用意!」


 全艦、対空戦闘――復唱され、第一群第一小隊各艦が主砲、対空砲をそれぞれ敵の飛来する方向に向いた。

 これらは敵が接近してきた時の備え。まず第一の攻撃は、直掩戦闘機隊から始まる。


 ストームダガーが空対空ミサイルを発射。煙を引いて飛ぶミサイルは先端のセンサーで敵を捕捉すると、そちらに向かって本体を誘導する。そして高速で敵に衝突、爆発!

 先手で8機のシェイプシフター機が炎に飲まれて、燃えながら落ちていった。シェイプシフター機は散開する。


 まとめて落とされては敵わないということなのか。ブーメランにも似た黒い機体は散開しつつも、艦隊へと接近しつつある。

 そうはさせじとストームダガーが二機ずつの編隊で敵機に挑む。ロックオン、短距離ミサイル発射!


 シェイプシフター機は急角度で旋回機動。人間を乗せていたら無理な恐ろしい機動で初撃を回避。急角度過ぎると、ミサイルのセンサーが目標を失探し、追尾できなくなる場合もある。


「やってくれるな」


 ストームダガー・パイロットは、ミサイルを躱した敵機に機首を向けて接近していた。照準の十字を黒いブーメランに合わせて、操縦桿の武装変更スイッチを親指で操作。トリガーを引く!

 二門搭載されているプラズマカノンが、青いビームを放つ。シェイプシフター機に青いプラズマ弾が吸い込まれ、ずぶずぶと貫く。翼の一部を穿ち、しかし狙いたいのはそこではなく胴体後部の――

 直後、エンジンにプラズマ弾が直撃しシェイプシフター機が爆発四散した。


「ホーク3、敵機一機撃墜!」


 小型軽量戦闘機であるストームダガー。同様の小型機であるファルケには若干スピードに劣るが、汎用性と各種性能では有力な戦闘機だ。

 先の大戦における主力量産機の座をドラケンタイプと分かち合っていったが、戦後の主力量産機は、このストームダガーである。

 もちろん戦後七年、細かな改良が施され、より使いやすく、バージョンアップがなされている。


「中々の動きだが、まだまだ――」

『ホーク8、後方につかれているぞ!』


 味方機の危機が無線機に響いた。周囲確認のついでにとっさに劣勢の味方機を探せば、ストームダガー2機の後ろに敵シェイプシフター機がついていた。


『チェック・シックス!』

『大丈夫だ! 振り切れる!』


 ストームダガーの性能に対して、敵シェイプシフター機が追いつけていない。空中戦の技能、機体性能において、シーパング同盟軍の方が上回っているようだった。


「ホーク8、注意! ミサイルだ、躱せ!」

『!?』


 シェイプシフター機がミサイル兵器を使ってきた。切り離されたそれはロケットを噴射させて、ストームダガーを追尾する。

 レーダー誘導ではない。そもそもロックオンされていないところから飛んでくるというのは、前回空中戦をやったジン・アミウールとその部隊からのレポートで読んだ。


 ホーク8は右へ急旋回。しかしミサイルはしつこく追ってきて、機体を取り巻く防御シールドに直撃。機体は何とか無事だったがシールドが大幅に削られた。二発、三発と喰らったら危ない。


「シールドがないってのも不便なもんだ」


 味方をやろうとした敵機に対して攻撃を仕掛けて撃ち落とす。仲間はやらせない。


「前情報はあったが、こりゃあマジで機械兵器の軍隊じゃないか……!」


 地底シェイプシフターと聞いて、まだ生き物のような感覚でいた同盟軍パイロットたちだったが、その認識を改める必要があった。

 大陸戦争での真・ディグラートル大帝国、スティグメ吸血鬼帝国の機械兵器に比肩する相手と考えるべき――とパイロットたちは痛感するのである。

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