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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1886/1936

第1876話、地底討伐の前に


 地底人がどうやらシェイプシフターに滅ぼされたらしい、というのが施設で発見された資料にあった。

 地底シェイプシフター軍は地底人を取り込んで数を増やして、戦力差を覆した。元々、兵器として作られたシェイプシフターに一切の慈悲もなく、地底人は最後の一人まで追い詰められ、そして滅びた。

 とまあ、日誌記録の時点では、まだ少数ながら地底人も生き残りがいたが、書き手がもう駄目だと匙を投げたところからしても、その後どうなったかは推して知るべし。


「で、ここで一つの疑問が出てくる」

「というと?」

「地底人を滅ぼした後、シェイプシフターたちはどこへ行った?」


 地底人を一掃するほどの規模に膨れ上がったシェイプシフターたち。大軍に膨れ上がった彼らは、しかし俺たちが地底に踏み入れた時、影も形もなかった。


「あの施設に残っていた奴以外、ごっそり消えていた」

「寿命?」


 ベルさんが言った。


「お前さんの姿形の杖ではどうなんだ?」

「出せるし、消せる」


 増えた分は魔力に変換する。うちのシェイプシフターたちは魔法が使えない。魔力がないはずなのに、魔力に変えてしまうとか、古の魔術師は凄い能力を杖に持たせたものだ。

 おそらくこの魔術師は、無から魔力を作り出せる魔力の錬金術師みたいな人だったのかもしれない。


「どうなのかな、ダスカ氏? 地底シェイプシフターたちは?」

「古の魔術師の段階では、地底人の研究しているシェイプシフターには寿命があったようですが……」


 古代文明研究家は、少し考えながら告げる。


「なにぶん研究の途中までしか知らないようでしたし、古代地底人もシェイプシフターの寿命延長について研究していたようですから、そちらの問題については克服しているかもしれないし、あまり進展していないかもしれない……」

「つまり、確かなことはわからないってことだな」


 ベルさんが後を引き取った


「じゃあ、寿命でくだばったかもしれないし、どこか別の場所に眠っているかもしれない。あるいはその暴走した杖ってのが消したってことも……」

「消したって……それ暴走していたと言えるのかい?」


 誰かが故意に操作しないといけないような。というかそれができるなら暴走でもないような……。


「その辺りのこともわからねえしな……。どこかに大量に眠っているとなると面倒だし、もしシェイプシフターの制御する杖が残っているとすれば、それもそれで厄介だ」

「むしろ杖が存在しているのなら、回収すべきでは?」


 ダスカ氏は言った。


「もし使えるようになれば、地底シェイプシフター軍を大人しくさせることもできるかもしれません」

「……探してみるか?」


 残っているかもわからないが。


「でも、あの施設では、それらしい杖は見つかっていないんだろう?」

「そうなのか?」


 ベルさんが首をかしげた。


「そりゃおかしくねえか? だってその杖を解析してたら、暴走したわけだ。あの施設で。じゃあ、あれはあそこになけりゃおかしいじゃねえか?」

「誰かが持ち出した……?」

「暴走を止めようとして、破壊したとか?」


 それで余計手に負えなくなって、というパターン。ダスカ氏も要領を得ない顔をしている。


「あの場にないことは確かだが、とりあえず今すぐどうこうはできないな」

「そうですね。仮に持ち出されていたとしても、その手掛かりがまったくありませんから」


 見当もつかないというやつだ。


「地底人を滅ぼしたシェイプシフターの頭数が合わない問題もある。今確認できている連中を処理した後、残敵捜索して確かめる。杖もその時だな」

「まあ、そうなるな」


 ベルさんも同意した。では、方針が定まったところで行動を開始しよう。



   ・  ・  ・



「……と、ちょっと地底の敵を廃除してくるから、これから数日は帰りは不安定になると思う」


 出撃前に帰宅。アーリィーと彼女が抱えるアリーシャに俺は告げた。可愛い可愛い末っ子ちゃん。お目々クリクリしてて可愛い。こいつ何者だって、目で俺のことをじっと見ているんだ。パパだよー、と言ってもまだ喋れないんだもんな。


「気をつけてね、ジン」

「もちろん」


 アーリィーは優しく声をかけてくれる。赤ん坊を抱いているからか、聖母様以上の慈悲深さなんだよ。

 なお――


「アリーシャを抱いていい?」

「だーめ」


 我が家の聖母様は軽くそっぽを向くと、愛娘に向き直る。


「せっかく泣きやんだところなんだよ。また泣かれたら誰があやすの?」

「俺があやすさ」

「あなたが原因で泣くかもしれないのに?」


 大丈夫さ、俺はパパだよ――は通じないのは、これまでの子育てで何度も見たからね。ぐうの音も出ねぇ……。


「あー、パパだー!」

「おとーさーん!」


 ルマとジュイエのシスターズが俺のところに突っ込んできた。よーし、抱っこしてやるぞー……っとあれあれ?

 俺の正面を避けて、ルマは俺の右足、ジュイエは左足に抱きついてきた。この子ら変化球でくるねぇ、いったいどのお兄ちゃんお姉ちゃんの入れ知恵だ?


 ドタバタと子供たちが集まってくる。おいおい、俺を押し倒すつもりか? ジョワンにユーリ! この悪ガキどもめ、ってレオナもか!


「やられたーっ」


 ごろんと背中から緩やかに倒れ込む。大はしゃぎの子供たち。アヴリルやリムネがやれやれって顔をしながらやってくる。

 ……そうとも、こういう家族との時間を守るためにも、俺は戦っているんだ。地底人の残した兵器に、地上を侵略されるわけにはいかない。

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