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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1883/1938

第1873話、迎撃戦闘


 デカい翼は抵抗が大きくなるから、スピードを出す分には不利になる。しかし一方で大きくて適切な形状であれば優れた運動能力を発揮することもある。

 とまあ、古い時代の航空機はそうだった。エンジンのパワーでぶっ飛ばすようになるとまた変わってくるが……。


 閑話休題。

 俺の視線は敵機を追う。


 シェイプシフター戦闘機は主翼が大きく印象としてはスピードより運動性を重視している印象があった。

 そしてこちらに対して、20ミリ機関砲やミサイルを撃ってくる。魔法弾系の再現は、まだできていないようだった。それも時間の問題だろうが。

 防御障壁で敵の攻撃はシャットアウト。


「ふん……。弾は形を再現しただけか」


 対魔人機用の障壁貫通弾があるのだが、地底シェイプシフターたちはまだその違いに気づいていないようだった。

 敵がそこまで把握してコピーしてきたたら障壁が貫通されて被弾なのだが、TセカンドはタイラントS系のブァイナ装甲で機体をガードしている。ここまで念入りに防御されていれば、わざと当たって敵の使用弾の解析資料を残したりもする。

 スタンプガンで照準、エンジンを狙って刹那の間に直撃。敵機は爆散!


「この方法は、どうなんだ……?」


 撃墜確実ではあるのだが、あれがシェイプシフターで構成されているとなると飛び散った破片が、元のシェイプシフターとして戻り、記録の持ち帰りや別の破片と合体しての復活もあるのではないか。

 コクピットに警報が響く。シェイプシフターミサイルが接近。こいつも初撃はシールドで防げた。


 どれほどの追尾性能があるか試してみたら、これがまたしつこい。どうもミサイル担当は自ら果てる役割とわかっているのか何がなんでもぶつかってやろうと迫ってくる。それ自体が航空機であり、体当たりするという意志を感じた。


「照準」


 胴体30ミリ機関砲で迎撃。俺の視線に照準が動き、ばらまかれた30ミリ弾がミサイルの弾頭に命中。派手に爆発四散した。

 ……追尾性能以外は普通のミサイルだ。次に狙われたら対ミサイル対策装備を試してみよう。


 シェイプシフター自体がミサイルだから、それが直接追ってきていると思うのだが、もしかしたら赤外線やレーダーを使った誘導まで再現しているかもしれない。どうせ効かないだろうと決めつけるのはよろしくない。


『おーい、ジン。遊んでいるのか?』


 ベルさんの声がした。彼の操るブラックナイト・ベルゼビュートは確実に敵機を葬っている。……でも大剣は使っていないね。切断がほぼ効果がないってわかったからかな。


「敵の情報を引き出しているんだよ」

『ほーん、そいつは結構だが、こちらは覗かれているかもしれないってことを忘れるなよ。あと倒した奴も、爆発する欠片に混じって脱出しているかもしれん。あまり手の内は見せないようにな』

「わかっているよ、ベルさん」


 さすがにベルさんも撃墜した敵から一欠片が生きて逃れているかもと勘づいていたか。

 そうだよな。シェイプシフターに情報をやるのは危険だってことは、同じシェイプシフターを使っている俺たちにはよくわかっている。

 とはいえ、情報が必要なのはこちらも同じだ。それが段々グレードアップしていくとしても、比較検証のデータ取りと思えば無駄ではあるまい。


 本気の撃墜はベルさんに任せて、こちらは戦いながら記録取りを行う。もちろん、落とせる奴は撃墜して、数減らしに貢献する。


「そのまま逃がすわけにもいかないんだよな」


 突っ込んできた敵機を回避――そしてその胴体上を蹴飛ばす。そしてマギアランチャーを戦場を迂回しそうなワスプヘリ隊に向けて発砲する。悪いな、パイロットというのは目の前の敵ばかりじゃなくて戦場全体を感じるくらいの気持ちでやるものなんだ。

 放った一撃がワスプヘリ二機をコンテナごと光に飲み込んで溶かした。さらに二機が遠回りに迂回しつつある。


「っと!」


 蹴飛ばした敵機が機体の制御を取り戻して、飛び上がってきた。こいつ、シェイプシフターである利点を活かして空中で機体形状を変えて、うまく風に乗りやがった。

 こういうことをやるシェイプシフターを生かして返すと、他の個体にもその情報を伝えて進化させる。塵も残さず消滅させないといけないやつだ。


「マギアランチャー、Bモード」


 形態変化。ランチャーをマギアブラスターモードに――ファイア!

 紅蓮の炎がシェイプシフター戦闘機をすっぽりと包み込み、跡形もなく消し飛ばした。

 これで周りの敵機は……おおかた片付いたな。ベルさん機が……うん?

 ブラックナイト・ベルゼビュートに、人型がとりついている?


「ベルさん、大丈夫かい!?」

『大丈夫だ――』


 そうはいいつつブラックナイト・ベルゼビュートの高度が下がりつつあった。


『戦闘機から魔人機型に変形しやがったんだよ。なに、大したことはない――』

「近接するな! 隙間から入ってくるぞ!」


 シェイプシフターの特徴として分離、変形し、如何なる隙間にも入り込んで有人機のコクピットに侵入、パイロットを殺すこともできる。シェイプシフターとの接触時間が長くなるほど危ない。


『心配するな、ここをこう!』


 その瞬間、ブラックナイト・ベルゼビュートが全身炎を撒き散らした。組み付いていた人型シェイプシフターが次の瞬間全身を燃え上がらせて落ちていった。……あれは地面に落ちる前に燃え尽きるだろう。


『隙間に入ろうとしたところで炎の壁で焼き払えばいいってもんよ』


 それはそう。俺も機会があったら真似しよう。


『他の敵機は?』

「五、六機が戦域を離脱したが……」


 俺はモニターでそれを確認した。


「ファルケ隊が接触した」


 秘密拠点所属のファルケ戦闘機隊が到着し、施設へと向かう地底シェイプシフターのワスプヘリに食らいついた。軽快小型戦闘機はプラズマカノンを連射しつつ、鈍重な汎用ヘリ型シェイプシフターを撃ち落としていく。

 その時、施設のシェイプシフター兵から通信が入った。資料の回収作業が終わったという。


「すぐ行く。これで時間稼ぎの必要もなくなるな。ベルさん、後退するぞ」

『了解!』


 転移で施設まで飛んで、仕事を終わらせよう。

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