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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1839/1885

第1829話、底のない穴?


「……これは、なんだろうな?」


 ディーシーのスキャンした巨大な物体、その形状を見て浮かんだのは生き物の脳。そこまで皺が浮かんでいるわけではないが、どうしてそう思ったんだろうか。


「芋か? それとも卵?」


 ベルさんはそう言った。


「嫌だぜ、また怪獣の卵とか、そういうのは」


 最近の怪獣騒動が脳裏をよぎる。ただでさえ巨大ムカデで手一杯だっていうのに、さらにそれを凌駕する巨大な化け物の登場とか御免蒙る。


「ディーシー、これは何だ?」


 魔力スキャンで形状以外にわかることは?


「何らかの装置の一部ではないか」


 戦術モニターに、もう一枚別のスキャン情報が表示される。


「この物体の下にさらに縦穴があるが、ケーブルらしきものが繋がっている」

「人工物ということか」


 ケーブルらしきものが、らしきものではなかったとしたらそうなるか。自然のそれとは考えにくい。

 ベルさんは口をへの字に曲げた。


「これはムカデ帝国が現実のものになりそうな空気だぜ」

「地底のかなり深いところにある……地底人かな?」


 スティグメ帝国の吸血鬼たちも半分地底人みたいなものだったが、ここにきてさらに深きところに文明があったりして。


「どうするよ、ジン? あれがムカデどもを支配しているんなら、バルムンクのレールガンなり魔導放射砲で吹っ飛ばすか?」

「正体がわからないからなぁ」


 俺は腕を組む。


「あれがムカデの集団を操る制御装置であったとするなら、破壊するのは待ったほうがいいな」


 制御を失った巨大ムカデがバラバラに動き出したら、それこそ対処に困る。各国境に注意勧告を出したとはいえ、同盟軍やその他の軍でも防ぎきれないのではないか。


「近くに行って、あれが何なのか確認するのが先決だろうな。もしコントロールできるなら、巨大ムカデどもを一カ所に集めることだってできるだろう」

「なるほどなぁ。それなら後始末の手間も省けるか。よし――」


 ベルさんは膝を叩いた。


「じゃ、見に行くか。オレらで行くんだろう、ジン?」

「そういうこと」


 後のフォローは分身君に任せて、不老不死の俺とベルさんで直接見に行く。


「何かあったら知らせてくれ」

「行ってらっしゃい」


 分身君とラスィアが見送る中、俺はスキャンされたマップデータを元に短距離転移。ついで飛行魔法で空中浮遊。

 巨大なる大穴。縦に深く深淵にも見える底知れぬ穴。


「この穴――」


 暗黒騎士姿のベルさんが、同じく浮遊しながら言った。


「マップでデカいことはわかっていたが、直径どれくらいだ? 300メートルくらいあるか?」

「もう少しあるな。ノイ・アーベント近くのアンバンサーの地下空洞くらいはありそうだ」


 そして下から白い大きな物体が浮かび上がってくるように見えた。例の謎物体。


『主、聞こえるか?』


 ディーシーの念話が届いた。感度良好、妨害の気配なし。


『聞こえているよ』

『こちらから確認している限りでは、壁面にムカデが数体徘徊している以外に反応はない』

『みたいだな……』


 大穴の壁をシャカシャカと動いているのが目に移った。あまり気分のいいものではないな。


『例の物体に近づいている。……表面に生き物らしきものはない』

『いったい何なのだ、主よ?』

『なんだろうね』


 卵のような形だが卵ではない。大きさは150メートルくらいというところか。アンバル級クルーザーくらいはあるが、幅があるからそれよりも遥かに大きく見える。


『降りるぞ』


 卵のような物体の表面に着地。……何だこれ。靴の底から伝わる感触は。


「金属じゃないな。どう思うベルさん?」

「硬いが金属ではないな。まるで虫系モンスターの外殻のような」


 軽くて硬い虫系モンスターの装甲。ちょっと力を入れて踏んだり蹴ったりしてもビクともしない。


「これじゃわからんな」

「一度周りを回ってみるか」


 再度浮遊し、今度はその物体の側面や底を見てみる。


「確かに下へとケーブルのようなものが伸びているな。というか、これ浮いているのか?」


 ケーブルのようなものであり、支えている柱ではないとすれば、この重量を支えているようには見えない。そうなれば、この巨大卵形の物体は浮遊していることになる。


「何なんだこりゃ?」

「ベルさんがわからないんじゃお手上げだ」

「知らん知らん。オレ様だって何でも知っているわけじゃないんだぜ」


 ぐるっと回ってみたが、特に中に入るような出入り口のようなものはなし。ケーブルっぽいものが繋がっているから機械のようでもあるんだが、まったく未知のものだ。


「アンバンサーでもないし、本当に何だこれ」


 携帯式カメラで撮影し、データを送信。これはシーパング情報局や馬東博士――クローマに調べてもらう案件かな。


『ディーシー、下のスキャンはどこまで進めた? 底についたのか?』

『こういうことはあまり言いたくないんだが、主』


 おや、ディーシーさんの口振りがどこか重いな。


『もしかしたら、その先、地底世界なのかもしれない』

『地底世界?』


 おお、何てこったい。どんどんスケールが上がっていけない。


『とにかく、広い空洞がある。広すぎてスキャンが下の地面にまで届かない。天井部分もどんどん横に広がってなお続いている。見ていないのにこういうのも何だか、本当に地下に世界があるのではないかと疑いたくなっているよ、主よ』

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ジンとベルさんの英雄時代の物語 私はこうして英雄になりました ―召喚された凡人は契約で最強魔術師になる―  こちらもブクマお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
地球空洞説は本当だったんだ…! なお異世界
地上にふりそそぐゲッター線を防ぐために地下に潜ったムカデ帝国? 地底人ならテレスドン出してくるのかな
ジンさんの居る世界、 地底世界ラ・ギアスが在るのか?
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