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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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第1763話、魔術師たちの回答


 結構待たされている。連絡艇で待機することしばし、通信は相変わらず妨害されているので、シェイプシフターを飛行型生物に変身させて、アドヴェンチャー号へ伝令をさせた。そこを経由して、シーパング情報局に報告をするのだ。


「さて、どうやら動きがあったようだぞ」


 発着場広場に駐機している連絡艇。その周りの遺跡となっている建物、その屋根伝いにネオ・ナチャーロの魔術師らが動き、配置につきつつある。


「こりゃあ、あちらさん、やる気だぜ?」


 ベルさんが舌を覗かせた。平和的な解決は無理だったか。


「こちらに仕掛けてくるとしたら、怪獣はそのまま破壊続行ということなんだろうな」


 怪獣をコントロールする術があるらしいから、それで大人しくさせるとか、解決に貢献してくれたら、ワンチャンあるかなと思ったが。


「どうやら滅亡をお望みらしい」

「だから言ったろ?」


 ベルさんは不敵に笑った。


「あいつらは、プライドだけ高い魔術師の生き残りだって」

「そんな風だから滅びたんですよね、ナチャーロ文明は」


 クルフもまた頷いた。


「排除でいいんですよね?」

「殺しにくるのなら、反撃されても文句は言えないだろう」


 連絡艇を降りよう。大した武装が搭載されているわけではないし。俺、ベルさん、クルフは艇を出る。


「気をつけてくださいよ」


 クルフが、辺りを見回し警戒する。


「彼らは武装をしていましたからね」

「それ、オレも気になった」


 ベルさんが暗黒騎士モードになる。


「あいつら魔術師のくせに、普通に兵士みたいな装備しているなって」

「おそらく魔法武器の類いなんでしょうが――」


 クルフは僅かに首をかしげた。


「奴らは、こちらが防御魔法で守りを固めていることを知っていますから、もしかするとそれを破る武器の可能性があります」

「それ、大事な指摘だぞ」


 俺は自然と眉間にしわが寄るのを感じた。こちらは防御の魔法があるから安心なんて、油断しているとあっさり刺されるかもな。

 敵は、対魔術師用の武器、防具で固めて俺たちと戦おうというのだろう。ちゃんとそういう敵にも対応できるようにしているのは感心するところだが、相手をするこちらとしては少々面倒ではある。


 まあ、魔法が使えないわけではないから、上手く使っていけばいいだろう。……とはいえ、まずは。


「一応、確認だけはしておこうか」


 武器を持ってやってきたからと言って、戦うかどうかは別だからね。……雰囲気からすると十中八九、攻撃する気満々のようだけど。

 連絡艇の前に出て、俺は拡声魔法を使う。


『答えは出たかな? 返事を聞こうか!』


 構えぇ――遮蔽や建物の屋上に潜んでいた者たちが弓を一斉に構えた。これは駄目そう。


「ベルさん、クルフ。仕掛けてきたら、わかってるね?」

「手加減はいらないだろう?」

「売られた喧嘩は買う主義なんですよねぇ」


 放てぇーっ!――ネオ・ナチャーロの魔術師たちが引き絞った弓から矢を飛ばした。

 ……ただいまを以て、明確な攻撃と見なす。


 短距離転移! 遺跡建物の屋上へ移動。直後、放たれた矢が地面に突き刺さり、そして連絡艇の前で爆発を連続して起こした。

 誤射ってレベルじゃないぞ!――と、冗談はさておき、これはもう冗談では済まされない。

 ストレージ、ウェポンラックから武器を引き出す。浮遊する剣や槍。


「行け!」


 魔力でコントロールした武器が空中を泳ぎ、ナチャーロの魔術師らの背中を貫いた。


「ぐわっ!?」

「後ろだと!?」


 転移したから見失ったんだろうね。俺だけではなく、ベルさんとクルフもまたそれぞれ短距離転移で魔術師らの裏を取り、逆襲に転じる。

 ベルさんはデスブリンガーで一刀両断。クルフは二刀流で、素早く敵に踏み込むと、こちらも一撃で一人を両断。移動と攻撃を繰り返す。デスブリンガーほどではないが、クルフの持っている剣もそれなりの大剣で、それを片手でそれぞれ振り回しているのだから、恐ろしい。


「ジン・アミウール!」


 俺のもとへ、魔術師らが加速の魔法で滑るように移動してくる。この期に及んで、魔法使ってこないんだな……。手に持っているナイフ、ショードソードなどなど。凝った飾りだが……おや、どこかで見た気がするな。


「覚悟ぉおっ!」


 ストーンスパイク。床から巨大な岩のトゲを生成。突っ込んでくる魔術師らは下からのスパイクに貫かれる。

 三人迎撃。一人が迎撃を躱して、後ろへ回り込もうとする。ストレージ――サンダーブレード。剣身に紫電が走り、俺の右手に収まる。向かってきた魔術師は、電撃の剣を剣で防いだ。


 おや、鍔迫りでも触れたら感電をする剣だが、その様子はないな。魔法効果をキャンセルする武器か。

 そこで思い出す。これマジックブレイカーか。

 魔法を破壊する武器。昔、魔法騎士学校で、どこぞのボンボンが使って悪さをしていたやつだ。……あれって、ナチャーロ文明時代の武器だったかな?


 あの武器なら防御魔法も破壊して、傷つけることもできるだろうな。ネオ・ナチャーロの魔術師らの装備は、魔法に対する防御力は高そうだが、マジックブレイカーを当てたら、その効果も破壊できたりするんだろうか。

 まあ、そんなことをしなくても――ストレージから剣を出し、そのまま側頭部に一撃。普通に物理攻撃は効くんだよな。


「魔法を使わない魔術師か……」


 効果がないと思って、マジックブレイカーで防御を破るまでは、魔法を使わないつもりなんだろうか。効かなくたって、目くらましとか使いようはあるんだがな。

 クルフもベルさんも、向かってくるナチャーロの魔術師を返り討ちにしている。


 魔術師優位な組織というわりには、こんなものなのか……? それとも魔法を使えば、もっと凄いのか?

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