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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1761/1962

第1751話、近づくもの


 名前繋がりというわけではないが、カニェーツ・ナチャーロという王妃にして予言者のことを調べる。

 ……というのをベルさんたちに任せると、俺は一度図書館を出て、アドヴェンチャー号に連絡を入れた。シーパング情報局と通話するために中継してもらうためだ。

 少し待っていたら、通信機に、情報局局長のグレーニャ・ハルが出た。


『何か成果があったのかしら?』

「どうかな。前進しているとは思う。ただ、ちょっと調べてほしいことがあってね」

『何かしら?』

「シェールィ・カニェーツについて」


 今どうなっているか聞いてみれば、グレーニャ・ハルは答えた。


『ニーヴァランカ正当軍の方では行方不明ね。シーパング同盟軍が、正当軍に対して報復攻撃を開始したから、現地はそれどころじゃないけれど』

「戦闘に巻き込まれた?」

『いいえ、あの事件以降、姿を消しているのだわ。今も探しているけれど、情報局でも足取りが掴めない』

「ふうーん、そうか……」


 マールスティル氏が死んでから、今に至るまで不明のまま……。怪しいね。師匠の殺害に関係があるんじゃないかっていう推測、関係あるどころか犯人説濃厚だ。


『で、唐突にシェールィ・カニェーツのことを聞いてきたということは、何かあったのかしら?』


 グレーニャ・ハルが問うてきた。


『まさか、ただ思い出したから聞いたってわけじゃないわよね?』


 それほど暇じゃないのよ、と怒りそうな雰囲気だったので、「ただ思い出したから」と冗談を言うのはやめておこう。


「こちらの調べ物をしていたら、カニェーツの名前が出てきたから、ちょっと気になってね」


 ということで、俺はナチャーロ文明人の予言者の話と、最後の予言者がカニェーツの名前を持つ王妃様だったということを報告する。


『単なる偶然……の可能性はあるわよね?』

「偶然にしては、ちょっと色々怪しいのが重なっているんだよね」


 だから、本当に偶然だったとしても、マールスティル氏を殺害された事件を解く鍵として、シェールィ・カニェーツのことは調べておきたい。


「殺害はともかく、その後の研究室の火事の犯人の可能性は高い。ナチャーロ文明、予言の証拠品を燃やされたと考えると、どこかしらでカニェーツ・ナチャーロと関係があるかもしれない」

『子孫?』

「可能性があるなら、調べるべきだろう」

『わかったのだわ。こちらでも重要参考人として追跡態勢を強化する。何か――』


 そこで通信機がノイズを拾った。というかグレーニャ・ハルの声が聞こえなくなった。


「ハル? 局長? ――アドヴェンチャー号」


 通信を中継しているアドヴェンチャー号の方で何かあったか確認する。機にはシェイプシフターがいるが――


『マスター、遠距離通信が妨害されているようです』

「妨害だって……?」


 どういうことだ? 魔力式通信に妨害って。


『何かフィールドのようなもので遮断されたようです。この都市の周囲にのみ影響しています』

「警戒しろ。どうやら歓迎したくない奴が現れたかもしれない」

『了解』

「ディーシー、聞こえるか?」


 俺は周囲に視線を走らせつつ、念話で呼びかける。


『どうしたのだ、主?』

「この都市に魔力を通さない結界のようなものを張られたみたいだ。もう一度魔力スキャンをかけろ」


 侵入者かもしれない。どこの何者か知らないが、通信を遮断してきたところからして、たまたま遺跡を見つけた探索者ではないだろう。

 図書館からベルさんが出てきた。


「敵か?」

「可能性は高い」

「フン……」


 ベルさんも周囲を窺う。ディーシー――ダンジョンコアほどの広範囲スキャンには及ばないが、精度の高い魔力スキャンができる。それ以外にも、独特の嗅覚のようなもので、敵意をキャッチする。


『主よ』


 おっと、ディーシーさんが全体スキャンを終えたようだ。


『反応なしだ』


 反応なし。つまり異常なし――


『だが先のスキャンで確認した生き物の数が減っている区画がある』

「どういうことだ?」


 最初のスキャンの時に確認した生き物の数を覚えて、その違いに気づいたってことか?


『また、1体消えた。主、これは推測だが、魔力スキャンを回避できる何かがいる。それが針路上にいる生き物を無視できず、排除しながら進んでいるようだ』


 なるほどね。生き物が連続死というのも奇妙な話だ。クローキングアイテムを持った何者かが、障害を排除していると考えれば、この不自然な消滅ももっともらしく聞こえるというわけか。


「その不自然なロストは、こっちに近づいているか?」

『おそらく。何せ、『それ』が何かこちらから観測できていないからな』


 オーケー、相手の正体を確かめたいところだが、魔力スキャンを逃れる一方で、姿が見えるという保証もないからな。目視でも見えない場合を想定すれば、外で見張るのは危険だ。


「ベルさん、何かわかるか?」

「いや、まだわからんな。もう少し近づいてくれば、もしかしたら」

「図書館の中に戻ろう。『それ』が俺たちを追っているなら、向こうからやってくるだろうさ」


 待ち伏せしてやる。もし俺たちが目的でないなら、ディーシーのスキャンで、この都市にいる地下生物の反応が消え続けていけばわかるだろう。


「なあ、ジン、何だと思う?」

「この都市に棲む肉食獣……という可能性は低いよな」


 魔力スキャンが効かない生物かもと思ったが、それが現れる前に、都市の外との魔力通信を遮ったことを考え合わせると、人間か、それに準ずる知的生命体だろう。


「ここを知られたらマズい者……」


 もしかして、シェールィ・カニェーツか、その関係者か?

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