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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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第1577話、ノイマン博士の超兵器


 ノイマン博士の復讐装置であるシックスフッド――本人のコピーがそう言っているんだから、その名前でいいだろう。

 超巨大六脚兵器が、真・大帝国帝都の下、クレバス内を歩行する。


『私が慈悲をかけたのに、この世界の人間には届かなかったようだ……』


 シックスフッドからノイマン博士のコピーが声を発した。


『大帝国ではないにしろ、私の邪魔をするというなら、排除するしかないねぇ』

「爆発を止めてくれるなら、こっちも攻撃はしないさ」


 俺はタイラントSで、シックスフッドへダイブする。


「あんたの言った制限時間じゃ、うちの軍を撤退するに足りないからね!」

『タイマーが仇になったということか……。でもまあ私は復讐装置を止めるつもりはないからね。止めたければ、このシックスフッドを機能停止にすることだね』


 おや、これはご親切に。ディーシーにスキャンさせて消滅爆弾とやらを確かめようと思ったが。まあ、時間稼ぎの出任せかもしれないから、ディーシーにチェックはしてもらおう。

 それまでは――


「お言葉に甘えて、止めさせてもらう!」


 嫌な予感がして確認しにきてよかった。やらなきゃ、帝都攻略部隊が、突然の爆発で壊滅するところだった。

 とはいえ、こいつをどう叩くか。この図体だ。まさか紙装甲なんてことはないだろう。魔人機サイズの武装が通用するとは思えないが。

 そもそも、こいつより小さいフォースフッドの時点で、ほぼ無敵の防御を持っていた。まさかそれより弱いなんてことはあるまいよ。


『せんせ、このデカブツを破壊する方向でいいんだよな!?』


 グレーニャ・エルが確認してくる。


「そのはずだがな。問題は、こっちの武装が効くかどうかなんだ」


 シックスフッドの至るところから銃座が覗くと、こちらに向かって火を噴いた。艦船並みの巨体だ。そりゃ小型ですばしっこい敵相手の対空砲も複数積んでいるだろう。


「なかなか激しい弾幕だ」

『当たらないよ、こんくらいじゃあさあ!』


 グレーニャ・エルのセア・エーアールカスタムが風のように舞う。対空砲の追尾も振り切るのは、さすが風の魔神機。しかし、他は難しいだろうな。


「エリー、距離を取れ。可能なら支援」

『了解!』


 エリザベート・クレマユーのセア・フルトゥナSには後退してもらう。ここまできて撃墜されるのも馬鹿らしい。


 さて、こういうデカくて重装甲の相手には、関節狙いがお決まりではある。古来より重鎧の隙間、ゴーレムなど、関節が他より弱いと相場が決まっている、由緒正しい戦法だ。

 ただ、フォースフッドの時も、ノイマン博士はそこをブァイナ装甲で固めて、関節への攻撃を弾く対策をしていた。他に何か備えてないよな……?


 Tドライブで、フォースフッドの脚に転移移動。巨大だけあって、剥き出しの関節部分が大きい。……こりゃ装甲材を変えて防御厚くしないとやってられないだろうな。

 俺はブァイナブレードを展開。フォースフッド退治の時のように、敵の関節に一撃。けたたましい金属音と共に、ブレードが装甲で止まる。はい、対策されてますねぇ!


「解体!」


 魔法で、部品の継ぎ目から分離させて壊す。図体がデカかろうが、ボディを支える部位が壊れれば、行動に支障が出……る?


「解体魔法が効かない……!?」


 おっと! 対空機銃がこっちに追いついて撃ってきたので距離をとって回避。


『何やら小細工をしたみたいだがね、残念だったね』


 ノイマン博士のコピーは言う。


『私がこの世界で警戒したのはね、魔法なんだ。何せそちら方面の才能がないからね』


 異世界人。俺のように魔法とは縁のない世界からの召喚者だ。俺はベルさんと知り合って魔法を習得したけど、そういうパターンはとても稀なパターンだ。


『このシックスフッドには、魔法は効かないよ』

「みたいだな」


 うーん、フォースフッドの時のようにはいかないか。


「フォースフッドには効いたんだがな」

『おや、私のフォースフッドと対戦経験があるのか。それはまた凄い偶然だ。……何故、フォースフッドには魔法が効いたか知りたそうだね? そうだろ?』


 博士は、自分の開発した品を自慢したいようだ。得意げになって、優越感に浸りたいのかもしれない。


「いや、別に」


 対空機銃をかいくぐりつつ俺は返した。どうせ、フォースフッドを開発していた時は、対マジック防御がまだ実用化していなかったとか、そういうのだろう。


『このシックスフッドは切り札なんだ。量産して前線配備される兵器に、切り札と同じものを積んだら、万が一対策されたら切り札たり得なくなる。……わかるかな?』


 なるほど。裏切る、もしくは裏切られた時用のシックスフッドだ。となれば、本来の仮想敵は真・大帝国軍。彼らの兵器開発に協力している手前、弱点を教えたくないわな。

 わざわざ教えてくれるというのは、善意ではないだろう。やれるものならやってみろ。自分の作ったものに、絶対の自信があるんだろうね。


 セア・エーアールカスタムが、大技であるエアリアルバスターをシックスフッドにぶちかましたが、やはり効かない。


『硬すぎるだろ!』


 まあ、そんな気はしていた。

 さあて、困った。こっちの武器がまるで通用しない。制限時間もあるようだから、一度戻って徹底検証している余裕はない。ここからは出たとこ勝負の思いつきで対処しないといけないってことだ。


 とりあえず、動いて攻撃して、敵の防御を探るか。設計図を検討している時間がないのは仕方ないが、案外これを維持するためにどこかの装甲が脆かったり、構造上の弱点が存在しているかもしれない。

 スタンプガンで、センサーや目となる部分を攻撃。


『おや、ピンポイントで当ててくるか。大した腕だね』


 ノイマン博士に褒められた。つまり彼を焦らせる攻撃には、ほど遠いということだ。


『補助カメラがやられたねぇ。でもメインのカメラやセンサーは、その程度で壊れないようにできているからね。無駄な努力というやつさ』


 だろうな。それら索敵に使う部位を破壊できても、それでこの巨体が吹っ飛ぶようなことにはならない。


『しかし、目障りだねぇ!』


 シックスフッドの胴体から、プラズマカノンの一撃が放たれる。こちらは回避。流れ弾がクレバスの壁を抉った。


『やはり小型の敵への対処が甘いな。まあこれは仕方のないことではあるが』


 随分と余裕でいらっしゃる。


『ジン様!』

『せんせ、どうするんだこれ!?』


 攻め手に困って、エリーとグレーニャ・エルが聞いてきた。そうねえ、どうしようねこれ。

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