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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1583/1885

第1573話、クレバス守備隊


 新帝都グラン・ディグラートル、その地下。クレバスに突っ込んで底を目指す俺と、グレーニャ・エル、エリー。

 真・大帝国の守備隊魔人機が、こちらに攻撃を仕掛けてくる。リダラシリーズの真・大帝国版。しかし、リダラシリーズは同盟軍でも使っているから、うちのとは違うとはいえ、フォルムが似ているからやりづらいんだよな。


「おっと!」


 リダラ・グリーヴの放った弾が炸裂した。グレネードランチャーだったか。こちらはスタンプガンで反撃。障壁を抜けて刹那でビームが着弾。まさに瞬殺。

 しかし、ここらで戦闘がなかったせいか、敵がわらわら集まってくるなぁ。


『ほらほら、遅いって!』


 グレーニャ・エルのセア・エーアールカスタムが疾風のごとく駆け抜け、敵機を切り裂いていく。

 風の魔神機は縦横無尽に飛び回り、それに恐怖したか、あるいは近接戦を嫌って距離を取ろうとするリダラ・グリーヴだが、そこをエリーのセア・フルトゥナSがマギアランチャーで撃ち抜く。よそ見をしているのが悪い。


 底に行くのはすぐだが、それは敵機が妨害しなければ、の話だ。


「もう少しお相手してやろうかね」


 強行して背中を撃たれるのは勘弁だからな。



  ・  ・  ・



『くそ、シーパングの一つ目! こっちへ来る!』

『なんで、こっちに来るんだよ!?』


 真・大帝国のリダラ・グリーヴの操者たちは、悲鳴じみた声を上げる。

 人型兵器である魔人機やASは、当然、顔がある。シーパング系の機体はゴーグル型がデュアルアイタイプが多い。

 そんな中、単眼(モノアイ)は、シーパング同盟機の中でも極少数、しかし圧倒的エースの機体であると、つとに有名である。


 シーパング同盟の魔人機殺し、ことマッドハンターや、噂ではかのジン・アミウールも一つ目の機体に乗っているとか。

 そんな見たら最も警戒しないといけない機体――タイラントが帝都クレバスに侵入している。真・大帝国パイロットたちが動揺するのも無理はない。


『青エルフ! あの一つ目を倒せ!』


 クローンパイロットらが操る機体を、前面に押し出す。タイラントの銃口が瞬いた時には、リダラ・グリーヴが撃ち貫かれている。

 青エルフたちの機体が、空中であることを利用して上下左右から取り囲むように距離を詰める。ソードライフルの発砲。しかし、タイラントは最低限の動きで回避すると、左手を側面から迫るリダラ・グリーヴに向け――


 目に見えない攻撃が当たり、リダラ・グリーヴがバラバラになった。遠巻きに見ていた真・大帝国操者は目を剥く。


『なんだ、今の攻撃は!? 何かしたのか!?』

『わかんないよ!』


 同僚が叫ぶ。タイラントの肩の武器が瞬時に変わり、複数のマイクロミサイルがバラまかれる。包囲しようとしていた青エルフのリダラ・グリーヴが、蜘蛛の巣に絡まるようにミサイルに捕捉され、爆発四散した。


『障壁を抜ける!?』

『当たり前だろ! シーパングの機体は対障壁武器を持ってるって言われただろ!』


 そう、敵は魔人機の防御障壁を抜ける武器を普通に使ってくる。飛び道具に対する魔人機の耐性を信用するな、と最近ではよく言われていた。


『あれが魔神機の動きか……!?』


 流れるように飛び、折り返すたびに、リダラ・グリーヴが撃墜されていく。


『まるで風の魔人機じゃないか……!』

『――テッタラ中隊、支援を頼む!』


 同じくクレバスの防衛を任せられている味方中隊機からの通信。


『こっちに風の魔人機がっ――うあっ』


 バリバリと音を立てて交信が途絶える。噂をすれば影がさす。シーパング同盟に与する風の魔人機セア・エーアールカスタムが、守備隊機を撃破したのだ。


『馬鹿言え。支援が欲しいのはこっちのほうだ!』


 タイラントに飛び込んだ青エルフのリダラ・グリーヴが、蹴飛ばされるのが見えた。

 グレネードランチャー、両肩の魔法砲を撃ちまくる。一発でもタイラントに当たれば――そう思って放たれた攻撃。しかし――


『や、やったのか……?』


 視界から敵機が消えた。爆発は見えなかったが。


『テッタラ3、後ろだ!』

『っ!?』


 振り返った瞬間、ブァイナブレードがリダラ・グリーヴを切り裂いた。Tドライブ――テレポート推進で、タイラントは瞬間移動をして距離を詰めたのだ。


『くそっ!』


 僚機が慌てて距離を取りつつ、肩の魔法砲を撃つ。接近されたら躱せない。それよりも、クレバス底にいるヘクス中隊からの支援を得られれば、何とかチャンスを作り出せるのではないか――真・大帝国パイロットは思った。


 そして、それは正しかった。

 クレバス内に設置された防空砲台が、プラズマ弾をタイラントに向けて発砲したのだ。テッタラ中隊機がほぼ撃破され、引いたからこそ砲台が発砲できるようになった。


 しかし、タイラントはあまりに速く、砲台の対空砲火も簡単に避けられ、手にあるライフルからカウンターを浴びる。


『なんてやつだ……!』


 砲台も破壊されていく。その時、コクピットに警告音が鳴り響いた。パイロットが何の警告かと見れば、強力な魔力を探知し警報を鳴らしたのだ。いわゆる魔法などの魔力性の攻撃だ。

 だが、ファイアボールでもサンダーボルトでもなくて――


『壁ぇっー!?』


 回避不能。吹き抜けた一陣の風のごとく、全体に魔力性のショックウェーブが突き抜けた。とっさに盾で防御したが、踏み潰されたようにグシャリと折れ曲がり、機体が粉々に吹き飛んでしまった。



  ・  ・  ・



 クレバスの底にも真・大帝国機があったので、全体魔法で一掃した。俺のタイラントSより下に味方がいないことが条件での一撃だ。強すぎると、味方も破壊してしまうからね。

 さて、と。


「ディーシー、テリトリー展開。ここからクティノスらがいる場所までの地面など、邪魔なものはテリトリー化したら即撤去。道を作るぞ」

『了解だ、主』


 穴を掘ったり、開けたりは面倒だ。目的地まで障害物を剥がして、大人しいクティノスらが何をやっているのか、見に行こうじゃないか。

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