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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1575/1886

第1565話、帝都攻略の進捗確認


 シーパング同盟艦隊の懐に飛び込んだフォルミードー。その巨体は、こちらにより強力な攻撃力を要求する一方、敵側も結界水晶を通過できずに膠着状態だった。


 その攻撃力という点で圧倒的であり、かつ小回りがきく戦闘機であるトロヴァオンTが飛び込んだ。

 シードリアクターの強力な魔力で増強されたプラズマカノンを、その胴体に連続して撃ち込む。戦闘機級とは思えない高火力弾に、さすがの巨体も身悶えする。


 うーん、さすがは俺の分身君。以前俺が戦ったフォルミードー戦のことを記憶して、よく動いている。

 俺の時と違って、攻撃力も跳ね上がっているんでね。さすがのフォルミードーもトロヴァオンTは嫌がっているようだった。


 連続して攻撃を浴びせている時点で、フォルミードーも結構ダメージを受けていた。さあさ、逃げ出せ。そうしたら、バニシング・レイで葬ってやるから。


 味方を巻き込まないように、必殺武器の使いどころには細心の注意を払わないといけない。撃墜と同時に近くの味方艦艇も射線の中というのが、一番よろしくないからね。


 そうこうしているうちに、分身君のトロヴァオンTは、フォルミードーの一体の片翼を砕いて、叩き落とした。

 バニシング・レイを使うまでもなく、一体撃墜か。やはり戦艦級の馬鹿火力を近くから正確に当てられれば、いかに巨大飛竜も耐えられなかったか。


 さすが空飛ぶチート、トロヴァオンT。こりゃバニシング・レイの出番はないかもな。

 地上に落ちてしまえば、もうそのフォルミードーは敵ではない。分身君が相手をするのは残り一体。


 周りの艦や航空機は、トロヴァオンTの攻撃の射線に入らないように後退しつつある。最後のフォルミードーは、自分がトロヴァオンTにまとわりつかれ始めて、何とか距離を取ろうとし始めた。


 痛いもんな。生き物だもんな。しかし、図体がデカいフォルミードーに対して、トロヴァオンTは小さく、そして速い。追い越され、回り込まれて、その対処の手が全然届かない。では振り切ろうとしても、トロヴァオンTは断然早く、そしてプラズマカノンやミサイルを浴びせられる。

 そうこうしている間に、フォルミードーは同盟艦隊から離れた。分身君は、それを逃さず、味方を巻き込まない位置に機体を回り込ませると、追尾しながら切り札を使った。


 トロヴァオンの胴体左右のエンジンの前に装備されたツインロッドから、バニシング・レイを発射。ほぼ近距離からの斉射に、直撃を受けたフォルミードーの体を消失させる。勢い余って、光が空を駆け抜けたが、当然ながらそこに味方はいない。


『フォルミードー、全滅!』


 シェイプシフター・オペレーターの報告に、俺は頷いた。分身君はその任務を果たした。


「トロヴァオンTに帰還を指示」

『了解』


 過剰な攻撃力の機体であるトロヴァオンT。シードリアクターを戦闘機に載せたらどうなるか?――プロジェクト・マジックワンドの産物だが、案外出番があったな。威力があり過ぎて、使わないまま終わるかと思っていた。


 さてさて、帝都攻略戦の戦況を確認しよう。

 航空戦は継続中。真・大帝国製の戦闘機は、まだ我が同盟軍の戦闘機部隊と交戦している。ただし、こちらは、部隊をローテーションしつつ、敵航空隊を凌いでいるから、まだ余裕はある。

 艦隊は、帝都に駆けつける敵地上部隊の増援に対して艦砲射撃を敢行。敵魔人機や戦車など機甲戦力を減らし、帝都前に無数のスクラップを築いている。


 肝心の帝都攻略戦もまた、順調に部隊は進攻中。真・大帝国統合作戦本部で、魔神機が出て、そこで止められているものの、他の地域では守備側に対して数で対抗。激戦が繰り広げられているものの、着実に進んでいる。

 都市戦でも、ソードマン・スケルトンといったステルス機が、上手く活動するようになり、少しずつペースが上がってきていた。


 で、問題の統合作戦本部辺りだが、ガルダフトのバリエーションが出たあたりで出撃したベルさんのブラックナイト・ベルゼビュートが到着した。

 レオスのドゥエル・ファウストBが押しているようだったが、急激にパワーアップを始めたガルダフトに圧倒されそうになっていたから、ちょうどいいタイミングだった。あのクラスになると、ベルさんくらいでないと安心できない。


 で、もう1機、エラ・キャハ大将の搭乗機である魔神機バルティナが出てきて、こちらはグレーニャ・ハルのセア・ゲーカスタム、ペトラ・Cのセア・ピュールEと戦闘中。

 敵総大将が、魔神機に乗って登場とか、中世や源平合戦かよ、と思ったが、よくよく考えれば、俺もタイラントやトロヴァオンで出るし、クルフ・ディグラートルもメトレイ・スティグメも、皆、専用機で出撃していたな。


 元の世界の現代戦を考えれば、あり得ないことなんだけど、こっちでは将軍や王族が馬に乗って戦場にいて、いざとなれば突撃したりするのもなくはないことだ。……まあ、そんな総大将が突っ込んだりする時点で、その軍は窮地にあるってことでもあるけど。

 その常識から考えても、エラ・キャハが出てきているという状況が、新・大帝国軍の窮地(きゅうち)でもあるわけだが。


「閣下」


 ラスィアが、俺の傍にやってきた。


「戦況報告ですが――」


 俺のいる艦長席の専用端末にそれを表示させる。ふむふむ、これはまた――


「見慣れない機体だね」

「SS諜報部にあった宰相直属の部隊のものかと」

「……ああ、ガーズってやつか」


 独自活動している諜報部隊。その存在は聞いていたが、もっぱらシーパング同盟と関わりのない活動に注力している連中である。

 例の怪獣をやっつけたクティノスに似ている機体が出てきたが、あれもガーズの機体か?


 現在、5機ほどそれっぽいのが活動しているが、魔神機並に一騎当千のようで、シーパング同盟軍相手に奮闘中。交戦している部隊は、ことごとく手傷を負わされ撃退されている。……こいつらがいなければ、もっとペースが上がったのにな。


「こっちもエースをぶつけるしかないか?」

「そうかもしれません」


 ふむ……。誰をぶつけるか。威力だけで言えば、帝都の外で戦っているスーパーロボット。こちらも魔神機や、リーレの魔鎧機辺りか。


「俺も出た方がいいかな?」

「できれば総大将を出さずに済む方がいいのですが」

「総大将は、ヴァリサ女王陛下だよ」


 建前なのはわかっているけどね。


「ガーズがまだ頑張っているってことは、クルフはフィーネ・グリージスとの交渉に失敗したのかね」


 あれが、隠し子とはいえ娘であるフィーネ・グリージス宰相に、今後の見通しについて確認しに行ったのは知っている。俺としても、今回の戦いで、元親衛隊を排除して、この戦争の大筋に決着をつけるつもりだから許可した。宰相閣下は、どうするつもりか知りたかったからね。


「ちょっと、確認してみるか」


 俺は、通信端末でシェイプシフター諜報部を呼び出すと、宰相の執務室への通信回線に割り込めるようにした仕掛けを作動させるよう命じた。

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