表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1574/1898

第1564話、そして魔神機は覚醒する


『何故だ!? 何故、当たらない!?』


 ケルヴィスのガルダフト・アルトールの攻撃は、レオス・テルモンのドゥエル・ファウストBに当たらない。

 魔神機同士の戦い。その能力は操者のポテンシャルも影響する。


『魂のこもらぬ攻撃など!』


 近接格闘戦に秀でたドゥエル・ファウスト、その改良型は、中距離でも魔力のこもった拳が飛ぶ、その連打は目にも留まらない。


『魔弾拳! 多重激烈波ッ!!』


 途端に、ケルヴィスは機体を防御させて、レオスの攻撃を凌ぐ。強化された腕部はシールド以上に堅強だが、それすら軋ませ、ガルダフト・アルトールを後方へと押し込む。


『旧型魔神機のはずなのに!』

『否! 魔神機に古いも新しいもない!』


 スラスターを噴かして風のように、ガルダフト・アルトールに肉薄するドゥエル・ファウスト。その刹那の飛び蹴りに、ケルヴィスは間一髪防いだが、機体が飛ばされ、後ろのビルに激突する。


『魔神機の性能を引き出すのは己の力のみ。外見だけでなく、中身も鍛えねば、強くはなれん!』

『オレを見た目だけと言うかっ!』


 ガルダフト・アルトールが飛んだ。マギアスラスターを全開に突撃をかける。


『オレは、クルフ・ディグラートルだ!』

『しょせんは紛い物であろう? 本物のクルフは……!』


 アポリト魔法文明時代、十二騎士の同僚だったレオスである。ガルダフト・アルトールの突きを刹那で見切り、アッパーで突き上げる。


『私より強かったぞ!』


 アポリト時代は、トップクラスの実力を持つとされた最強組織に名を連ねた。その実力、経験ともに、そこらの雑兵とはわけが違う。


『くそっ、くそおっー!』

『惨めだな、クルフを名乗る操者。……しょせんお前は偽者だということだ』


 ドゥエル・ファウストは浮かび上がり、落ちてきたガルダフト・アルトールに渾身の一撃を叩き込んだ。

 外装が剥がれかけ、激しく地面に激突するガルダフト・アルトール。


『偽者じゃない……! 偽者じゃない! オレは、偽者じゃない』


 うわごとのように呟くケルヴィス。


『オレはクルフ・ディグラートルだ。まったく同じ遺伝子から作られたスーパーな存在なんだ……! 偽者じゃない』


 ドクリ、と心臓がなった。自分とは違う何かがのしかかるような、掴み掛かってくるような感覚に、ケルヴィスは目を見開く。


『あぁ、ああ。これはお前か、ガルダフト……。大皇帝の血を求めているのか』


 魔神機の精霊コアが力をくれと叫んでいるようだった。何故そう感じたかはわからない。だがこのガルダフトは、オリジナルが大皇帝クルフの専用機。それのコピーの改造機である。クルフ・ディグラートルの血に反応して、より強さを引き出そうとしているのかもしれない。


『いいぞ、ガルダフト。お前にオレの血を啜らせてやる……!』


 血管を侵食されているように、何かがきている感覚。そして自分がガルダフト・アルトールになるかのような一体感に満たされていく。


『これか……。オレはようやく魔神機を動かすという境地に至った!』


 爆発。その衝撃はガルダフト・アルトールを上空に吹き飛ばした。しかし損傷は、ケルヴィスの魔力ですぐにふさがった。操者の魔力で機体は再生する。これが魔神機の強さの一つ。

 反転。彗星のようにガルダフト・アルトールは、ドゥエル・ファウストに向かった。

 しかし、レオスはその動きを目で捉えていた。


『爆連撃!』


 鞭のようにしなり、目視も難しいほどの連続で繰り出された腕。しかしガルダフト・アルトールはそれを掻い潜り、一撃を叩き込んだ。

 今度吹き飛ばされたのは、ドゥエル・ファウストの方だった。その変化に、レオスは驚愕した。


『この速さ……! そして威力!』


 ファウストのとっさの防御。その腕部がひび割れた。すぐに魔力を注ぎ込み再生するが、駆け抜けた腕の痛みに、レオスは顔をしかめた。


 決して油断をしていたわけではない。窮鼠猫を噛む――そういったものでもないのがわかる。戦いの中で、一段、覚醒した。

 死線をくぐると、一皮剥ける者がいる。生死の境に、悟りとも開眼ともいうべき、説明の難しいがそれまでと違う何かに目覚める時がある。


 ――この男も、そうなのか……!


 レオスは警戒を強める。強者の勘が、敵――ガルダフト・アルトールの中身が一段大きくなったのを告げるのだ。


『ならば……! 次で決める!』


 向かってくるガルダフト・アルトール。ドゥエル・ファウストは腕の爪を展開。それを回転させた。


螺旋(らせん)拳! 砕け!』


 ファウストの猛回転する腕は、ガルダフト・アルトールの突き出された拳を砕き、その腕をごっそり破壊し、右胴体の一部を削った。


『仕留め損なったか!』


 だが一撃は、胴体のコクピットも近い。もしかしたら操者にも傷を負わせた可能性があった。


『そんなものか……』


 ゾクリ、とレオスは背筋が凍った。相手の操者――ケルヴィスの声に凄みが増していた。これはとても負傷した者の声ではない。完全に仕留め損なった。


 ガルダフト・アルトールの損傷が、見る間に再生する。いかに魔神機といえど、再生が速すぎた。

 だがそれだけでなく、新しい腕部は、一回り太くなった。禍々しい悪魔――ベルさんのブラックナイト・ベルゼビュートの腕のように。


『これが、力だ!』

『!?』


 ガルダフト・アルトールの剛腕。目と鼻の先。瞬時に構えを取れたのは、レオスの超反応ゆえ。


 両腕が砕けた。防御したそれは、ドゥエル・ファウストの装甲もろとも粉砕してしまったのだ。

 ただのパンチだったはずだ。その威力は目を見張るレオス。次の瞬間、ガルダフト・アルトールの蹴りが、無防備なドゥエル・ファウストを吹き飛ばした。

 ケルヴィスは歓喜する。


『素晴らしい。これが力! 圧倒的な力!』


 気分が良くなったのも(つか)の間、寒々とした、だが別の力を感じた。


『少しは楽しめそうだ……』


 漆黒の悪魔が降りてきた。いや、それはシーパング同盟の魔神機。悪魔のようなフォルムは、一度ケルヴィスは戦っている。


『お前は……!』

『久しぶりだな。お前、あの時の小僧か』


 ブラックナイト・ベルゼビュートが降臨した。

英雄魔術師はのんびり暮らしたい@コミック、第8巻発売中! ご購入よろしくお願いします!

1~7巻、発売中! コロナEXなどでも連載中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リメイク版英雄魔術師、カクヨムにて連載中!カクヨム版英雄魔術師はのんびり暮らせない

ジンとベルさんの英雄時代の物語 私はこうして英雄になりました ―召喚された凡人は契約で最強魔術師になる―  こちらもブクマお願いいたします!

小説家になろう 勝手にランキング

『英雄魔術師はのんびり暮らしたい 活躍しすぎて命を狙われたので、やり直します』
 TOブックス様から一、二巻発売!  どうぞよろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ