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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1344/1896

第1335話、無敵の装甲にも抜け道はある


 大将同士の決闘と洒落込みたいが、3人というのはどうもまとまりが悪い。


 俺はタイラントSを操り、クルフ・ディグラートルのスーパーロボット『ジェイルー』と剣を交える。


 ……何故、名前を知っているかって? クルフの奴がそう言ったからだ。


 同時に――


『このセア・ウラノスから逃げられないわよ!』


 スティグメも自身の女神型鬼神機の名前をスピーカーで名乗ってくれる。と、そんなのんびりとはしていられないがな!


 ビット兵器を展開するセア・ウラノス。それが俺と、ディグラートルのジェイルーを同時に攻撃してくる。


 俺は機体を素早く後退させ、ジェイルーは、フライングカッターを射出して、ビットの迎撃を行う。


 このまま二機で潰し合えば……なんて期待したが、セア・ウラノスは、俺のタイラントの方へ光刃を光らせて突っ込んできた。


 目の敵にしてくれちゃってまあ。


 腰部マルチウェポン変換――ワイヤーショットクロー射出! タイラントの腰部アーマーが魔力変形し、爪付きのワイヤーが左右一本ずつ放たれる。魔神機系の障壁も貫通するぞ!


 セア・ウラノスは、両腕固定の光刃でワイヤークローを弾いた。ブァイナ装甲だから、直撃を食らってもノーダメのはずなんだけど、やっぱり絡まって制限されるのを嫌がったんだろうな。


 その隙は逃がさない!


 Tトライブで加速。瞬時に俺のタイラントSは、ウラノスに肉薄。ブァイナブレードを叩きつける。


 セア・ウラノスは両腕でクロスガード。ブァイナブレードを受け止めた。――でも、そいつを待ってた!


「解体!」


 ブァイナブレードに仕込んだ解体魔法を発動。刃に触れたセア・ウラノスの両腕が、パーツごとに分解され、即時バラバラになる。


『なにぃっ!?』

「ブァイナ装甲なら、どんな攻撃も無効化できるって踏んだのか?」


 俺は追い打ちをかけるが、スティグメは慌ててセア・ウラノスを後退させた。


『馬鹿なっ! ブァイナ装甲が砕けたっ!?』

「俺もブァイナ装甲の頑丈さは知っているからね」


 Tトライブで追撃、距離を詰める。


「だから敵がそれを使ってきたら、どう突破するかも考えたわけだ!」


 一太刀。しかしセア・ウラノスは咄嗟に右脚で蹴りを入れ――否、脚を突き出すことでその脚を身代わりにした。ブレードに触れたセア・ウラノスの右脚は、解体魔法でバラバラになったが、本体は生きながらえている。


 だがこのまま……。視界の角で、敵がビットを射出した。さらにコクピットに後方警戒の警告音。俺は瞬時に右へタイラントをスライド回避。


「クルフめ……!」


 ジェイルーが、俺とスティグメをまとめて吹き飛ばそうとマギアブラスターを撃ち込んだ。奴の撃った赤い熱線が、セア・ウラノスのビットをまとめて蒸発させた。


 しかし今の横槍のせいで、スティグメに立ち直りの時間を与えてしまった。せっかく解体した両腕と右脚が、魔力再生で復元されたのだ。


 魔神機にも魔力による自己再生機能があるし、鬼神機にも装備されているんだろう。


「ふざけやがって……!」


 ジェイルーが、瞬間移動でタイラントSの背後に現れた。この真似っこ野郎! 鋼牙ブレードの一閃を短距離転移で回避。そのままジェイルーの後ろをとって、その背中を蹴り飛ばす。


 が、大して効いていないのはわかる。さすがスーパーロボット。どだい向こうは15メートル級。こっちはその三分の一程度だもんな。踏み台にはさせてもらったけど!


「邪魔すんなよな、クルフ!」


 と、ジェイルーの陰に、セア・ウラノスが入り込む。まるで俺からの視線を躱そうとしているみたいに。


『小賢しい!』


 そうやって回り込もうとするセア・ウラノスに、ジェイルーはブレードを振るう。スティグメの魂胆は、自分をタゲから外して、俺とディグラートルを戦わせようってことなんだろうが、そいつは逆効果ってもんだ。


 ジェイルーは、セア・ウラノスに攻撃を仕掛ける。……うん。


「あー、俺は邪魔しないよ、クルフ」


 決定的な機会が来るか、仕掛けられない限り、手出しは控えさせてもらおう。



  ・  ・  ・



『つーか、いい加減くだばれよなぁ、おめえはよぉ!』


 スティグメ帝国の風の鬼神機、セア・エーアールEのエルCは口汚く罵った。


 エルのコピーである吸血鬼の前にいるのは、シーパング同盟のスーパーロボット、アドウェルサ。

 10メートルにも達する大型かつ重装な機体はしかし、セア・エーアールEの猛攻で傷つき、とうとう倒れ込んだ。


『ようやく大人しくなったか。手こずらせやがって、木偶の坊が!』


 エルCは吐き捨てる。アドウェルサは両腕、両脚を失った。だがそれ意外の装甲は、まったくの無傷であり、それがエルCを苛立たせた。


 結局、ブァイナ装甲には傷ひとつつけられなかったのだ。だが、それ以外の関節や、スラスター部分などの非装甲部分を損傷させることで、ようやく動きが止まったのだ。


『どうせ、コクピットも外からじゃぶち破れないんだろ? ハッチを開いてパイロットをブチっと潰してやんよ! アハハっ』


 アドウェルサのコクピットにいたレウは、エルCの残忍な言い回しに心臓を穿かれたような痛みを感じる。ここまで、か。


 ちら、とサイドモニターを見やる。妹たちの乗る女神機――セア・ヒュドール改とセア・ゲーが、こちらも四肢を失い倒れていた。周りにいるのは黒いリダラ・タイプが数機。


 アレティとセラスは奮戦したが、あの異常に速い量産タイプ魔人機に圧倒されてしまったのだ。まだ生きているようだが、時間の問題だろう。


 ――ここまでなのか……。


 レウは最後を予感した。


 だが、天は彼らを見放さなかった。


『なーんか、三下っぽいんだよな、お前』

『あ?』


 ふって聞こえた女の声に、セア・エーアールEが頭を上げ、そして瞬時に飛び退いた。


『悪役ぶり全開じゃねーの。アタシは嫌いじゃないぜ、そういうの』


 倒れているアドウェルサの前に、新たな機体が立った。深紅のその機体――シーパング同盟の識別データに該当機体が出る。


 ――ナチャーロ魔法文明製、上級魔鎧機。


『電光ヴルカーン』


 深紅の魔鎧機ヴルカーン――異世界魔獣戦士リーレが、颯爽(さっそう)と現れた。

英雄魔術師@コミック、コロナEXにて最新話、更新されております。こちらもよろしくです。

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