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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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1331/1894

第1322話、炎と天災、そして水


 炎の鬼神機セア・ピュールEのプロクス・トゥリアを、アドウェルサは阻止した。


 パイロットであるレウは、セア・ゲーが、外から見て爆発するような損傷ではないことに安堵する。


 セラスと名を変え、兄弟姉妹たちのことを忘れてしまったアリシャ。血の繋がりはない。だがそれでも、レウにとっては、妹のひとりだ。


 ――僕は、これ以上妹や弟を死なせない!


 結界水晶防御を展開しつつ、アドウェルサは、セア・ピュールEに向かった。右手には超甲ブレード。牽制にクリエイトミサイル、発射!


『狡っこい!』


 セア・ピュールE――ペトラCは後退しながら、頭部ツインテール・ガンでミサイルを迎撃する。


 そこへ迫るアドウェルサ。


『舐めんな!』


 ピュールEのスカートユニットから、遠隔誘導兵器のフレイムカッターが射出され、目の前の人型メカに斬りかかる。


 だが、結界水晶防御が、それらのカッターを押し潰して破壊する。


『せこっ!』


 防御障壁を全力展開で、結界水晶と衝突。反動で吹っ飛ばされるセア・ピュールE。大きさだけでも2倍ほども差がある。しかしさらに追撃するスーパーロボット、アドウェルサ。


『図体がでかいからってぇ!』


 振るわれる超甲ブレードを、ピュールEは回避、そしてすれ違い、アドウェルサの後方へ回り込む。


『当たらなければ――』


 プロクス・トゥリアを展開。


『意味がないっ!』


 至近からの灼熱炎放射。直撃するアドウェルサ。攻撃のために結界水晶防御を解いたのを見計らった刹那の逆襲。しかし――


「効かなければ、意味もない!」


 ブァイナ装甲で覆われたアドウェルサに、その攻撃は効かない。

 レウは再度、超甲ブレードで斬りかかり、セア・ピュールEのプロクス・トゥリアを切断した。


『クソがよっ!』


 口汚く罵り、ペトラCのピュールEはさらに下がる。いや、離脱する。相手が悪いと判断したのだ。


 周囲はシーパング同盟、スティグメ帝国、アンバンサーが入り乱れている。この中に紛れ込み、態勢を立て直す。


 レウは、炎の鬼神機を追尾しなかった。今は損傷したセア・ゲーに乗るアリシャ――セラスのことが心配だ。


 確認してレウは目を剥く。セア・ゲーの前に青い機体があって、氷の膜を展開している。


 セア・ヒュドール改――水のSランク魔神機にして、セア・ゲーと同じ女神機。


『姉さんはやらせない』


 ヒュドール改に乗るは、レウやアリシャの妹のひとり、アレティだ。彼女の魔神機は、風の鬼神機セア・エーアールEと対峙していた。


『セア・ゲーに、セア・ヒュドールかよ……!』


 エーアールEのコクピットで、エルCは唇を舐める。


『大地に水ってか。これでペトラの火がありゃ、四大女神機、勢揃いってか?』


 そのペトラCのピュールEは、離脱してしまったのだが。


『まあ、ここで離脱しちまったら、次にまた遭遇するとも限らないんよなぁ。……じゃあ、やっぱここで仕留めておくしかないじゃん』


 鉄血親衛隊の部下たちの魔人機である、リダラ・リュコスが集まってきた。


『いいぜ、やろうぜぇ!』


 セア・エーアールEは、両手のクローを展開し、風の如く斬り込んだ。


 ・ ・ ・


 外は激戦が続いている。俺は、都市型大型戦艦『パラディソス』の司令塔を出て、タイラントSに乗った。


 DCロッドをセット、機体チェック。異常なし。


『さて、どうする、主よ』


 ディーシーが聞いてくる。


「外も気になるが、アンバンサー大要塞の制圧が先だ。そのために皆一丸となって戦っている」


 シーパング同盟艦隊は、よく持ちこたえているが、如何(いかん)せん、アンバンサー大要塞から艦艇や航空機が生成されているため、元を叩かないといつまで経っても終わらない。


「スティグメやクルフも、要塞に取りついた。こっちも急がないとな」


 俺は操縦桿を握る。タイラントのそばでは、護衛のASS-1シェイプシフターがそれぞれ動き出す。


「ディーシー、戦術リンク。上陸部隊はどうなっている?」

『シーパング、ファントムアンガー陸戦隊が先行している。入り口の敵は排除したが、中は広大なフロアになっていて、敵の大群と交戦中だ』

「やはり、そうそう簡単には進めないか」


 モニターの一部に戦況が表示される。円柱に突っ込んだ『パラディソス』は1キロほど内部を突き破ったが、その先は空洞になっていて、どうも都市のようになっているらしい。


 そこに大量のアンバンサー兵器が湧いていて、こちらの上陸部隊と交戦中。歩兵やパワードスーツを載せた上陸艇は、中央へ突入を試みたものの、要塞内部にもかかわらず躊躇(ちゅうちょ)ない対空射撃に襲われ、進撃できず、半数が撃墜され、残りはその手前で降下。載せてきた歩兵、パワードスーツ部隊を展開して、徒歩での進撃を行っているとのことだった。


「嫌だねぇ、これじゃアリとかハチの巣の中に突っ込んだ気分だ」


 俺はタイラントSを移動させ、『パラディソス』艦内を改造して作ったストロー・ロードへと出た。おお、フューリアス級やアキリース級を改装した強襲揚陸艦が、中で停船しているのが見えた。


 すでに上陸部隊を発進させた揚陸艦は、損傷や補給に帰還する機を待ち、また敵がストロー・ロードに侵入してきた時に備えて、対空砲の準備をしている。


 俺とシェイプシフター隊は、ストロー・ロードの中央を飛んで、アンバンサー大要塞を目指す。


 さすが都市型大型戦艦。内装を思いっきり弄って、一本道をこしらえたけど、外のドンパチを感じさせないほど、スムーズに通れる。


 おっと、後ろから高速で飛んでくる機体をキャッチ。こいつは――


『ジン、タクシーはいるかい?』

「よう、マッド」


 マッドハンターだ。


 ガンファルコン付き、量産型タイラントことバーバリアンⅡが猛烈な勢いで追いついてきた。……そういや、ガンファルコンを彼に預けたままで、すっかり乗り回されてしまったな。


『乗っていくか?』

「おう」


 俺はタイラントSを、ガンファルコン――バーバリアンⅡ・ヘビーアタッカーの上に着地させた。


『突入するぞ!』

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― 新着の感想 ―
[一言] 作者様、累計・1331話でございます。右から見ても1331、左から見ても1331。
[一言] マッドに機体に接続されてるガンファルコン、 アンバンサー要塞の中枢に着いたら、 コアに向けて射出されるとか?
感想一覧
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