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英雄魔術師はのんびり暮らしたい  のんびりできない異世界生活  作者: 柊遊馬
第二部

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第1046話、伏兵の襲撃


『敵艦隊、視認!』


 大帝国の魔人機リダラ・グリーヴが、高さ50メートルを超える巨木の上ギリギリを飛行している。


 空中対応型のリダラタイプ魔人機の、現代バージョン。それがリダラ・グリーヴだ。


 外観は騎士を連想させるリダラを引き継いでいるが、背中のウイングが大型化していて、空中飛行能力が強化されている。


 マクティーラ・シェードは、リダラ・グリーヴ、その指揮官機であり、将軍専用機に搭乗していた。


 指揮官には魔人機を――古来より、いざという時は指揮官も剣をとって戦うという、大帝国の伝統によって支給された機体、その改良型である。


『閣下、間もなく交戦距離ですが――』


 僚機として追従するリダラ・グリーヴのパイロット――コルセア中隊の指揮官ガンプ・ポイドン大尉の声が通信機から聞こえた。


『よろしいので? 何も閣下が危ない端を渡る必要はないのでは?』

「ここまで来て、それはないぞ、大尉」


 シェードは操縦桿を握る手に力を入れた。


「まあ、素人に毛が生えた程度しか操縦経験がないのは認める」

『……まあ、あなたはオレたちの上官だ。最低限、フォローはしますよ』

「ありがとう、ポイドン大尉」


 シェードは相好を崩す。


 このポイドンという男は、魔人機の操縦適性が高く、即席パイロットの多い大帝国の中でも上位の腕前だ。それゆえ、精鋭部隊を編成したい、という皇帝の指示で作られたシェード遊撃隊に配属された。……多少、素行や勤務態度に問題があるとしても。


 新型機が優先的に配備されるシェード遊撃隊にあって、ポイドンとその部下たちはリダラ・グリーヴもすぐに扱いこなし、今回のエルフの里遠征にも参加していた。


 ただ、彼らは、艦隊戦の場に飛び込んで一矢報いるというシェードの命知らずな作戦に同行することになるとは、思ってもみなかっただろうが。


『それにしても――』


 ポイドン大尉が不満げな声を出した。


『第二艦隊はほぼやられちまったんじゃねえか……敵艦しか見えん』

「もう少しやってくれると思っていたんだがな」


 シェードも、視界に入る空中艦艇の集団を見やり、顔をしかめた。


 戦いの全体を見ていたわけではないが、帝国艦隊は壊滅(かいめつ)し、わずかな艦艇が退却に移っているのはわかった。


 もう少し場が荒れている場面で、乱入したかったのだが――


「これは奇襲にはなり得ないな」

『上空より、敵機!』


 コルセア中隊のパイロットが叫んだ。


『十……いや二十以上!』

『ちっ、大した歓迎だ』

「大尉、対空用魔器を使用。一気に迎撃機を突破する!」

『了解、将軍。――ファーン中尉!』

『了解!』


 リダラ・グリーヴの一機が高度を数メートル高くとると、前方斜め上から向かってくる敵戦闘機部隊に、右手の魔法杖型武器を構えた。


 次の瞬間、無数の光弾がシャワーのごとく放たれた。まるで投網を投げるがごとく、数え切れないほどの光の攻撃が、戦闘機部隊を襲い、次々に撃墜していった。


 さすがは、古代文明時代の兵器である魔器(まき)だ。かつて、ヴェリラルド王国北方を攻撃した際、敵戦闘機隊を撃墜するのに大いに役立った拡散魔法弾。それがここでも火を噴いたのだ。


 後続の敵機が数機、離脱(りだつ)したが、向かってきた機の大半を吹き飛ばし、リダラ・グリーヴの通り道が開いた。


 シェードはそれを見逃さない。


「よし、各機、手近な敵艦に攻撃を開始しろ。沈めなくていい。攻撃したら一撃離脱だ!」


 シェードはリダラ・グリーヴのエンジンの出力を上げて、敵艦隊への距離を詰めた。


「ここまで一方的にやられるとはな……」


 当初の目論見としては、第二艦隊と戦って損傷(そんしょう)した敵艦艇へのトドメを刺して戦果拡大を図るつもりだった。


 対艦用の武器は積んできたものの、魔器の数は限られている。少数機でやれることなど高が知れているのだ。


『正面、敵エスコート!』

『しゃらくせぇ!』


 グリーヴの一機が魔器を使った。魔法砲以上の大魔法が光線となって、敵小型艦に直撃した。艦体に大穴が開き、火柱を噴き上げて爆発した。


『やった! 敵艦撃沈!』

『馬鹿野郎、ここまできて、小物に満足するなよ!』


 ポイドン大尉が叱咤した。


『やるぞぉ、敵を引っかき回してやれ!』



  ・  ・  ・



 敵魔人機が少数、突撃していた。


 俺は旗艦『ディアマンテ』にいて、『伊勢』『日向』から緊急発進したファルケ戦闘機が迎撃直前に撃墜されるのを見た。


「あの攻撃……!」


 俺の記憶にある。たしか、ジャルジーの北方軍の航空隊を壊滅(かいめつ)された魔器だ。


「各艦、対空戦闘、始め!」


 ディアマンテがウィリディス第二艦隊各艦に命令を飛ばす。


「まったく、大胆な敵だ……」


 艦隊戦のドサクサに紛れての襲撃とは。


「ディアマンテ、仕掛けてきたということは、強力な対艦武装を有している敵だ。各艦艇のシールドを強化しろ。ただの魔人機だと(あなど)るとやられるぞ!」

「はい、閣下」


 敵機は、あっという間に艦隊へと接近した。観測記録から、敵機の形状をモニターに映し出す。


 リダラタイプ、飛行ユニットに加え翼を持っているそれは、どうやら新型のようだ。


 そしてその新型リダラは、散開しつつ攻撃を開始した。


 まず犠牲になったのは、第八駆逐隊の駆逐艦『里風(さとかぜ)』だった。魔人機が放ったとは思えないほどの高出力兵器を食らい、艦体を貫かれ轟沈したのだ。


 やはり、魔器を持ってやがった!


 敵艦隊の掃討で、こちらの艦隊の隊列は乱れている。それぞれの艦が対空砲を打ち上げたが身軽な魔人機は、それを器用に避ける。


 ……少数で飛び込んできたが、腕利きを揃えたか。


 そうこうしているうちに、敵リダラは、手近な標的に魔器と思われる攻撃を仕掛けた。かなり距離を詰めた魔人機にとっては、航空艦艇などデカイ的も同然だろう。


『高速巡「三隈(みくま)」大破、艦首損壊!!』

『巡洋戦艦「筑波(つくば)」、機関部に直撃! 墜落中!』


 生駒(いこま)級巡洋戦艦の一隻が艦体中央から後ろを激しく爆発させながら、古代樹の森へと落ちていく。


 戦艦クラスの防御シールドを貫く威力。敵インスィー級戦艦の主砲より強力じゃないか。


「やってくれるな、敵さんも」


 楽しくなってくるじゃないか。わずかな手勢で、せいぜい数隻しか攻撃できないだろうに、よくやるよ、本当。命知らずどもに敬意を示そう!


 その時、見張り員が叫んだ。


『敵機、本艦に接近中!』

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