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怒るよー

お久しぶりです、ごめんなさい


────とりあえず、家に帰ったあたし達は、再び食卓を囲んでいる。

 雰囲気は最悪だ。というかあたしは怒っている。それもかなりだ!

 なぜかとな⁉︎


「……おい、小娘。これだけでは足りんな」


 皿を平らげた様子のゼンは相変わらず偉そうに眉をあげた。いっとくけど、それ、おやつですからね!



「久しぶりに体を動かせたら腹が減った。もっと寄越せ」


 はいでたー、俺様降臨。


「ないよ!もうね!全然ありませんからね!」


 あたしはテーブルをバンッと叩いた。その勢いで椅子の背もたれに留まっていたヨーコちゃんがフワッと浮いた。


「大体さ、いい年こいた大人がこんな堂々とドンパチやるかね!二人共箸より重い物もった事ないようなか弱い人種じゃないでしょ!あれか!強い奴を見ると血が騒ぐぜ!なんて無差別な戦い馬鹿なの!?ね、そうなの!?」



 あたしは腕を組んで鼻息荒く声を張り上げた。


「…ルーよ、何をプリプリしておる。背は伸びぬとも愛らしいではないか」



「小娘、そう苛々するな。残念な顔が更に酷い。見るに耐えん」


 

 澄まして茶を啜るサキ。優雅で美しく気品さえある。が、べつに今は背のことなんか何も言ってない。この人達椅子に座ってるのに、立ってるあたしがまだ見上げなきゃならないとか本当腹立たしいとか思ってないったら思ってない。

 傷だらけのゼン。舐めときゃ治るとか原始的な事を言っていた。ほんとに治りそうなその猛々しさを隠せと言いたい。



 つまり……何を言っても無駄だ。あたしは悟った。なんて物分かりが良いんだろ。撫で撫でしてくれよ。


「……もういいや。それよりね、決めたから」


 あたしは遠い目で半壊された家とめちゃくちゃな庭を眺めた。そう、あたしが怒りに怒りを浮かべている理由。

 家から少し離れていたはずなのに、この馬鹿者達の派手な争いのせいでなぜかマイハウスが



「「なんだ」」



 こんな時はハモるのね。仲良くおやつ食べるんだったら喧嘩なんでしないでよね!そう言ったらゼンは「浪漫だ」と言い、サキは「我は弾いただけだ」と正当防衛的な反応。なにそれ、力試しなら遠く向こうでやってよね。沸々とまた怒りが込み上げる。ついでにたんこぶが痛い。


「明日、泉を出ます!」


 あたしは決意を口にした。


 そんなあたしの力強い告白に二人共、多少は驚くかと思いきや────



「ふむ、成長を促すには良いだろう」



 我は今のままでも構わぬがとか、訳の分からない事を言って、あたしを見つめた。



「俺もそろそろ国に戻るか」




 ゼンはあたしを見ずにフンと鼻を鳴らした。



「我はまだこの泉を出る訳にはいかぬ。ルー、しばし待てと言いたいが、決意は固いようだな。この獣と一緒に行くがよい」



 サキは不快さを隠そうとせずゼンを見た。



「ちっ、初めから何もかも計算通りか。貴様ほど腹の立つ物はいないな。」



 ゼンは口元の傷口から出た赤い血を拭いながら苦々しく応える。喧嘩してた相手に、付き添えなんてサキらしくないけど、更にそれに応じる素振りをみせるゼンに益々訳が解らない。


…まあいいや。


 あたしは深いため息を隠そうとせず、ゼンを横目で見た。怪我だらけ。元々サキの指先波動砲でのダメージもあったのに、更に傷ついている。


「ゼン、とりあえず泉に入ってきて」


 あの泉は回復に優れている。あたしは仁王立ちして指差した。


「無理だな」


即答。


「なんで」


「小娘、おまえの脳みそは見た目通り小さいだろ」


 失礼だ。この俺様はたいへんに失礼だ!


「確かにな、あの泉は神気に満ちているが、俺には向かない。しかもこの傷はこれがつけたもの。アファカーンの加護を受ける泉が主の意志を無視するがない。つまり、泉に入った所で更に酷くなるのがオチだ」


 ゼンはあっさりとそう言い切った。えー!?そうなの!?思わずサキを振り返るとサキは相変わらず無表情でコクンと小さく頷いた。

 

「娘、おまえは自分の価値を知るなら本来ならこの地から出るべきではない」


 ゼンが、至極真面目な顔をしてあたしを見た。


「価値?」


 そんなものあるもんか!あほが!と怒りたくなったけど、ゼンの雰囲気でやめた。ワタシクウキヨメマスカラ。だから、黙ってゼンの話を聞くことにする。


「分からぬのだろ?アファカーンの言った通りおまえはそこそこに阿呆だ。世もしらない。しかも俺は自分の立場を考えれば、おまえを外へ出したいが、ここに閉じ込めておくべきかとも悩んでいる。それだけで稀有な存在だと誇れ。おまえはな、多分これから嫌でも世界を動かすぞ。それだけ希少だが、世間を知らなすぎる。まずは学べ。アファカーンはなぜかお前を外に出す気だからな。なぜか、いや…。この時代に生を受けたのだ。分からないでもないが、まあ、とにかくあれだ。イロイロ教えてやるから一緒にいくか」




……きくんじゃなかった。









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