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ここは聖域2

 

 今わたしの頭は脳内整理に必死だ。


 確かにここが地球とは違う常識で成り立っている事は理解している。広い宇宙だし、そのどこかひとつにこんな物語みたいな世界があっても不思議じゃないし。大体それは産まれてからずっと身近にあり過ぎた。

 ありすぎて、そんなさ、精霊島だとか聖域だとか王族御用達だとかもうそんなややこしい背景があるとは考えもしないよ。

 あと、サキはわたしの知ってる街の人とは色々規格外だけど、地味にお母さん以外の人とそんなに関わった事のないわたしにとっては、こんな人もいるんだな、って程度の感想だ。

 けど実は《アファカーン》という大層な肩書を持っていて、何百年も生きていて、……ん、何百年?サキ、あなた何歳なの!精神年齢おばさんとか言ってたわたしより遥かに若作りじゃんか!!いや、まあそれは良いわ!後で聞くわ!とにかくサキはあの破壊光線を軽く出しちゃう位には凄い。で、わたしはイクトゥスを食べたけど爆ぜてない。でもそれ多分わたしの魔力が低いからじゃないかな?魔法が使えるって言っても本当微微たるものだし。

 それよりも!



「もしかしてイクトゥスも精霊なの⁉︎」



 わたし、精霊を食べてしまったの?

 可愛い仲間達が浮かぶ。あの子達の仲間を食べてしまった、なんて。

 バクバクと心臓が煩い。自分の浅はかな行為に吐き気がした。



「イクトゥスはアファカーンの加護を受けた生物だが精霊ではない。アファカーンは何代もこの泉を好む。泉に棲息する元々は魚の一種が長い時間をかけて神気を充てられ、ただの人が食すれば体内が拒否反応を起こし、魔力を持つ者が食せば爆ぜる、そうなればわざわざ口にする必要がないだろ」



 精霊じゃ、ない?

 ゼンの言葉にはぁと強張っていた体の力が抜けていく。

 ただの魚だって命があるのだからそれを奪うのは罪なのに、大事な存在達と同じではないと聞いて急に罪悪感が薄れるわたしは勝手なのだろう。




「おまえ、その様子じゃ一般の知識もないんじゃないだろうな?ここから出たことはあるのか?」


 ゼンがやや引き気味にわたしに尋ねた。……ありますよ。多分!もうだいぶ自信ないけど!


「そりゃ、まあ、この地については知らなかったけど、この地以外にも行ったことはあるよ。お母さんがいた頃は外の世界の話もしてくれたし。人族に竜族に獣族が大陸を分けて国を築き生活しているんでしょ?わたしがよく連れて行ってもらった街は多種族が住んでいた小さな街でお城とかは見たことないけど」


 お母さんは遠い昔、起こった大戦の話もしていた。笑顔を絶やさないほんわかした母だったけどその時だけは悲しそうな顔をしていたのは忘れられない。



「母親がいるのか?ああ、確かにおまえ以外の匂いもするな。だが、薄い、」



 ゼンはなにか言いかけてやめた。

 わたしはゼンの言おうとしたことが分かって少し微笑んだ。



「うん。今はいないよ。ここにいるから」



 ドンと胸を叩いて、今度はニカっと笑ってみせた。


 ゼンは一瞬目を開くと、フッと笑ってみせた。


「俺達は力が全てだ。力を失えばその地位はすぐに取って代わる。死ねば無に還るだけ。なにも残りはしない。どの種族も誰しも皆、孤独だ。だが、そうして誰かの心に残るということが縁を繋いでゆくのだろう」


 尊大で傲慢な口調なのに、その表情は慈悲深い。きっと、この人は優しい人なのだろうと、そう思わずにはいられなかった。








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