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赤い髪の傷の人3

 


「……貴様は去れ。何度も言わすな」



 この傷の人の態度も果てしなくデカいけど、サキも態度のデカさでは負けてない。


「……ねぇ、《アファカーン》ってサキの名前?」


 傷の人は無視して、気になったからサキを見上げた。我に名は無い、って言ってたけどなー。あるならそっちを名乗ってくれれば適当に名前をつけたりしなかったよ!ほんとだよ!


「違う」


 間髪入れず否定するサキ。なるほど、違いましたか、そうですか。


「じゃあ、おやつはクッキーだね」


 気になったことも解決したことだし、帰ろう!そうしよう。


「なあ、おまえらはそれで会話が成り立つのか?さっきも思ったがな、ガキ、おまえ深く考えないにも程があるだろ。そしてこの流れであっさり帰ろうとするとはなにごとだ」


 傷の人、中々失礼なやつだ。ああ、そうか無視しちゃってごめんね?寂しかったのね?

 傷の人に向かい目を細めて口元を優しく上げる。きっとあたしは今菩薩のような笑みをしているだろう。



「……なんだ、おい。気持ち悪い顔をするな。不愉快だぞ」




 なんてやつだ!



「まあいい。とりあえずおまえは此処に住んでいる、という事でいいんだな?」


 傷の人は、腕組みをしてから少し考えるように目を細めてあたしをジロリと眺めた。


「そうだよ。産まれも育ちもこの泉だけど?」


 だったら一体なんなんだ。


「ならば、」


 肩の力を抜いて、傷の男はフフンと笑う。

 なにその妙な色気。あなた急にフェロモン垂れ流しだね。



「俺は客だ。歓迎しろ」



 え、なにそれ、頼んでるの?それとも、命令なの?











 ───────という訳で、ウチに連れて帰った、傷の人。帰り道で『小娘、俺はトロいのが一番腹が立つぞ』と言ってあたしを肩で軽々と持ち上げた。一瞬、それまで黙り込くっていたサキが眉を上げたけど、担がれた米俵のようなあたしを見て、すごい微妙な顔をした。泣ける。まあ、この人が『ガキ』から『小娘』に歩み寄りを見せた所だけ評価しようと思う。



「そういえば、あなた名前は?」



 あたしの問いに傷の人は酷く無愛想に、「ゼン様だ」 と答えた。自分に様付けすんなよ。面倒くせーよ。韓流スターか!


「おまえは全く表情に嘘がないな、興味深い」


 傷の人、ゼンは愉しそうにクッと笑う。やだ、表情に出ちゃった?


「いや、よい名ですねー」


 仕方ないから褒めておくとゼンは「偽名だ」と言った。えぇー…。


「嘘だがな」


 もうこの人なにがなんだか分からない。


 サキもこの不審者と一緒にいたくないのかどこかへふらりと行ってしまった。サキ、あたしを置いていかないで。















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