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この世界のこと

 ◇◆◇


 この地は四の大陸から成る。


 孤島や小さな島国を数えればその数は悠に百を超えるが、世界を動かせているのは主要であるその四大陸。


 地図にして真ん中の位置を占める一番大きな大陸は人類が築き上げたアッテリア。北東には三日月の形をした竜族の住むシュラン。すぐ傍、地図北には広大な森が広がる獣族の地ユード。南に椀型に広がるのは多種族が住まうノウス。


 それぞれが独自の文化を作り上げ国として栄えているのは、種族が衝突し、大戦を繰り広げた彼の時代、世を平定へ導いたとされる最も広大な大陸アッテリアの皇国トゥーリ。


 第十五代トゥーリ国王の治世の元、現在では各国とも和解の協議が成された。


 アッテリアからほぼ東のシュランとの間に挟まれた聖域と呼ばれる小さな島がある。


 森林に囲まれる様に霞みかかる広大な泉は、他者を惑わし、時に真実を告げる。よってその存在価値を畏怖する神官達は島全体に結界を張り、他者が入らぬ様に長い月日見守ってきた。年月が経過する事に、虹色を閉じ込めた銀の場所は神聖化され、現在は王族の王位継承の儀を執り行う場所でもある。



 ――――そこは大陸全土おける唯一の場所。




 そして泉の奥深くに、知られる事のない陸地があり、希少価値のある精霊族が住まい際限なく広がる緑の絨毯がある事を知る者は数少ない。









 ***


 視界が開けて、思考が開始し始めたのはいつだったか、惑う意識に視点の合わない視界で、それでも常に人の温かさを感じた。



 名前は、


 名前は、




「…ルー」



 ん?そうだったかな?



「デュア・リンラン・ルルア・ド・アンコビット・トゥーリク・レイシス」


 え、長っ!!というかどれが名!?


「ルー」



 むむ、コンパクトに略したね。グッジョブ。



 小さなツッコミを入れつつ、やっと開いた目を細める。


 体が重い。手も足も動くけど、決まった動きしか出来ない。よっこらしょっと寝返りうつのも大変だ。というか、覗き込むこのお方は誰。細かいウェーブを描く金髪に見たこともない美しいアイスブルーの目。色素の薄い肌。たわわなバスト。清廉な美貌の人。


ぼやけた視界はゆるりとクリアになる。ここはどこ?なんて、お馴染みの言葉を浮かべる前に、体が浮いて、その綺麗な人が抱き上げたのだと気付く。優しく優しく撫でられるのは心地良く。


この匂いを知ってる。


「アー」


だけど、口から出るのは甘えたような喃語で、目に映る手のひらは小さく、幼い。

目の前の優しく微笑む人はあやすように言葉を紡ぐけど理解出来ない。



歌が、静かに響く。



優しい、歌。





包まれた温もりに安心してまた眠たくなる。それは抗えなくて、揺れる視界に目を閉じた。












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