閑話1,武器商人の魔の休日
閑話です(^^)
晴也たちが異世界転移する前の話です!
東京某所、とあるマンションの一室で、ゴロゴロと床に寝転ぶとある武器商人がロシア人傭兵によって発見される。彼の周辺にはお約束のチップスと炭酸ジュースが置かれている。
「うわぁ……世界に誇るKGSC社の社長が、休日なのに昼間からゴロゴロですか?」
「うるさいですよヴェレ姉さん……僕は疲れました」
「ハルヤは社長なんですから、もっとシャキッとしてくださいね。先代様から叱られますよ?」
「いいですよもぉ……昨日は東城グループの頑固ジジイと契約成立させたし、6億プロジェクト成立の報酬として、せっかくの休日休ませて下さいよぉ……」
「ダメです、書類の山を整理してもらわないと」
「あぁ〜タモさん引退だなぁ」
「ハルヤァ……あんたって人は……」
そう言われたはため息をつくと、金髪をときながらナイフの手入れをし始めた。すると、リビングに設置されている電話がなり始める。
「ヴェレ姉さん、電話頼みます」
「はいはい……もしもしどちら様でしょうか?……はい、ハルヤですね?分かりました……ハルヤ」
電話を受けたヴェレはニヤニヤし始める。
「誰ですか?」
「ショウカちゃんからラブコールですよ?」
「切って下さい、僕はここにはいません」
「すみませんハルヤは……えっ、分かりました、では…………ハルヤ」
「何ですか?」
「偽りの愛って怖いですね」
その時、インターホンが鳴る。
『ピンポーン……ピンポーンピンポーン』
「はぁ……頭痛だ……」
『ピンポーンピンポーン……ピンピンポーンピンピピピポーン』
「………セールスはお断りでーす!」
『ピンポポポーンピンポピン……ピンポポポーンピンポピン……ピンポポーン』
「………ド○キのテーマソング?」
『ピンピンポーンピンピンポーンピンピンピンピンピンピンピンポーン。ピピピピピピピピポーーン‼︎‼︎』
「とうぅーーーーー!!!」
扉を蹴りあけ怒鳴る。
「誰ですか!?インターホンで三三七拍子とかエイトビート刻むおバカさんは!?」
晴也が視線を落とすと、そこにはツインテールのちゃきちゃきな少女が倒れていた。
「きゅう…………はっ!?ひどいよ晴也!」
「僕はひどくありません。人の家のインターホンを玩具にするあなたがいけません」
「あっそ、どうでもいいけど話があるから入れなさい!」
「嫌です、おかえり願いたいのですが」
「帰れるなら帰ってるわ!帰れない話があるから帰れないの!」
「はぁ、分かりましたよ。どうぞ」
観念したのか、晴也は少女を中に入れる。その少女、御白翔華、御白財閥のお嬢様でもあり、なぜかKGSC社の晴也の許嫁でもある。
「あ、お邪魔しますヴェレさん」
「はい、どうぞですショウカさん」
この二人、意外と仲が良かったりする。
「今回の要件は!お父様からの要望であんたとデートに行けと言われたことよ!」
「まぁまぁ、最近怒り気味では?カルシウム不足は美容にも悪いですよ?」
「このぉ!誰のせいだと思ってるのよ!」
渾身の右ストレートが晴也に繰り出されるが、晴也は難なくその拳を受け流し、煮干しを握らせる。
「殺されたい?」
「いえいえ、まだ20年は生きる予定ですよ」
「まぁいいわ。それで、このデートが成功すれば、許嫁の件も考え直してくれると言われたの!」
「ほぅ、それは良かったですね。こっちも大大大賛成ですよ。で、どこに行きます?」
「あんたが決めなさい!」
そう言った翔華は、「30分後に駅前で!」と言って部屋を出て行った。
「アクマめ……」
「ハルヤ、護衛はどうします?最近じゃ笹倉組の動きが活発ですよ?」
「そうですねぇ、ケイネスさんと祭神さんが狙撃及び観測装備でビルへ。ヴェレさんとエヴァは親子を模して近接護衛」
「わかりました。しかし、せっかくのデートなんですから楽しまないと」
「あのですねぇ、この関係は僕の父親とあちらの父親が勝手に決めた事です。本人が同意していない恋愛関係なんて、僕は嫌です。それより、僕にはヴェレ姉さんとエヴァがいますし」
「さすがハルヤ!もぅ、サイコーです!」
晴也に後ろから抱きつくヴェレ、晴也がヴェレの甘い髪の匂いを堪能していると、残りのメンバーが部屋にやって来た。
「…………と言うわけで、みなさん、今日一日頑張りましょう」
「「「うぇーい」」」
「はいはい!状況開始ですよ〜」
部屋をぞろぞろと出て行くチームたち。晴也にとって魔の休日が始まろうとする。
さてさて、デートは成功するのか……