2,平行世界に転移
「こ……ここは?」
頭を抱える晴也。何か頭にふんわりとした感覚があった。
「あ、お兄ちゃん、起きた?」
「おはようさんハルヤ」
「起きましたか社長」
目の前に妹であるエヴァこと、エヴァリーナの顔があった。どうやら、晴也はエヴァに膝枕されている。周りを見ると、先ほどまで一緒にいた仲間が全員揃って周囲を警戒していた。
「僕は何時間眠っていました?」
「我々が目を覚ましてからざっと5時間ほど……時計では今18:00です」
「社長?私たちはどうしてこんなとこに?」
「分かりません、ですが記憶にあるのは僕たちが対戦車ミサイルにやられたってことだけですね。で、あなた達のことですから、僕が寝ている間に周囲の偵察にでも行ったんでしょ?」
「さすがは社長、ちょっと見てもらいたいのがあるんです」
自分の背丈ほどはある草や、周りは木に囲まれており、どうやら森の中にいると判断した。とにかく手元にあったカバンを拾い、晴也は森の中を歩き出す。
「そうですよね……たしか僕たちはストライカーのTOWを食らって……生きてるはずがないですよ。それに、仮に生きていたとしたら、砂漠からこんな密林に移動するはずがないからね」
そう言って森を進んでいると、開けた場所に出る。そこから見えたのは、谷に作られた中規模の街だった。双眼鏡から見るに、文明レベルは中世ヨーロッパか18世紀ごろのフランスのどちらかである。なぜなら、彼らの移動手段が馬だからである。
「まーるで映画のセットですね。それともよほどの田舎か」
「どうでしょう社長?行ってみる価値がありそうでしょう?」
「そうですね。では、部隊を集合させましょう。現場を確認してあの街にコンタクトを取りに行きます。よろしいですか?」
「了解!」
もう一度集まった晴也達は、手持ちの装備を確認する。
・ハンドガン5丁「残弾:100発」
・サブマシンガン1丁「残弾:60発」
・アサルトライフル5丁「残弾:600発」
・ショットガン1丁「残弾:20発」
・スナイパーライフル2丁「残弾40発」
・マシンガン1丁「残弾:200発」
・手榴弾4発
・ナイフ4本
「あらら……」
「う〜ん……やはり心乏しいですね社長」
「問題はまだまだありますよ?これらを整備をするための整備用具がありません」
「銃身の交換も必要だな」
「前途多難ですねぇ……はぁ」
「はい社長、萎えない萎えない」
「とりあえず弾薬の確保を最優先、これから街へ行くけど、銃は肩に掛けといて下さいね。じゃあ出ぱーつ」
晴也達は先ほどの街に向けて移動を開始する。街はそこそこ発展しており、露店が立ち並ぶ賑やかなところだった。そして、しばらく歩くと巨大な煙突を持つ工房らしき建物を発見する。
「すみませーん、誰かいませんかー?」
扉をドンドン叩いて反応を待つ、数秒後、工房の扉がゆっくりと開かれる。そこから顔を出したのは、作業着姿の金髪少女だった。
「何か用ですか?」
「道に迷ってね。水か何かもらえないかな?」
「親方に聞いてきます」
金髪の髪をヘアバンドで留めた少女は、親方と呼ばれる人物を呼びに、工房の奥へと消えて行った。しばらくして、 茶色の作業服にベレー帽の髭面の男が出て来た。
「入りな」
男に手招きされ、中に入る一同。中は薄暗いが、そこには多くの機械が置かれていたのを晴也は見逃さなかった。
「見ねぇ顔だな。異国人か?」
「えぇ、たまたまこの街に立ち寄った行商人です」
「商人か、わざわざ辺境のヴェスパルまでご苦労なこった」
すると、ヴェレーリナが耳打ちしてくる。
『社長、ヴェスパルなんて聞いたことありません』
『そろそろ覚悟を決めといた方がいいですね。ここは明らかに僕たちがいた世界とは異なります』
『ようするに異世界ですか?』
「『そうなるでしょう……』あのぉ、 僕は桐山と申します。あなたのお名前は何でしょう?」
「俺はドワーフが師匠。ドーク・ベルジアンだ。この街の工房、アトリエンの長だ」
「ドワーフ……?工房?」
晴也は首を傾げる。ドワーフとはSFやファンタジーによく出てくる架空の生物だ。しかし、彼はドワーフが師匠だと言い放った。これで、過去にタイムスリップしたという仮説はなくなり、異世界にトリップしたと言う結論に辿り着く。すると、先ほどの金髪少女が人数分の水を持って来た。
「こいつはエレン、エレン・アクアス。見習い技術屋だ」
「よろしくです」
少女はペコっとお辞儀する。
「僕は桐山晴也、KGSC社の社長にして、商人です」
「私はヴェレーリナ・ノヴェツカ・ヘルバイムです」
「俺はケイネス・ホーマンス」
「私はエヴァリーナ・桐山・ライオネルだよっ!」
「自分は隅萱祭神です」
晴也達は一人ずつ自己紹介して行く。
「聞かない名前が多いな、お前達どこから来たんだ?」
「…………異世界ですかな……はは」
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