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夏生詩集

この季節が巡るたびに

作者: 夏生

芳しい花が地面に落ちると

辺りはしんと静まりかえって

これからくる寒さに身構えた


乾いた空気に晒された

手は年齢より年をとり

白い線が指先に走る


冬の前でも

寒さはじわりと本気の顔を見せていた

夜は

毛布にくるまって

身体をまるめて目を閉じた


夢かイメージか

今朝のニュース映像が浮かんで見えた


小さな公園に塗装の剥がれた木のベンチ

小さな命が置き去りにされた場所だ

無事保護されたと聞いても

ほっとしなかったのは


小さな命は

きっと記憶しているから

暗闇と寒さの中を、たった一人でいたことを

母を呼ぶために長い時間、泣き叫んだことを


この季節が巡るたびに

命に刻まれた記憶が痛み出すだろう

そのたびにぬくもりを求めるかもしれない


途方もない危惧、思うばかりの私よ

何もできないと嘆く前に

この季節が巡るたびに問い続けるのだ

途方もない危惧、命のことを


いつか届くかもしれないと

淡く安易な期待でもいいから

それでも僅かでも信じて














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