「お前を愛することはない」とゴリラに言われたので愛さなくて結構ですと言いました
掲載日:2026/09/26
「お前を愛することはない」
結婚初夜の日、夫となったゴリラにそう言われた。
夫の黒い肌、堀の深い顔、超がつくほど筋肉がついている身体が揃っている外見はまさしくゴリラだった。
「……そうですか。では、愛さなくて結構です」
そもそもゴリラなんかに愛されたくないわ。政略結婚だし、愛なんか不要よね。
ああでもなんか面と向かって言われるとムカつくわね。こいつが第一王子じゃなきゃぶん殴って骨が折れるほどボコボコにしてたわ。
「そうか。じゃあ遠慮なく愛さないよ。これは父上が決めた政略的な結婚だ。お前もそれをよく理解しているようじゃないか」
「私もそこまでバカじゃないですよ」
「……いかにもバカそうだけどな」
私は拗ねたように頬を膨らませ、第一王子はやれやれといった身ぶりを見せる。
「ところで、貴方が私を愛さない理由だけ聞いてもいいかしら?」
第一王子は嘘だろうという顔をして、答える。
「そりゃ、お前が流暢にしゃべる『本物のゴリラの令嬢』だからだよ!」
見た目はゴリラ、中身はただの人間である第一王子の悲痛たる叫びが、城中に響き渡った。




