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翌日、松田くんは学校に来た。軽い風邪だったらしい。
私が売店から帰ると、まだ開けていないチョコボールの箱を机の上で転がしていた。
「そういえば昨日、どうだったの」
「別に買ってないよ。松田くんいないのに買うわけないじゃん」
「そっか。いや昨日布団で寝ててさ、これ春田さんが明日、そういえば昨日当たったよーって何食わぬ顔で銀のエンゼル出してきたらさすがの俺も喜べないなって悩んでたんだよね」
「でも喜ばないとダメだよね、松田くんのために当ててあげたんだから」
「当たってないけどね。いやでも、そうなんだよ。俺もしそうなったら喜ばなきゃと思って、昨日家で喜ぶ練習してたもん。うわマジか! とか、マジかマジか! とか」
「マジかしか言ってないじゃん。下手すぎて演技バレバレだし」
「母さんに見つかってすごい変な顔された」
「そりゃそうだよ」
「でも良かったー、当たってなくて。やめてね、俺がいない時に買うの。春田さんが自分用に買うなら良いけど」
「だから買わないって、私要らないし。松田くんの嘘マジか聞きたくないし」
「うわマジか!」
「ほんとにやだ」
「マジかマジか!」
「ほんとにうざい」
マジかマジか言いながら包装を開ける松田くん。マジか〜〜〜、と、くちばしを上げる。
「……マジか」
「ちょっとマジ、ほんとにさ」
いい加減にしてと言おうとして松田くんの顔を見ると、くちばしを見つめながら深刻そうな顔で固まっている。
まさかと思い、松田くんのピーナッツ味を引ったくってくちばしを確認する。
「……え、金じゃん松田くん」
「金だ」
「マジで? ほんとに?」
「マジ、金、マジ」
「やったじゃん、おめでとう」
「今まで銀しか出たことなかったのに」
「こんだけ買ってたら金も出るよ」
「……やった」
徐々に嬉しさが込み上げてきたらしく、少しずつ笑顔になりながら立ち上がる松田くん。
「うわー、金だ! 初めて見た! やったー! 終わったー!」
「良かったねー! 終わりだ! やっと!」
松田くんに合わせて私も笑う。ひとしきり喜んだあと、思い出したように松田くんが言った。
「あ、そういえば春田さんのは?」
「え、私?」
別にもう関係ないけどねー、と言いながら包装を開け、くちばしを上げる。
銀のエンゼルだった。
松田くんに見られないうちに急いでくちばしを閉じる。
「あ、外れ外れ。2人とも当たるわけないじゃん」
「そっか、いやーでもなんだかんだ自分で出せて良かったー! あ、でも手伝ってくれてありがとう春田さん」
「全然全然! いやー良かったね! 解放されたー! もう食べなくて済む!」
そう言って私は、いちご味を食べないまま通学鞄に放り込んだ。




