最強キャラとは
“最強キャラ”
どんな作品だろうと必ずいるキャラ
不老不死
攻撃無効
超越者
上位存在……
などなど、作品により様々な最強がいる
今回語るのは「魔王討伐録アルカディア」というゲームのキャラだ
「魔王討伐録アルカディア」は王道のファンタジー系ゲームだ。勇者を育成し仲間を集め魔王を倒すそんなストーリーである
ストーリーの始まりは勇者とその師匠である”セラフィナ”との別れから始まる
いつか現れる魔王の対策として勇者を育てていたセラフィナそこに魔族が奇襲をかける、何とか勇者を転移魔法で逃すセラフィナだったがその後の消息は不明である
ルミエール聖教国に転移した勇者が仲間を集め師匠の仇を討つそんな話でもある
だが、勇者が旅を続けるうちにそのセラフィナの逸話を数々聞くことになる
曰く
大陸を消滅させた
たった一人で魔王を惨殺した
十万を超える魔族の軍団を消し飛ばした
神々に喧嘩を売り、勝った
数々の世界を移動できる
不老不死……
さて、コレを聞いたプレイヤーはどう思うだろうか?
簡単だろう「絶対死んでないやん」「バケモン」
そんなところだ、だがゲーム的には最初に出てくるキャラですぐに退場するだけだ
話には出てくるが今後一切ゲームには干渉してこない
さて、ではなぜ彼女は消息不明になったのか
ゲーム的には語られない話を今回は見るとしよう
―――
「師匠!早く!」
黒髪の少年
勇者の卵である”レイン”がすぐ先にいる師匠に手を伸ばす
「馬鹿者が!何故来た!」
レインの言葉に怒号で返したのは師匠と呼ばれた少女
名を”セラフィナ”という
見た目は銀髪の幼い少女だがその間から溢れる力が彼女の異常さを物語っていた
「勇者!!」
そう発したのは異形の怪物
馬のような顔だが体は人間。所々からツノや羽が生えている、ミノタウロスの馬版みたいな”魔族”
それが二体
「ぐぅ……」
セラフィナは必死に防御の魔法を張っているが所々にヒビが入ってきていた
この魔族達は勇者を殺す為に改造をされた特殊な個体並みの魔族の比ではない
バリ
ついにはセラフィナの魔法に巨大な亀裂ができた破壊されるのも時間の問題だろう
「……レイン」
セラフィナは苦しそうな表情から一転、覚悟を決めた顔をした
「達者でな」
セラフィナは防御魔法を解き、衝撃魔法により魔族を吹き飛ばす
だが、飛ばされたのはせいぜい2、3メートル
魔族達はすぐに距離を詰める
セラフィナは攻撃魔法を……放たなかった
レインの方を振り向き
「転移!」
転移魔法を放つ
「師匠!」
転移魔法は本来なら複数人でやる大魔法だ
個人でやるのはどれだけの魔法使いだろうと命に関わるほどの魔力を消耗する
コレを使えばロクに魔法を使えなくなる
つまり今この瞬間にもセラフィナの頭を潰さんと迫る魔族に対して何もできないということだ
「……」
レインが最後に見たのはいつも笑わない偉大なる師の笑顔であった
―――
「勇者ぁ」
光が消え、勇者の姿形がなくなる
そのことに魔族達は激怒していた
自らは勇者を殺す為だけに造られた存在
偉大なる魔王様に泥をつける行為
到底許される事では無い
その怒りはたった今勇者を逃した少女へと向かう
「コロス」
転移魔法、通常の魔族よりも知能が低いこの魔族でも知る大魔法
魔王ですら容易には使えない魔法を使ったのだ
消耗は激しかろう
そう思い少女の方に歩む
この怒りを憎しみを魔王様に楯突く愚か者を罰するために
その死体を勇者にでも見せたらどのような反応をするのかという好奇心から
歩み寄る
だがそんな考えも理想も叶うことはなかった
「……はぁ」
その一息だけで一体の魔族が潰れた
まるで油圧プラスにより潰された缶のようにペシャンコになった
「やっと”本編が始まったな”」
その言葉を魔族が理解することはなかった
「ん?あれ生きてる……久々に”出てきたから”出力調整ミスったか」
その瞳はこの世の全てを見透かすようであった
魔族は硬直した、例え魔王が目の前にいたとしてもここまでではなかった
ならば、目の前のコレは魔王以上の……
「んー……生かしといてもメリットないか」
瞬きの間に魔族は”消えていた”
殺した訳ではない”最初から”いない事にされたのだ
「はー……やっぱり自分の体は自分で動かすに限るな」
「分かってはいたけど、やっぱゲームの強制力には抗えなかったな」
「勇者を弟子に取るし、その勇者に対して若干恋愛感情を抱いてたし……うぇ思い出すだけでもキモい」
「まぁ、やっと自由になったんだし好きにやるか」
セラフィナはぐっと背を伸ばした
そう、この話は最強のキャラに転生した者のお話である
終わり




