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女性の少ない世界で自由気ままに生きます  作者: 戌ノ小枝
第1章 前世の目覚め編

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シェリルと美しい男2

 濃く色付く桜色。ふんわりと香る優しい花の匂いに、頬を撫でる暖かい大きな手。翡翠が私を覗いていて……。


「おはよ~」

「っわー!?」


 飛び上がり目をぱちくりとさせる。場所は庭園から少し離れた大きな木が生える場所。その大樹の木の下で私はどうやらベルシュ様に膝枕をされていたよう。え、なんで?

 最後の記憶は確か、天上の女神様にも勝る美しい笑み──だった筈なんだけど……?


「シェリちゃんいきなり倒れちゃうからびっくりしちゃった」

「えっ」

「気絶しただけみたいだったから、直ぐに起きるだろうと思ってここに。流石に意識を失った君をこの家の人間に見られたら、婚約話どころか出禁になりそうだったからね」


 ベルシュ様が申し訳無さそうに「ごめんね。でも、外傷とかは無さそうだから安心して!」と告げてくるのに呆然と頷く。恐らく、恐らくだけど……うん、私の脳が限界突破したんだ。エリオ兄様と同じ現象。う゛ぅ…どうして私はいつもこうなんだ……。イケメンの顔に弱すぎる…。

 心配そうに頬を撫でてくるベルシュ様に、頭を下げながら事の次第を話す。すると──。


「あはははは…ッ!!じゃあエリオットと会ったときも気絶したのっ?シェリちゃん可愛すぎだろ…っはは」


 大爆笑じゃん……。

 顔を真っ赤にしてお腹を抱えて笑うベルシュ様にぶすくれる。こんなことなら言うんじゃ無かった。うぅ…恥ずかしい……。


「あー…ごめんごめん。ちょっと予想外な答えでさ……。シェリちゃんが照れ屋さんなのは分かってたけどまさかそこまでとは…」

「でもエリオ兄様のお陰で慣れてきている途中なんです!もうこんな失態はしません!」

「うんうん、それが良いよ。男相手に誰にでもそんな可愛いことしてたら、勘違いする奴が蛆みたいに沸いて出てくるからね」

「うじ…」

「そ。それに気絶した君を好き勝手しようとする塵もいるだろうし」

「ごみ…」


 ベルシュ様って意外と口悪いよね……。見た目だけ見れば上品な人だけど、中身はそうでも無さそう。どちらかと言えば、乱雑で適当って感じ。ただ悪い人では無いのは、行動や言動から分かる。今だって、心配してくれているからこその言葉なのだろうし。


「なんかシェリちゃんと話してると、常に新鮮な気持ちになって楽しいや」

「それは……ありがとうございます?」


 褒められてるのかな?

 片膝を立ててこちらを見てくるベルシュ様をきょとんと見つめ返す。ザアアアと風が木々の葉を靡かせて、音を奏でる。数秒の沈黙──それを終わらせたのは……。


「ねえシェリちゃん……俺と正式に婚約しない?」

「…………こ!?」


 ベルシュ様の唐突な発言に目を見開く。そして、彼はそんな私の反応を気にせず言葉を重ねていく。


「俺、どうやら君のこと好きになっちゃったみたいなんだ」

「うぇっ!?」

「駄目かな?お前が言うなって感じだけど、こう見えて好きになったら結構一途なんだよ?」

「そ…っ…えぇ…??」

「愛してる。君の可憐な瞳を見るたびに俺の胸が熱く沸き立って、その目に映りたいと焼け焦げるように痛んで軋むんだ。その愛らしい声で、俺の名前を呼んで愛を乞うて欲しいと愚かにも願ってしまう」


 果敢無げにそう言って、甘い言葉を吐くベルシュ様に息を止める。いつの間にか目の前に来た彼は私の手を取り、甲に額を押し付けている。

 イケメンで無ければ到底許されないようなセリフの数々に顔を赤く染めた。


「好きだよ、君の愛を得る為なら俺はなんだってする。だから……俺を選んでくれ。決して後悔はさせない。この命尽きても、俺の全ては永遠に君に捧げると()()()()()()()

「ベルシュ様!?」

「こうした方が俺の本気は伝わるだろう?」


 いたずらに笑みを受かべて私を見るベルシュ様に目を丸くする。まさか、エリオ兄様のみならずベルシュ様までこんなあっさりと女神様への誓いを立てるなんて……。もしかして、血筋か?血筋なのか?

 

「わ、私は……」

「シェリちゃん。俺はね狡猾で意地汚い人間なんだ」

「え…?」

「だから欲しいものは何がなんでも手に入れる。ここで君が断っても俺は諦めないし、君の隣の席を奪う為に汚い事だってやってやる」

「!?」

「本気だよ。君の隣にいられる権利が得られるならどんなこともやる……ねえ、そんな俺のこと君は軽蔑する?」


 口調は脅しを含んでいるのに、瞳は不安そうに揺れて私をただ見つめていた。その姿が迷子になった幼子のようで───ふうっと息を吐いて仕方ないと眉を下げる。


「そんなことしなくとも、ベルシュ様が本気で私を想ってくださるのなら私はそれに応えますよ」

「!!」

「直ぐにエリオ兄様に向けるような気持ちには為れませんが……それでも、私ちょろいのでベルシュ様みたいな素敵な方が愛を伝えてくださるのなら、私もきっといつか同じ気持ちになると思います。その時は私からも女神様に誓いを立てさせてください」

「シェリちゃん…」

「ですから!あくどいことは止めてくださいね!正当法でお願いします!」


 ぎゅっとベルシュ様の手を握って言い聞かせるように言葉を放つ。数秒なにかを考えるように俯いた彼は、顔を上げると晴れやかな笑みを見せてこくりと確かに頷いた。

 元々、この婚約話に対しては前向きだったのだ。何せ信頼するエリオ兄様からの提案。彼の紹介だから最初から好印象だったし、短い間だけど関わってみて仲良くしたいなと思える人柄を彼は持っている。……決して顔で選んだわけでは無いよ?まあ確かにかなりイケメンだけど、ちゃんと内面を見てるから!


「分かった。アプローチは正面切ってやるね」

「約束ですよ?」

「もちろん。君が俺を選んでくれた以上、それを損なうような真似はしないよ。俺は馬鹿じゃないからね」


 えっへんと自信満々に言うが、怪しい…。まあ女神様に誓うくらい彼の想いが本物なのは分かっているから……うん、大丈夫でしょう。にしてもベルシュ様なんだか闇を抱えてそう…。確か家を出てるんだよね…?エリオ兄様事情があるって言ってたけど───うん、もしいつか話してくれるならちゃんと聞いてあげたいな。


 と言う訳で……。

 この度エリオ兄様というとんでも美少年のみならず、この度美女ならぬ美青年が婚約者の一人として加わったのだった。うーん、私の心臓持つかなぁ…?



◇◇◇◇


 公爵家私室。


「───へえ、それで婚約を了承したんだね」

「う、うん……」

「シェリー、紹介した僕が言うのもなんだけど……本気かい?」


 眉を顰めてそう言ったエリオ兄様に目を瞬きさせる。彼の瞳は今すぐ考え直せと告げているようで──私は思わず頬を膨らませた。


「本気です!私は、ベルシュ様を幸せにすると決めました!決して安易に婚約を受けたわけではありません!それに……」

「?」

「ベルシュ様はエリオ兄様の信頼できるお方なんですよね?……私はエリオ兄様を信頼信用しています。元々兄様が選んでくださった方なのであちらが良ければ受け入れるつもりでした。でも……ベルシュ様は、私に対して偽ること無く正面から想いを伝えてくださいました。私はそれを信じたいです」

「……はあ、そっか。うん…君を無断で連れ出したことは後で説教するとして……シェリーが決めたのなら僕もベルシューレを受け入れるよ」

「兄様!!」

「元々反対するつもりは無いしね。僕から見れば今日の態度は目に余るけど、シェリーはどちらかと言えば好感を持てたみたいだし……」


 ぐっと身体を持ち上げられて膝の上に乗せられる。ゆったりと頭を撫でる優しい手が心地良くてうっとりとするが……そうだ、と目をカッと見開く。


「ベルシュ様は大丈夫でしょうか?」

「さあ?でも父上が態々来るなんてベルシューレも想定外だっただろうね。顔が引き攣ってたよ」


 そうなのだ。あのときベルシュ様から婚約プロポーズをされて受け入れたすぐ後、お迎えがやってきた。その人はなんと……まさかのハヴァ父様!

 どうやら、ベルシュ様とのお見合いを意気揚々と見に来たらしいが……私がベルシュ様に連れられたと知るや否や、急ぎ連れ戻すため来てくれた。今は、別室にてベルシュ様に貴族令息の嗜みについて説教を行っているとか。

 ちなみに兄様はお父様に呼び止められていた為(どうやらベルシュ様が事前にエリオ兄様を引き剥がすようお願いしていたらしい──お父様なぜ了承したんですか…?)ハヴァ父様が来るまで私達のことは知らずに先程まで怒り心頭だった。

 

「ねえ、シェリー」

「はい?」

「ベルシューレだけじゃなくて、僕のことも構ってね?でないと寂しくて泣いちゃうかも」

「~~っ!! も、もちろんです!!私の方こそ、エリオ兄様が構ってくれないと泣いちゃいますから──っ!!」


 うるっと寂しげに瞼を伏せて呟くエリオ兄様の麗しさが凄まじい。なんて罪深い人なんだ…!私じゃ無かったら、あまりの美しさに息が詰まって皆死んでると思う!


「ふふ、じゃあ僕たち両想いだね」

「はい!」

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