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災厄と最悪
ー頼む夢であってくれ。
俺の名前は森下龍太。普通の高校2年生だった——あの日までは。
その朝、目覚めたときにはまだ眠気が頭を支配していた。時計の針は7時を指している。いつものように、俺は布団を跳ねのけてリビングへ向かった。洗面所から姉が出てきた。髪はまだ乱れていて、眠気を払いながらも俺に気づいて顔を上げる。
「おはよー」
返事を期待したその瞬間、姉の顔が凍りついた。
「あんた…誰?」
冷たい一言に、時間が止まったかのようだった。頭の中で何かが音を立てて崩れ落ちていく。え?俺は、俺なのに。
「冗談きついって」と笑ってごまかし、いつものようにリビングに足を運んだ。冷蔵庫からバナナとヨーグルトを取り出して食べ始めると、姉は震える手でスマホを握りしめ、何かを打ち込んでいる。
視線を交わすたびに、姉の目には不安と警戒の色が宿っていた。
「何しにきたの?」
低く鋭い声に、心臓が一瞬跳ね上がる。
「まじであんた誰?出てってよ!」
おもしろくなるとええな