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0. 謎の鏡
『この鏡』
『おかしいんだ! これは』
『ま、待て……』
『なんで……何も映らないんだ?』
ある廃墟の街の道端に落ちていた物。
"折りたたまれた白色の丸い手鏡"。
落ちていた手鏡を勝手に持ち帰った人物は怯えていた。
鏡面を何度綺麗に拭いても何故か何も映らない。恐怖を感じ、手鏡を持って家から飛び出した。
『どこかに捨てないと』
手鏡を人目のつかない場所に捨てなければ……慌てて向かったのは、遠くに一軒の廃墟の館が見える森の中。
『そ、そうだ。あの館の中に捨ててしまえばいいんだ!』
手鏡を持ったまま、森の奥に建つ廃墟の館を目指して走り出す。