07.何故か六王会議に同行することになりました
「そんなに、驚くことないだろう」
「ねえ?」
「驚きますよ!」
リンダ様とキソラ様が、不思議そうな顔をしています。
「まあ、言いふらすものでもないからね」
「それは、そうだと思いますが・・・」
素直に納得できないのは、私の心が狭いからでしょうか。
「それより、本当に六王会議に連れて行く気?」
「もちろん。そんな堅苦しいものじゃないから、大丈夫」
リンダ様の質問に、キソラ様は軽く答えます。
「そういえば、その六王会議はいつなのでしょうか」
連れていかれるのは、もう、そういうものだと受け入れました。
「あー、明日だね」
・・・今日は、何回驚けばいいのでしょうか。
隣のリンダ様に視線を向けると、ポカンと口が開いたままでした。
「・・・どうして、そんなに急なのよ」
「その方が、面白いだろう?」
・・・ああ、リンダ様、こういうところが似てしまったのですね。
「面白いだろう?じゃなくて!」
「皆とお茶するくらいの気持ちでいいんだよ。場所が変わっただけで」
「なるほど」
なるほどじゃないんですけど!?
リンダ様!そんな急に納得しないでください!
「リズ。みんな優しいから大丈夫よ」
「どうして、急にそちら側に行くんですかぁ」
「そちら側って」
苦笑されてしまいました。
「リンダ様もさっきまで、慌ててたのに・・・」
「六王会議みたいな、ちゃんとした場に出たことなかったから、驚いちゃって。それに、よく考えたら、議論に参加するわけじゃないなと」
「・・・確かに」
なんだか、私も納得してしまいます。
「リズもね、もう二人の六王とは会ってるし、私もいるから大丈夫」
そう言ってもらうと、心強いです。
※
「明日は昼前には、出発するからね。おやすみ」
キソラ様はそう言うと、私たちのいる寝室の扉を閉めました。
ベッドで横になりながら、明日はどうなるのかなと考えます。
リンダ様には、ああいう風に言ってもらいましたが、やっぱり緊張してしまいます。
「・・・今日は、ごめんね」
リンダ様の小さい声が届きました。
「いいえ。それより、キソラ様の言葉に驚きましたから」
「そうよね」とフッと笑う声が漏れました。
「明日はどうなるだろうって考えていました」
「うーん、まあ、おばあ様が言っていたとおり、お茶するくらいの感覚でいいと思うわ」
「・・・大丈夫でしょうか」
「大丈夫よ、私もいるんだから」
その後は、少しだけお話しているうちに、リンダ様の寝息が聞こえました。
私は、緊張のせいで全然、寝付けません。
妙に目が覚めちゃっています。
少し、お水をもらおうと思って、キッチンへと向かいます。
リビングから明りが漏れています。
静かに中を覗き込みます。
「なんだ、リズか。眠れないのかい」
ソファーに座っているキソラ様が、こちらを見ずに言いました。
「はい。少しお水をもらいに来ました」
「そうかい、こっち来な」
ポンポンと、キソラ様が座っている隣に誘われました。
私が座ると、「これ飲みな」とカップを渡されました。
ふんわりとした、甘い香りがするハーブティーです。
落ち着く、いい香りです。
「ハーブは、お庭で育てたものですか?」
「ああ。リンダとは違って、眠れないだろうと思ってね」
「ありがとうございます」
優しいお方です。
一口含むと、体の緊張がほぐれていくのが分かります。
「・・・今日は、すまなかったね」
キソラ様が、小さな声で謝ってきました。
つい、フフッと笑ってしまいました。
驚いた顔で、こちらを見ています。
「あ、すいません。リンダ様からも同じように、謝られたので、つい」
キソラ様が、はあーと大きなため息を着きました。
「そんなところまで、似なくてもいいのにねえ」
「私は、すてきだと思いますよ」
今度は、はぁと小さなため息でした。
「あの子から、魔女を拾ったなんて連絡が来たときは驚いたが、その子がリズで本当に良かったよ」
キソラ様に褒められたのでしょうか?
「さあ、それを飲んだらもう寝な」
キソラ様が立ち上がります。
「あの、ハーブティーありがとうございました」
「ああ、おやすみ」
そう言うと、キソラ様は部屋からでていきました。
ゆっくりとハーブティーを飲み、ベッドに入ります。
気がつくと、すでに太陽は昇り、朝になっていました。
いよいよ、六王会議です。
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