06.リンダ様のおばあ様のお家にお邪魔します
「いらっしゃい。よく来たね」
リンダ様に似ていますが、リンダ様より余裕のある雰囲気をまとっている女性が出迎えてくれました。
リンダ様のおばあ様であるキソラ様のお家には、ピクニックした場所から、歩いて15分ぐらいで着きました。
庭には、いろんな種類の植物が植えられており、丁寧にお手入れされているのが分かります。
その中に、赤い三角屋根で白塗りのお家が建っています。可愛らしいお家です。
お部屋の中は、本や触媒、雑貨であふれていますが、汚い感じではなくて、その場所に収まるべくしてあるというような、妙な綺麗さがあります。
「ほら。これも美味しいから食べな」
「あ、ありがとうございます」
革張りのソファーに、リンダ様と並んで座っていると、キソラ様が手作りであろうマフィンを勧めてきました。
美味しいです。
お店で出すと人気になることが分かるくらい、美味しいです。
後で作り方を教えてもらえないでしょうか。
「急に呼び出して、悪かったね」
「い、いえ。・・・ピクニックだけだと思っていたので、少しだけ驚きましたが」
「リンダ」
「はいぃ!」
リンダ様の情けない声が響きます。
「あたしは数日前に連絡したはずだけど?ん?あたしの勘違いかね。もうボケる歳になったってことかい?」
「い、いいえ!おばあ様は、まだまだ元気よ!」
「ならどうしてリズは驚いている?」
「そ、そのう、私が、教えていなかったから・・・。びっくりするかなあって」
「このバカ!驚くに決まっているだろ!」
「うひぃ」
キソラ様にしかられ、リンダ様が涙目になっています。
こういう姿を見るのは初めてだったので、なにか新鮮な気持ちです。
リンダ様には悪いですが。
「このバカ孫がすまなかったね」
「い、いえ。大丈夫です」
「リズ~」と泣きついてくるリンダ様をあやしながら、キソラ様とお話します。
「素敵なお家ですね」
「そうだろう?」
「はい。庭の植物も素晴らしいです。丁寧にお手入れされているのが一目で分かりました」
「よく見てるね。少し植物に詳しいやつでも、雑多な庭と勘違いするのに」
そうなんでしょうか?
詳しい人ならすぐに、気付きそうなくらい綺麗なお庭でしたけど。
「そうよ。リズはすごいの」
リンダ様が復活したようです。
「そうだね。あんたにはもったいないくらいだ」
「おばあ様には、渡しません!」
家族に接するリンダ様は、なんだか、小さい子のようで可愛いですね。
二人のやり取りを、にこにこしながら美味しいマフィンを食べていると、キソラ様が居ずまいを正しました。
「さて、ここに呼んだ理由だけど、二人を今年の六王会議に連れて行こうかなと思ってね」
その言葉に、リンダ様と私の動きが止まります。
???
どうして??
リンダ様はとにかく、私も?
六王会議は、この世界の行く末を決める、重要な会議と言われています。
私がリンダ様に拾ってもらってすぐの時に会わせてもらったテル様も、六王の一人です。
そんな会議に?私が?
「まあ、理由はいくつかあるんだけど、一番は、みんなに見せびらかしたいなって」
・・・やっぱりリンダ様のおばあ様なんだなって、実感しました。
「・・・職権乱用では?」
「いいんだよ。年長者の特権さ」
あれ?
私の理解が追い付いていなのですが、キソラ様って・・・。
「ああ、改めて自己紹介しようか。あたしの名前は、キソラ・リズデバ。リンダの祖母で、六王さね」
えええぇえええぇぇ!!!
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