05.ピクニックに出かけます
リンダ様に拾われて、半年が経ちました。
この半年で、生活リズムが安定してきました。
朝起きて、朝食を作り、リンダ様が起きて一緒に朝食を食べます。その後、洗濯と掃除をします。時間になったら、魔法の講義や訓練を受けます。
午後は、昼食を食べた後、本を読んだり疑問をまとめて次の講義に備えたりしています。必要であれば、買い出しに連れていってもらうこともあります。
洗濯物を取り込んで、夕食を作ります。一緒に食べた後、お風呂に入り、リビングでゆっくりして、ベッドに入ります。
そうです!
自分の部屋ももらいました。
リビングでいいと思っていたのですが、「それはダメ」というリンダ様の勢いに負けてしまいました。
本や魔道具も増えているので、今では、もらえて良かったと思います。
今日は、魔法の講義が終わった後、ピクニックに行く予定になっています。
なんでも、この季節にしか咲かない花が見られる場所があるらしく、研究材料として採取しに行くだけだと味気ないから、そこでランチも食べようと。
一緒に出掛けられるのは嬉しいです。
でも、なんだか、少しだけそわそわしていたのが気になりました。
緊張していたのでしょうか?
ピクニックと言えば、サンドイッチでしょう。
定番のハムチーズや卵。ボリュームのあるカツ。スイーツ系のフルーツサンドをそれぞれ、ボックスに詰めていきます。
フルーツサンドだけは、クリームが溶けないように保冷の魔法ボックスに付与します。
リュックに、ボックスと水筒を入れます。
準備が終わりました。
「行きましょうか」
「はい!」
※
「あー、気持ちいい」
リンダ様が、つばの広い帽子を抑えながら、つぶやきました。
「こんな場所、来るの初めてです!」
「そうなのね。連れてきてよかったわ」
海が見渡せる丘の上に来ました。
雲のない空が反射しているのか、海が綺麗に見えています。
丁度いい場所にあった木陰に入り、レジャーシートを広げました。
早速、リュックからボックスと水筒を取り出します。
「えー、美味しそう」
リンダ様が、感心しながら卵が入ったサンドイッチを食べました。
「ん、美味しい」
「スイーツ系もありますよ」
「食べる」
黙々と食べてくれています。
嬉しいです。作ったかいがありました。
「アイスティーもどうぞ」
もぐもぐしているリンダ様に渡します。
「ん」と受け取ると、ぐいと飲み干しました。
気付けば、ボックスは空になっていました。
その後は、本を読んだり、お昼寝したりと、のんびりとした時間を過ごしました。
「はー、たまにはいいわね」
レジャーシートを片付けて、帰る準備をしている時でした。
「そうですね。でも、珍しいですね。こうやって遠出するの」
リンダ様が、気まずそうに目線をそらしました。
おや?
「さあ、お家に帰りましょうか」
「え、えっとね・・・」
私の言葉に、リンダ様の言葉が詰まりました。
さっきからどうしたのでしょう?
リンダ様が話し出すのを待ちます。
「・・・あのね、今日は、お家に帰らないで、泊まる予定なの」
なんですって!?
ピクニックだけではなく、お泊りまで!?
「泊まる場所なんだけどね・・・おばあ様のお家なんだ」
家族公認ってことですかあ!?
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