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19.村長に再会してしまいました

久しぶりの更新になりました。

前話から時間が経ってしまいましたが、読んでもらえればと思います。


お祭りデートの最中に村長に声をかけられた所から始まります。

「――村長?」

「やっぱり、リズじゃないか!無事だったのか!ああ、いや、あの後、魔女様が来なかったから、てっきり。それより、どうして村に戻ってこなかったんだ?」


 驚き、固まっている私に構わず、村長が話してきます。


「今はどこに住んでいるんだ?連絡くらいできただろう?聞いているのか?おい――」


 村長の手が、私に伸びてきました。

 咄嗟のことに、目をつぶってしまいます。

 掴まれた感触がこないのでゆっくり目を開けると、リンダ様が目の前にいました。


「ねえ?何してるの?」

「――っ!?」


 驚いた村長が一歩後ろに下がります。


「リズ。大丈夫だった?」


 振り向いて心配するリンダ様を見て、体から余分な力が抜けました。


「はい、大丈夫です」

「・・・そう、良かった」


 リンダ様がホッとした表情になります。


「それで?あなたはリズの何かしら?」


 村長の方を振り向きながら、リンダ様が問いかけます。


「わ、私は、この子が住んでいる村の村長だ」


 その返答に、リンダ様から表情が抜け落ちました。


「リ、リンダ様!?」

「行くわよ」


 リンダ様は私の手を取り、この場を離れようと歩き出しました。


「ま、待ちなさい!私の話はまだ終わってないぞ!勝手に連れていくんじゃない!」


 村長の怒号が大通りに響きます。

 何事かと周りの人たちがざわつきました。


「あなたには関係ないわ」


 静かな声でしたが、不思議と周りの喧騒にかき消されず耳に届きました。


「何だと!私はこの子の親代わりなんだ!」


 響くその言葉を無視して歩き続けます。

 繋いでる手がギュッと握られました。それが私を安心させるものだと分かります。

 人気のない場所まで着くと「トラベル」の魔法を使いました。

 扉をくぐると、私の泊まっている部屋に着きました。

 屋台で買った食事がテーブルに置かれます。いつの間にか私の手から取ったのでしょう。

 気づかないくらい、動揺していたようです。


「・・・怖かったわね。もう大丈夫よ」


 その優しい声を聴いた途端、涙があふれました。

 リンダ様の腕が背中に回ります。温もりが私を包みました。


 コンコンとドアがノックされました。

 誰でしょうか。


「リズ、いるか?」


 マイズ様です。


「はい。どうしましたか?」

「・・・大通りでの話を少し聞かせてほしい」


 リンダ様を見て、頷きます。


「わかりました。どうぞ」


「失礼する」と言い、マイズ様が入ってきました。

 リンダ様がいることに驚かず、話を進めました。


「さっき、警備隊から報告が上がってきてな。報告内容は、大通りで騒ぎがあった。騒いでいた男性に話を聞くと、「村の娘が知らない女に連れていかれた。探してほしい」と証言している。詳しく話を聞くと、リズとリンダの特徴と一致している。不思議に思い、隊長が報告してくれたというわけだ」


 私が逃げたから、騒ぎが大きくなって、マイズ様の手を煩わすようなことに・・・。


「ああ、別に責めているわけじゃない。ただ、事実確認がしたいだけなんだ」


 マイズ様は申し訳なさそうに、そう言いました。

 どこから話せばいいのか考えていると、「最初からでいいと思うわ」とリンダ様が言ってくれました。


「少し長くなりますが・・・それでもいいですか?」

「ああ、構わない」


 侍女さんに「――紅茶を。淹れたら下がっていてくれ」といい、マイズ様がソファーに腰を下ろしました。

 侍女さんが退室し、淹れてくれた紅茶でのどを潤します。


 私は、村長との関係、リンダ様の下にいることになった経緯、先程の村長との再会を話しました。

 話している途中、遠い昔のことだと思っていましたが、まだそこまで時間がたっていないのを思い出し、奇妙な感じがしました。

 話し終え、紅茶を口に運びます。すっかり冷めていて、一気に飲んでしまいました。


「村長と話してみたらどうだ?」

「――マイズ!?」


 マイズ様の言葉にリンダ様が驚きます。


「いや、無理にってわけじゃない。だけど、こんなところで変なしこりを残したままだと後悔することになると思う。・・・私たちの人生は長いからとくにな」


 最後は寂しそうに呟きました。


「少し、考えてみます」

「・・・リズ」

「ああ、わかった。・・・一人じゃないからな」


 マイズ様は立ち上がり部屋を出ていきました。

 何かを言いたそうにリンダ様がこちらを見ています。


「・・・すいません。今日は一人にしてもらっていいですか?」

「――っ。わかったわ」


 言いかけた言葉をグッと飲み込み、部屋から出ていきました。

 部屋に静けさが広がります。

 私はどうしたいのでしょうか。自分に問いかけます。




 翌朝、リンダ様とマイズ様に決めたことを話しました。


お読みいただきありがとうございました。


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