18.リンダ様とお祭りデートです
昨日、リンダ様と泣きはらした後、いつの間にか眠ってしまったようで、ベッドに居ました。
その後、皆さんと夕食を食べました。
私の顔色を見て、皆さんホッとしたような表情になっていました。
そんなにひどかったのだと、反省します。
夕食では、魚料理を中心にサラダやコンソメスープなどが出てきました。デザートはアイスでした。
食べている最中もその後も、神様の使徒やそれに関連した話は出ませんでした。
皆さんの気づかいに、心が温かくなりました。
寝る準備をしていると、ドアがノックされました。
「はーい」とドアを開けると、そこにはリンダ様がパジャマ姿で立っていました。
部屋に招き入れると、どこかそわそわしています。
どうしたんでしょうか。
また、私が何かを溜めていると心配しているのでしょうか?
私が心配ないと伝えようと思った時、リンダ様が口を開きました。
「・・・一緒に寝てもいい?」
「もちろんです!」
その姿が可愛らしく、食い気味で答えてしまいました。
あぁ。少しリンダ様が引いています。
私がベッドに入ると「おじゃまします」と小声でベッドに入ってきました。
横になると、ギュッと抱きしめられました。
「――!?」
突然のことに驚いて、つい声が出そうになります。
「一緒だから」
リンダ様がそう呟きました。
「・・・はい」
その言葉に、涙をこらえながら返事を返しました。
※
朝です。
隣には、リンダ様の寝顔があります。
抱き枕のようにギュッとされていて、身動きできません。
苦ではありません。むしろ、喜びに包まれています。
私が起きた気配を感じたのでしょうか。
リンダ様の目が開きました。
あっ。今の状況を把握したみたいです。表情がくるくる変わっていきます。
「お、おはよう」
「おはようございます」
戸惑っているリンダ様もいいですね。
恥ずかしがりながら、ベッドから出て行ってしまいました。
今日は、リンダ様と二人で六天祭をまわる予定です。
朝食を軽く済ませ、早速、街へ向かいます。
街はすでに多くの人で賑わっていました。
昨日よりも沢山いるように感じます。
「どこからまわりましょうか?」
「マイズからおすすめの場所教えてもらったから、そこから選びましょう。あとは歩いていて気になった場所があればってところね」
「はい!」
リンダ様が持っていた、マイズ様おすすめの場所マップを見せてもらいます。
・・・凄いです。
商品として売られていてもおかしくありません。
おすすめの場所が示されているだけではなく、お店の軽い紹介文やイラストまで載っています。さらに、ごちゃついて見づらいこともありません。
「もう、職人なのよ」と呆れたように言ったリンダ様の言葉に、納得してしまいます。
二人で相談して、雑貨屋さんへ向かうことにしました。
たどり着いたお店は、一人の時だと入りづらい雰囲気のお店でした。とても落ち着いているのですが、オシャレです。
具体的に何がオシャレなのかは分かりませんが、オシャレです。
「さあ、入りましょう」とリンダ様は、何事もなくお店の扉を開きました。
流石です。
店内には、ブレスレットやピアスなどのアクセサリーの他に、カップやお皿などの食器も置いてあります。
ドライフラワーや一輪挿しの花瓶もあります。
素敵な空間に緊張しながら、店内を見て回ります。
ふと、視界の隅に何か気になりました。
ゆっくりと気になったところを見ると、シンプルなリングがありました。
薄緑色と薄桃色のペアです。
「かわいい」
振り向くとリンダ様がいました。
リンダ様が微笑み、薄桃色のリングを手に取りました。
すると、私の右手をとり、小指に嵌めました。
驚いていると、今度は薄緑色のリングを自分の小指に嵌めます。
「似合ってるわ」
そう言うと、固まっている私を置いてカウンターへ向かいました。
店員さんにお金を支払うと、「行きましょう」と私の手を掴み、お店を出ます。
「少し早いけどお昼にしましょう」
「はーい」
リンダ様への返事も、気の抜けたものになってしまいました。
こんな素敵なことがあっていいのでしょうか。
横目で右手を見ると、頬が緩むのがわかります。
大通りへ出て、屋台を見てまわります。
今日は何を食べましょうか。
あの特大ハンバーガーを食べ切った私に食べられないものはないと、妙な自信が生まれています。
「あそこにしようかしら」
リンダ様の視線の先には、大きな窯が見えました。どうやら、ピザのようです。
・・・あの窯、どうやって持ってきたのでしょうか。六天祭にかける情熱が凄いです。
「私はもう少し考えます」
「わかったわ」
そう言って、リンダ様はピザ屋さんへ歩いて行きました。
他に何があるかと見回していると、「リズ?」と声をかけられました。
聞き覚えのある声が誰か思い出せないまま振り向きます。
そこには、驚いた表情の村長がいました。
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