12.聖地を観光することになりました
「聖地の立ち心地はどうかしら?」
イズミ様が聞いてきます。
どう?と言われても・・・
「え、えっと・・・あっ、眺めが良くて、風が気持ちいいです」
私の言葉を聞いて、イズミ様がケラケラと笑い出します。
そのイズミ様を見たリンダ様とキソラ様は、やれやれと首を横に振っています。
「ダイキ!あなたの頭の上が、素晴らしい場所でよかったですわね」
バッとダイキ様を見ます。
「褒めてもらって、光栄だなあ」
照れていません。にこにこ笑っています。
「全く、困った似た者同士ね」
「リンダ様は知っていたのですか?」
「ええ。・・・私も初めて来たとき、同じことで揶揄われたわ」
「こればっかりはねぇ」「ねえ」とダイキ様とイズミ様が顔を見合わせました。
転移先がダイキ様の頭という衝撃が抜けきらないまま、「それじゃあ、行きますわよ!」とイズミ様がズンズン進んでいきました。
もう展開が早すぎて、追いかけるのでいっぱいいっぱいです。
※
「ここがエベネイズの中心であり、エベネイズと言えばここ!という場所ですわ!」
イズミ様が、自信満々に言います。
目の前には、小さな教会が佇んでいます。
勝手なイメージですが、倒れそうになるくらい首を上げないといけないくらいの高さだったり、色とりどりのガラスが嵌め込まれていたり、彫刻がところ狭しと刻まれていたりするものだと思っていました。
ですが、目の前にある教会は、なんといえば言えばいいのでしょう・・・。簡素な石積みで三角屋根の教会で、一見、村にありそうなんですが、何故か、圧力というか・・・そういうものを感じます。
あと、何故か、馴染み深い感じもします。
どうしてでしょうか?
「ここは神様が降り立って、神様が作った教会になりますわ」
「神様が作った・・・?」
何でしょう?聞き間違いでしょうか。
「本当に作ったんだよ。困ったもんだよねぇ、人の背中に」
ダイキ様がぼやきます。
どうやら、本当のことのようです。
・・・妙に感じる圧力が、神様の力の残滓であると考えれば、納得できそうです。
「早速入りましょう!」
イズミ様が教会の扉を開き、私に先に入るよう促します。
皆さんは、既に来たことがあるのでしょう。
「メイドイン神様の教会へようこそ~」
祭壇の方から、歓迎の言葉が届きました。
私の目の錯覚でしょうか。
神様が、こちらに手を振っています。
「来ちゃった」
気軽に会いに行けないとは、何だったのでしょうか。
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