11.六天祭へ向かいます
六王会議から一ヶ月が経ちました。
今日は、六天祭です。
※
「今日の講義は、ここまで。何か疑問はあるかい?」
「記号に意味を込めることで魔法陣を簡易的にするとありましたが、動作に意味を込めることで、魔法を発動できるのでしょうか」
「できる。が、自分で使う場合、逆に行動が制限される。また、同じ動作として認識させるのに、余計に手間がかかってしまう」
「機械に代用させるのはどうでしょうか」
「それは、今後の課題にしようか。まとまったら、私に持ってきな」
「分かりました。ありがとうございました」
そうです。キソラ様がお家に来ています。
昨日から来ていて、一緒に夕ご飯も食べました。
「美味しいじゃないか」というお言葉をいただきました。嬉しいです!
今日の六天祭に向けて、リンダ様とお話しすることがあったようで、昨日も、私が眠った後も二人でお話をしていたようです。
「それじゃあ、行こうか」
キソラ様が『トラベル』を発動します。
扉をくぐります。
綺麗なお部屋に出ました。
大きな窓から、太陽の光が溢れています。
覗くと、使徒である大きな亀が見えました。ダイキ様と移動する聖地エベネイズです。
下を見ると、大通りには屋台が沢山あり、人もたくさんいます。
以前王都に行ったときに、人がたくさんいて驚きましたが、それ以上です。
「よく来たな!今日は、楽しんで行けよ!」
扉が開いたと同時に、マイズ様の声が部屋に響きます。
「相変わらず、騒がしいね」
キソラ様が、うんざりした顔でボソッとつぶやきました。
「リズは初めてなんだよな?」
マイズ様には聞こえていなかったようです。そのまま、話し始めました。
「はい!お店も人もいっぱいで凄いです!」
「そうだろう!後で案内してやるよ!」
「お願いします!」
「じゃあ、後でな!」と言うと、部屋から出ていきました。
「忙しくしてるわね」
「開催国だからね。こんなもんさ」
キソラ様の言葉に、リンダ様の表情が少しだけ引きつりました。
六年に一回はこの忙しさが回ってくると思うと、その表情になるのも分かります。
「この後は?」
「それは、私が説明しますわ!!」
キソラ様の言葉に応える声が、部屋に響き渡ります。
「この部屋に入るときは、騒がしくないとダメなのかね・・・」
今度は、声の主に聞こえる大きさでした。
「じゃあ、僕も騒がしくするかい?」
「やめとくれ・・・」
ダイキ様とイズミ様でした。
『トラベル』で来たようには見えませんでしたが、どうやって入ってきたのでしょうか。
「驚いているわね!ずっと隠れていた甲斐がありましたわ!」
どうやら、古典的な方法でした。
「僕はイズミに合わせて、分身を出しただけだからね?」
ダイキ様が補足しました。
「それで?この後はどうするの?」
リンダ様が聞きます。
「今からエベネイズに行きますわ!六天祭は、マイズが案内すると言っていたでしょう?その時間になるまで、エベネイズをリズに見てもらいたいのです」
六天祭だけではなく、聖地にまで行けるとは!
「それじゃあ、行くよ」
ダイキ様の声が聞こえたと思うと、原っぱの上に立っていました。
「ようこそ!『移動する聖地エベネイズ』へ!」
イズミ様の言葉で、聖地に来たのだと、気付かされました。
隣にいるダイキ様は、にこにこ微笑んでいます。
・・・イズミ様がいたずら好きなのは、ダイキ様譲りだったのですね。
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