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暴走聖女と魔術学園  作者: 今晩葉ミチル
久しぶりの学園生活
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知識の収穫

 フレアとクロスとローズは、黙々と調べものを続けていた。

 三人とも眉間にしわを寄せて、木製の丸テーブルを囲って真剣な眼差しで本を読んだ。時にはメモを取っていた。

 フレアは、絵本など簡単に読めるものを手に取っていたが、おろそかにできない知識が詰め込まれていると思った。


 光と闇の血筋を持つブレス王家が喧嘩をすると天変地異が起こるという。それがいけない事だと分かっていたため、どちらかが主張を譲る事が多かったという。

 ブレス王国を守る人たちは、その仲裁を行なっていたという。


「ブレス王国を守っていた人たちは、きっと殺されているわね」


 フレアは溜め息を吐いた。

 ブレス王国は滅ぼされた。犯罪組織ドミネーションの襲撃を受けたせいだ。ブレス王国を守る家系の人間たちもほとんどが命を落としただろう。

「ブレス王家のために……かわいそう」

「同情はいらないだろう。たぶん誇りを持って戦ったと思う。だが、引っかかる事もある」

 クロスは分厚い本をめくりながら、神妙な顔付きになった。


「犯罪組織ドミネーションのトップであるジェノはトワイライト家の出身だったようだ」


「トワイライト家?」


「絵本に出てくる家系だ。ブレス王国を守るために陰で頑張っていたらしい。そんな人間がどうしてブレス王国を襲撃したのか不明だが」


 本を読み続けるクロスに対して、フレアは両目を輝かせた。

「そんな事を調べられるなんてすごいわ。どうして分かったの?」

「トワイライト家の家系図を見つけた。細かい経歴は分からないが、以前にイーグル先生から聞いた話を考えると、ジェノはかなり優秀な魔術師のようだな」

「えっと……イーグル先生はどんな話をしていたっけ?」

 フレアが首を傾げると、クロスは苦笑した。

「ストリーム村に行く前に、保健室で作戦会議をする時に聞いた話だ。イーグル先生が担任として受け持っていた頃に、ブライトさん、エリス、そしてジェノはトップ争いをしていたと。こんな話を覚えているのは俺だけだろう」

「あら、そんな話をしてましたの」

 ローズが口を開いた。その瞳には闘志が宿っている。

「エリスはクォーツ家の中で外れ者でしたけど、魔術の才能だけは認める所でしたわ。私の宿敵ですの」

「恐ろしい魔術師なのは間違いないだろう。悪夢の魔術師シェイドと肩を並べると言われている」

 クロスは淡々と告げる。

「世界警察ワールド・ガードがシェイドを捕らえている間に、最も警戒するべき相手はジェノとエリスだろうが、犯罪組織ドミネーションがそれだけで終わるはずはない。力だけで倒せる相手ではない」

 フレアは頷いた。

 ストリーム村ではシェイドとその部下のセレネの人望を目の当たりにした。力だけで解決しようとすれば、罪のない村人を敵に回しただろう。

「私が早く魔術の制御ができるようにならないと、きっと被害がひどくなるわね」

「既にひどいですけど、これ以上は広がらないようにしませんと」

 ローズの何気ない言葉にフレアは肩を落とすが、落ち込んでばかりはいられない。

 フレアは顔を上げて新たな絵本を開く。

「頑張って勉強しないと」

「おお、偉いな」

 突然に、いかつい声が聞こえた。振り向くと、すぐそばにイーグルが立っていた。

「頑張って勉強しているようだな。感心な事だ」

「いつの間にいらしたのですね」

 クロスが両目を見開く。ローズは驚きのあまり言葉を失っていた。

 イーグルは咳払いをする。


「気配を隠していたつもりは無かったが、かなり集中していたようだな。そんなおまえたちに難だが、学園長がお呼びだ」


「学園長が!?」


 フレア、クロス、ローズの声が重なった。いずれの声も裏返っていた。

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