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暴走聖女と魔術学園  作者: 今晩葉ミチル
久しぶりの学園生活
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久しぶりの授業

 授業前の教室で、上級科の生徒たちは賑わっていた。

 久しぶりに授業を受けられる感慨もあるし、安心して友人たちと会える喜びが大きい。

 最前列に座るフレアは、互いのこれからを話し合う生徒たちを肩越しで見ながら、微笑ましくなった。

「みんな活き活きとして良かったわ」

 犯罪組織ドミネーションの幹部シェイドとの戦いは熾烈だった。彼らを捕らえた事で授業再開となった。

 昨日はフレアたちの活躍を祝うパーティーがあったのも、やる気を盛り立てる。

 フレアはノートと羽ペンを取り出す。貪欲にメモを取るつもりだ。

「私も頑張らないと」

「おまえは肩ひじ張らずに、地道に努力するのがいいと思う」

 右隣の席に座るクロスが、表紙の黒い本をめくりながら、口を開いた。

「頑張りすぎるのは考えものだ」

「クロス君だって頑張っているのに」

「俺はまだまだという自覚がある。魔力に溢れているフレアとは違う」

 クロスは本の中身を凝視してうなった。

「やっぱりバースト・フェニックスの記載は少ないな……」

「その本はシェイドのメモよね。もしかして、私の魔力特性を調べてくれたの?」

「興味本位で読んでいただけだ。いろいろな魔術に関する記載があるが、必要な情報が入っているか分からない。だが、興味深い内容がある」

 クロスはフレアの前で本を広げた。

 殴り書きであるが、読めない事はない文字が大量に書かれていた。

 その一部をクロスが指さす。


「シェイドの考察だろう。魔術は生きているという考えが記されている」


「魔術は生きている……分かるような気はするけど、なんだか難しいわ」


 フレアは自分の魔術について思い返した。

 魔力特性を呟いただけで天井をぶちぬく巨大な光の柱が生まれたし、感情を乱しただけで地面が溶けたりする。

 フレアの意思を無視する事もある。

 魔術も独特の意思があるという考えは、分からなくはなかった。

 クロスは口の端を上げる。

「俺もまだ理解できていない。だが、面白い仮説だと思った」

「あら、クォーツ家では有名な話ですわ」

 後ろの席から、唐突に話しかけられる。

 振り向けば、ローズがいた。


「魔術は生き物を扱うように、大切にするべきですのよ」


「すごいわ、よく知っているわね!」


 フレアが歓声をあげると、ローズは自らの金髪をかきあげた。

「姓はクォーツ、名はローズ。地の魔術に長けた超名門貴族のノウハウを侮らない事ですわ」

 クロスは溜め息を吐いた。

「お家自慢はいいが、知っていたならさっさとフレアに教えても良かっただろう」

「あ、あら……ちょっと教える気分ではなかったというか、私だって昨日知ったばかりというわけではないのですのよ。ほ、本当ですのよ」

 ローズがしどろもどろになるのを見て、フレアは深々と頷いた。

「最新の知識を教えてくれたんだね、ありがとう」

「友達のためなら何でもできますのよ、褒め称えなさい!」

「ローズすごい、ローズ優しい!」

 ローズが高笑いをあげるのを、フレアは素直に褒め称えていた。

 クロスは黙々と黒い本を読んで、授業開始を待った。

 授業開始のチャイムが鳴る。

 生徒たちが着席すると同時に、担任のイーグルが教室に入ってくる。

 イーグルは教壇に立ち、朗々とした声を響かせる。

「久しぶりの授業だ。今日は魔力特性について軽く話す。魔力特性とは、各々が生まれながらに持っている魔力の特性だ。魔術師の修行は、通常なら自分の魔力特性を把握する所から始まる。魔力特性から外れた魔術を身に付けようとしてもうまくいかないし、最悪の場合命の危険に晒されるからな」


 命の危険に晒される。


 この言葉を聞いた生徒たちは固唾を呑んだ。


 イーグルは続ける。

「そこで、入学試験時にクリスタルが示した各々の魔力特性を自力で調べて、深めてほしい。実験室、練習場、図書室、あらゆる施設の使用許可を出す。質問があればその都度尋ねるように」

 生徒たちは互いに顔を見合わせて、それぞれのペースで立ち上がった。

 クロスとローズも立ち上がる。

 しかし、フレアは身を震わせて、なかなか立てないでいた。

「クリスタルを壊したのは、魔術学園グローイングが無くなっちゃうかもしれない大損害だったのかな……」

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