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暴走聖女と魔術学園  作者: 今晩葉ミチル
魔術学園グローイング
21/112

イーグルの想い

 イーグルは祈るような想いで迷宮の入り口を見守っていた。

 先程から膨大な魔力を感じる。おそらく強力な魔術の応酬があるのだろう。

「長いな……」

 イーグルは冷や汗を垂らす。

 救助用アイテムが使われたと言って、ブライトが迷宮に入ってからかなり時間が経っている。天高く辺りを照らしていた日の光が、もうすぐ沈もうとしている。


「短期決戦で挑むと言っていたのだが……」


 口に出すとますます不安が募る。上級科の生徒たちも帰って来ない。

 夕暮れに染まった草原が風に煽られた。

 その時に人影が見えた。


「イーグル先生、宝玉を持ち帰りましたわ! 悪夢の魔術師シェイドがいて大変でしたわ!」


 ローズが元気な高笑いをあげた。

 他の生徒たちも続々と迷宮から出てくる。みんな疲れ果てているが、やりきった表情を浮かべている。

 イーグルは感無量になっていた。

「そうか……本当によく頑張ったな」

 イーグルは両手を広げる。

 誰も胸に飛び込まないが、感涙を抑えられなかった。

 そんなイーグルも、とある人物の様子を見て愕然とする。

 ブライトがフレアとクロスに担がれている。


「ブライトが昏倒している!?」


「シェイドとまともに戦ったせいです。幸い命に別状はありませんが、すぐに休ませるべきでしょう」


 クロスが、淡々と告げる。

「シェイドの手札は見ました。どうにか対策を立てるつもりです」

「クロス、無理はするな。おまえはよくやった。できればフレアの魔術を抑える事に全力を注いでほしい」

 ここまで口に出して、イーグルは首を傾げた。

「そういえば今回は巨大な柱を見なかったな。バースト・フェニックスは暴走しなかったのか?」

「少し床や壁や天井を砕いたくらいです。穴があく事はありませんでした」

「そうなのか!? いや、こんな事を喜んではいけない」

 イーグルは首を横に振った後で深呼吸をした。

「課題用の迷宮に犯罪組織ドミネーションの幹部がいた。これは教員の落ち度だ。本当にすまなかった」

 イーグルは深々と頭を下げた。

 生徒たちは首を横に振る。

「いつか戦う相手でした」

「イーグル先生、落ち込まないでくださいね」

 生徒たちの温かな言葉に、イーグルは顔を上げて目頭を押さえた。

「おまえたちは優しいな。生きて帰ってきて本当に良かった」

 イーグルは目元をぐいっと拭いて、一呼吸おいた。

「みんなすぐに保健室へ行け。平気だと思っていてもダメージが残っている場合がある」

「あら、この私のポーションがあったのですからきっと大丈夫ですわ」

「ローズ、おまえも足元がフラフラだ」

 指摘されてローズは初めてふらつくのを自覚した。

 フラワー・マジックを何度も使ったのだ。疲労が溜まらないはずはない。

 それでもローズはふんぞる。

「保健室をお借りしてもよろしくてよ」

「そうしてくれ。思ったより元気そうなのは良かったが、ゆっくり休んでくれ」

 イーグルは気を失っているブライトに近づく。

 フレアとクロスが担いでいるのを、自らの背中に乗せる。

「相変わらず頑張り屋だな。いや、みんな頑張ったか」

 イーグルは独り言のように呟いて空を見上げる。

 宵闇に流れ星が一つ光った。

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