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暴走聖女と魔術学園  作者: 今晩葉ミチル
魔術学園グローイング
14/112

迷宮探索へ~入り口を探せ~

 フレア、クロス、ローズで班を組む。

 この事をイーグルに報告に行くと、三人は順に険しい表情を向けられた。

「いいか? おまえたちは特に無茶を控えろ。宝玉探しなんて他に機会はあるだろう。一発で成功させようなんて絶対に考えなくていいからな。分かったな?」

「あら、仮に私たちが諦めて、他の班が見つけていたら成績はどうなりますの?」

 ローズが疑問を呈すると、イーグルはこめかみに片手を当てた。

 頭が痛くなっているのだろうが、冷静さを保とうとしている。

「宝玉を見つけた班が上に決まっているが、意識しなくていい。卒業生の多くは立派に活動している。魔術学園で一番になる必要はない」

「この私を侮らないでくださる? 姓はクォーツ、名はローズ。世界一を目指す天才美少女ですわ」

 ローズが自らの金髪をかきあげた。

 イーグルの口元は引くついていた。


「一番を目指して道を踏み外した生徒がいる。固執しすぎないようにしろ。トラブルを起こしてでも成績一番になるつもりなら、救助用アイテムを渡す事も、迷宮の入り口を教える事も拒否する」


 ローズの態度次第では、迷宮探索に挑戦させないつもりだ。成績に響くだろう。

 フレアとクロスは、ローズをどうやって説得するか悩み、互いに顔を見合わせた。

 しかし、ローズはへこたれない。

「自力で解決すれば救助用アイテムなんていりませんわ。さあ、出発しましょう!」

 ローズは呪文を唱える。


「迷宮の入り口なんて魔術で探しますわ! フラワー・マジック、ビューティフル・バタフライ」


 風が吹き、どこからともなく花の香りが運ばれてくる。

 赤、白、黄色など色とりどりの花びらが舞っていた。蝶のはばたきのように、華やかで、見る者の心を奪う。

 ローズは得意げに胸を張った。

「この花びらは高い魔力に反応して集まりますの。つまり、魔術的な仕掛けのある迷宮の入り口に集中し、簡単に発見できるようになりますの。美しいだけではありませんのよ!」

 イーグルは呆れ顔で溜め息を吐いた。

「魔術的な仕掛けは入り口付近にはない。花びらが集まるなどありえない……!」

 イーグルの顔に驚愕が浮かんだ。


 花びらが一か所にどんどん積もっていき、綺麗な正方形となった。


 ローズは高笑いをあげた。

「やはり私の魔術は絶大ですわ! こんなにも簡単に隠された迷宮の入り口を見つけるなんて」

「そんなバカな……いったい何が起こっている?」

「素直に私の実力を認めたらいかがかしら? 宝玉だってすぐに持ち帰りますわ!」

 頭を抱えるイーグルを横目に、ローズは鼻歌まじりに呪文を唱える。

「さて、肝心の入り口を発掘しませんと。フラワー・マジック、ダンシング・ハーブ」

 草がしなやかに曲がり、積もっていた花びらに絡み合う。

 色とりどりの花びらと草が、互いに寄り添い、踊っているように見える。

 やがて花びらが取り除かれる頃には、土が払われ、人工的な鉄の扉が露わになった。

「開けましょう!」

 ローズがパチンと指を鳴らすと、大量の草が這ってきて、扉に群がる。

 草同士で絡まり合い、強度が増す。強度が増したままの状態で扉を引っ張る。

 扉はあっけなく開いた。中は暗く、階段が続いている。

 フレアの両目は輝いた。

「ローズ、すごいよ!」

「褒められて悪い気はしませんわね」

 ローズは金髪をかきあげる。

「さあ行きますわよ!」

 ローズは意気揚々と階段を降りていく。

 イーグルは唖然としていた。

「いったいなぜ……たしかに魔力を感じるが……」

「イーグル先生、俺たちも入って大丈夫ですか?」

 クロスが尋ねると、イーグルは頷いた。

「こうなってしまっては、おまえにまともな対応を求めるしかない。くれぐれも魔力を暴走させないでくれ。救助用アイテムを渡すから、無理をしないように」

「ありがとうございます、気を付けます」

 クロスは一礼してスイッチのついた白くて丸い道具を受け取った。

 フレアもつられて一礼する。

「行ってきます」

「ああ、特におまえは気を付けてくれ」

「は、はい」

 クロスとフレアも階段を降りる。

 イーグルは顎に手を当てて考え込んだ。

「こんな所にまで魔力が漂うなど、通例ならありえない……何者かの侵入を許したのか?」

 イーグルは胸騒ぎを感じた。

 根拠はほとんどない。しかし、確かなざわつきを感じたのだ。

「念のために世界警察ワールド・ガードに近くで待機してもらうか。何事も起こらなければいいのだが……」

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