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来訪者
夜。
家に帰ったら男がいた。
一人暮らしの俺の部屋に。
誰だ、と思う間もなく銀色の何かが見えた。
なんだ、あれは。
ああそうか、包丁だ。
男の顔が見える。笑っている。
明かりの無い暗闇で、伸びっぱなしの髪を振り乱した男が俺に向かってくる。
金魚のようにぎょろりとした目と視線が合った。
男は笑いながら、笑いながら
包丁を振り上げて、
「お前だああああああああああ」
俺の胸に『ソレ』を突き刺した。
「———殺したなら、殺されても文句は言えないよな?」
男が言った。