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罠師、罠の確認に行く

 この二日間、罠の結果が知りたくてうずうずしてたが、ネットでモグラの情報を色々調べた。

 ついでに、図書館まで足を運んじゃったよ。

 ネットって昔はブログでいろんな情報が出てたけど、ブログサービスが終わったりしてから出てくる情報が大分減った気がする。

 検索してでてくる情報はどれも同じようなコピペに近いものが多いし、宣伝ばかりが目立つようになった。

 本は最新の情報が載ってないかもしれないけど、ちゃんとまとめてあって図書館で本の良さを再認識したよ。


 一日二日自転車に長時間乗ったって言っても急に体力はつくはずはない。

 しかし、最初3時間かかって行ったのも道がわかって、迷っていないんだと自信をもって自転車を漕いでいけるだけスムーズに進んでいくことができる。


 おっ、2時間半だよ。結構早くついたな、まだ昼前だよ。

 帰りの時間も考えて早く出たけど、もう少しゆっくりしててもよかったかな。


 母ちゃんが寝る前に作ってくれていたおにぎりをリュックから取り出し、ラップを外して頬張る。

 飲み物もちゃんと用意してるよ。

 ペットボトルの麦茶を口にする。

 もちろん自動販売機で買ったりはしてないよ。

 タクシーの仕事してる母ちゃんが仕事の合間に休憩したりとかで家に戻ってくることがあるんだけど、お客の忘れ物というか、放置していった飲み残しのゴミのペットボトルを家に捨てていくんだけど、それを綺麗に洗って麦茶を詰めて持ってきたんだ。

 ジュースやお茶を買う余裕なんてねーよ。


 公園のベンチで腹ごしらえを終えると両手で頬を挟むようにぴしゃりと叩き気合を入れる。


 よっしゃー!


 ……あ、罠に獲物がかかってますように。




 役場に入り、また長い廊下を抜けていく。

 誰もいない静かなところからガヤガヤと少し騒がしい部屋へと出る。

 この場所も3回目だ。

 きょろきょろと辺りを見回す余裕が少しは出てきた。

 緊張で頭真っ白でろくに何も考えられなかった初回、緊張しまくりで余裕がなかった2回目、今回は緊張しているものの、挙動不審に見られるかもしれないが辺りをきょろきょろ見回すくらいはできるようになっていた。


 こっち側の建物って木造なんだな。

 床を見ながら足を踏み込むとギシギシという音がする。

 実際に行ったことはないけど、以前テレビで見た田舎の廃校とかこんな感じだったかな。


 受付のねーちゃんは相変わらず派手な赤毛だし、(きこり)?は毛皮を纏って斧なんか担いでる。

 斧って……ぷっ。

 田舎でもチェーンソーで木を切るんだと思うんだけど、違うのかな。

 あっ!


 じろりと視線を向けられ、咄嗟に逸らしてしまう。


 ごめんごめん、失礼だったね。

 筋肉ムキムキで毛皮を纏い、斧を担いでいる外人さんなんて映画の中でしか見たことなかったんだもん。


 そそくさと逃げるように建物から出て、畑へと向かう。


 えっ!?


 罠を仕掛けた場所に行って驚いた。

 地面の上には仕掛けた罠が転がっている。


 ちょっ、やめてよね。

 せっかく仕掛けた罠を掘り出すとか、いたずらにしても勘弁してよー。


 急に膝に力が入らなくなって、崩れるように地に膝をついてしまい、頭の中も真っ白になった。



「よー、あんちゃん。来てくれただか」


 下半身に力を入れることはできなかったが、首を回すことはなんとかできた。

 振り向くと、ここの畑の持ち主でモグラ退治を依頼してきた、だれだっけ……そういや名前知らんわ。

 とりあえず、いけめん農家の外人さんが手を振りながらこちらに歩いてくるのが目に入った。


「こ、こんにちは」


 なんとか挨拶を口にすることはできた。

 しかし、この情けない現場を見られて涙が出そうになる

 だれだよ、罠を掘り出すなんてことしたやつは。

 泣きそうなこっちとは違って、歩いてきてる外人さんはにこやかだ。

 いや、この惨状見てよ。


「すみません」


 膝をついた状態から、崩れるように伏せ土下座体勢へと移行し、謝罪の言葉を口にする。


「えっ、どうしただ、急に」


 焦ったような声が上から聞こえるが、伏せたまま涙をこらえる。


「さっき来てみたら、罠が掘り返されてたんです。すみません。誰がこんないたずらを……」


「おめさん、何を言ってるだ。おかげでモグラを3匹も捕まえることが出来ただ」


「えっ??? もしかして罠を掘り返したのは、あ、あなた?」


「おう! でっけーのが2匹とちんまいのが1匹入ってたぞ」


 よかったー。

 罠は成功してたのか。

 顔をあげ、土下座から地面に腰をおろした姿勢へと体を動かす。


「それで、そのモグラは?」


「ギルドに運んでおいてやっただ。今までは依頼しても1匹退治しただけでそのまま帰られてたのに、今回はほんとに助かっただ。また依頼させてもらうだで、よろしくなあんちゃん。おっと、そうそう、隣のガジールが羨ましがってて、できれば先にあいつの依頼を受けてくれると助かるだ。えぇな、えぇな、うるせいだよ」


 そっか、3匹か。

 この人の役に立てたんだな。

 あっ、でも、とったどー! とかいって捕獲の感動を味わいたかったのに、その辺はちょっと残念だったな。


「えっと、今回の依頼は終了ってことでいいんですか?」


「そうだ。そうそう、この木札と依頼票をミールに渡せば終わりだ」


 手渡された木の板をひっくり返したりして眺めてみるが、なんかよくわからん模様がかかれてる。

 で、ミールってなんだ?


「ミールってのは?」


「受付の赤い髪の女子(おなご)だ」


 あぁ、あの人ね。


「わかりました。説明ありがとうございます」


 掘り出されてた罠を持って帰ろうと思ったけど、なんじゃこりゃー!

 大きい手作りの罠も小さい市販の罠もズタズタのボロボロになってる。

 大きいほうのが特にひどい。大きな裂け目があり、そこに血がこびりついて乾いている。

 罠の上から鍬で中のもぐらにとどめを刺したとかかな。


「あんちゃん、これ持ってってくろ。うちの畑で取れた野菜だで」


 抱えている罠の上に野菜がどんどん積み上げられる。


 げげっ、眼前にあるキャベツのような野菜の上を芋虫が這っている。


 フーフー


 息を吹きかけ吹き飛ばしてやったよ。

 それを見ておじさんが腹を抱えて笑っている。

 ほっといてくれ。


「野菜ありがとうございました。またモグラ退治のお仕事がありましたら、罠を修理してから受けさせてもらいます。では失礼します」


 前を見るのも苦労するくらいの荷物を抱えて畑を後にする。

 めっちゃ重いんだけど。



次からはあまり日をあけずに投稿できると思います。

住んでるマンションの水道のポンプの故障で2週間ばかし台所もトイレも水が出ない生活送ってました。

ペットボトルの水が毎日支給されてたのですが、めっちゃ不便。

時々ホテルにとまりつつ、自宅で不便な生活を送ったりと非日常な生活でしたが、やっと修理が終わり水が使えるようになりました。

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