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ピンクな夜に囁いて  作者: 楓 海
7/12

 読んで戴けると嬉しいです。

 暁人はとにかく暇だった。


 本当なら今頃は店で接客に追われている時間だ。


 時計を見上げると、冬馬の怒り心頭の顔が浮かぶ。


 無断欠勤が決定してしまった暁人はここで夕霧に大人しく監禁されているのだが、雑誌やマンガ、映画のDVDなどがいくつか用意されているが、日頃スマホのアプリゲームに全時間を費やしている暁人が興味を惹く物は無く、仕方なくベッドに座りテレビを観ているのだが、どうにも落ち着かなかった。


 夕霧の話では鏡の向こう側で暁人の絵を描いていると云う。


 それで暁人は無駄に意識してしまい、ついついポーズを考えてしまう。


『こっち向いてていいのかな··········?

 右向いてたら書きずらいなんてないか? 』


 などと考えてしまい、動きがぎこちなくなる。


 しまいに肩が凝ってきた。


 因みに今の暁人は鼻血が止まったのでつっぺは取れたが絆創膏と湿布はそのままである。


 暁人は痺れを切らして、がなった。


「夕霧!

 聞こえてるか?! 」


 少ししてスピーカーから夕霧が応える。


「どうしたの? 」


「暇だ、酒飲みたい······」


「お酒?

 お酒って、何がいいの? 」


「なんでもいいよ、夕霧の好きな奴でいい」


 夕霧が答える。


「アタシの好きな奴って、アタシも一緒に飲んでいいの? 」


「一人で飲んでもつまんないだろ」


「嬉しい! 」


 夕霧の声は弾んでいた。


「待ってて、今買いに行ってくるから! 」


「つまみ忘れるなよ! 」


「了解! 」


 待っている間、暁人はベッドに伸びていた。


 やっとリラックスできて、身体に入っていた無駄な力が抜けて行く。


 ハタと思い付き、起き上がって胡座(あぐら)をかいた。


「この手があったよね

 オレってもしかして頭いいのかも·······」


 暁人が思い付いた作戦はこうである。


 夕霧に酒を飲ませまくり、ぐでんぐでんに酔っぱらわせた処でドアのプレートに正体のなくなっている夕霧の指紋を読ませて見事脱出。


 酒を飲み慣れている暁人には有利な作戦である。


 だが中々帰ってこない夕霧が心配になってきた。


『あいつめちゃ可愛いから大丈夫かな······

 変な奴に絡まれたりとかしてないよね······』


 暁人はどんどん落ち着かなくなって行く。


 仕舞いに部屋をうろうろ歩き始めた。


「しまったなあ、一人で行かせるんじゃ無かった」


 と間抜けな独り言を言ったりした。


 やっと夕霧が帰って来ると暁人は怒鳴った。


「遅いよ!

 夜の一人歩き禁止!! 」


 突然怒鳴られた夕霧はきょとんとしたが直ぐに嬉しそうに笑顔を見せた。


「心配してくれたの?

 ありがとう

 でもアタシ、だてに黒帯じゃないから大丈夫だよ」


『そ、そうだった

 忘れてた········』


 暁人は苦笑いする。


 取り敢えず夕霧が両手にスーパー袋を下げて無事帰ってきたので暁人はホッと胸を撫で下ろした。


「あのねえ、いっぱい買ってきたんだよお

 レモンサワー10缶でしょう、カ○パー10缶、シャンパン、テキーラ、ブランデー、それにロゼワインと白ワイン

 ただ飲むのもつまんないからワインオセロしようかなあ、と思って··········」


 暁人はワインオセロと聞いてほくそ笑んだ。


 飲ませる絶好の口実である。


「それにしても、買い過ぎじゃね? 」


「アキト、いっぱい飲むでしょぉ?」


「そりゃ、仕事の時はのむけどさあ」


 夕霧は絨毯にぺたんと座り込んで買ったものを広げ始めた。


「おつまみとか、塩分高くて身体に悪いからスーパーのお惣菜屋さんでサラダとか和え物とか焼き鳥のか買って来たんだあ

 それからお腹空くだろうから、コンビニでラーメン買って来た」


 暁人は毛布を身体に巻き付け、広げられた食材を挟んで夕霧の向かいに胡座をかいた。


「アキトも手伝ってえ」


 ある程度惣菜を並べ終えると、ワインオセロの準備を始めた夕霧は小さなカップと白ワインを暁人に渡した。


 口唇を尖らせカップにロゼワインを注ぐ夕霧を、暁人は無意識に見詰めていた。


『全然男になんか見えないよなあ········』


 暁人の視線に気付いた夕霧は上目遣いで暁人を見詰め返す。


「そんなに見詰められたら、恥ずかしいーい」


『ほらあ、仕草とかめっちゃ女の子じゃんさあ』


「なに、なあにい?

 そんなに見惚れちゃうほど、アタシ可愛い? 」


「うん」


 暁人は思わず頷いた。


 夕霧の動きが止まった。


 一瞬気まずい空気が流れた。


 それを断ち切ろうと夕霧は不自然に声を上ずらせて言った。


「そ、そんなこと言われたら期待しちゃうんだよ

 でもそれって、凄く残酷なんだから

 アキトは男に興味はないんでしょ? 」


 暁人は我に返って戸惑い言った。


「ごめん··········」


 夕霧はショックを隠しきれず俯いてしまった。


「いや、そうゆう意味じゃなくて!

 正直夕霧が男だって未だに信じられなくて、不思議で仕方ないんだ

 見た目は何処からみても女の子でさあ·········」


 この部屋で初めてすっぴんの夕霧が男に見えたのが不思議なくらいだった。


 夕霧は持ち直したらしく、顔を上げて言った。


「当然だよ、身体は男だけどアタシのここは紛れもなく女の子なんだもん」


 そう言って夕霧は真剣な顔をして自分の胸を強く指差した。


 暁人も真顔で言った。


「そうだな、オレもそう思うよ

 夕霧はそこいらの女の子より女の子らしいよ

 料理はアレだけど·········」


 夕霧はいたずらっぽい顔になり言った。


「ひっどおい、アタシが本気で料理したらアキトだってイチコロなんだからあ」


「はいはい、そうゆう事にしておいてやるよ」


 暁人はいたずらっぽい笑みを返す。


「その言いぐさ信じてないなあ」


「いいから始めるよ、ワインオセロ···········」










 読んで戴き有り難うございます。(*- -)(*_ _)ペコリ


 この作品実は二万文字ほど書いた時点で最初から書き直しているんです。

 書き直す前はワインオセロの他に王様ゲームポッキーゲームなんかもさせる予定だったのですが、なんかダラダラな感じがしたので、全部削除しました。

 この後、愛してるゲームも出てきます。


 今使っているタブレットが限界近いようで、今朝電源が入らなくなりました。

 娘が直してくれたのですが、いつ使用不能になるか解らない状態。

 もし、連載がストップしてしまったら、タブレットが往生したと思って下さい。

 これ活動報告でも報告しておいた方がいいでしょうね。

 うーん、どうしよう。

 今、娘の入院を控えていて、余裕全く無いんですよねえ。

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