大事に
読んで戴きましたら倖せです。( ・∀・)ノ
夕霧は無言でピラフを頻りに口に運んでいた。
少し不機嫌にも見える。
「なんか怒ってる? 」
暁人が遠慮がちに言うと、夕霧は突かれた様にこちらを見て慌てて口の中のピラフを飲み込んだ。
「怒ってるんじゃなくて·······
困ってる」
「困る··········? 」
暁人は目を丸くする。
「この部屋·········」
夕霧は部屋をぐるりと見渡した。
「めちゃくちゃ投資してるんだよ
アキトが快適に住めるようにって、トイレはウォシュレットにしてるし、お風呂なんかジャグジーまで付けたの」
「ちょっと待て、この部屋オレを監禁する為にわざわざ作ったって事か? 」
「当然! 」
夕霧は胸を張って腰に手を当てた。
「だいたいそれってめちゃくちゃ計画的犯行だよね」
「勿論! 」
「全然自慢にならないからね」
「だから、ちょっとくらいここに居てくれないかなあ·······なんて·········」
夕霧は上目遣いで暁人の反応を伺った。
暁人は夕霧の上目遣いの破壊力にたじろいだ。
だかそれに負けている訳にはいかない。
「無理に決まってんでしょ!
仕事どうすんのさ!
このまま連絡も無しに仕事行かなかったら、絶対飛んだって事にされて、オレ歌舞伎町追放よ」
暁人は立ち上がって抗議するが、突然思い出して悲鳴をあげた。
「うおおおおおおっ!!
仕事おおおっ!!! 」
暁人は部屋の時計を見上げた。
時計の針は見事に7時をとうに回っている。
「ああああ~~
店長の冷たい瞳がマイナス200度から250度になってる
オレ、絶対凍ってるよお
ハンマーで殴られたらきっと粉々に粉砕してる
オレの人生、今ここで、たった今終わった! 」
暁人はテーブルに伏したきり固まった。
暁人がここまで恐れる、店長こと城冬馬はホストクラブを転々とし、叩き上げで店長にまでのしあがった男で、遅刻や無断欠勤には非常に厳しい男だった。
陰ではこんなあだ名が付けられている。
絶対0度の瞳を持つ男。
「あの店長さん、アタシには凄く優しいけど······」
夕霧がぼそりと言うと、暁人は顔を上げた。
「当たり前でしょ、接客業のエキスパートよ!
未だに街歩いてるだけで、通りすがりの女の子が店長の色香に当てられて妊娠するなんて言われてるんだからね! 」
「あら、アタシにはアキトの方がメチャクチャいい男だと思うけど」
根が単純な暁人はその言葉に気を良くした。
「そうお?
オレってそんなにいい男? 」
夕霧は嬉しそうに言う。
「うん、いい男!
アタシが本気になっちゃうくらいには! 」
「そうおー」
暁人は照れながら頭を掻いた。
「つかさあ、話変わるけど夕べ·········
その、オレ等何かあった? 」
夕霧は小首を傾げる。
「何か、って何? 」
夕霧が察してくれないので、訊いてしまった手前引っ込みがつかない暁人は言葉に困った。
「だからさあ········オレ、自分で脱いだの? 」
「アキト今朝はべろべろだったもん、服自分で脱ぐどころの騒ぎじゃなかったよ
アタシが脱がせてあけました」
「きっぱり言うな、きっぱりぃ········
それで、······その後何かあった? 」
暁人は上目遣いで夕霧を見る。
暁人の言わんとしている事に気付いた夕霧は顔を真っ赤にした。
夕霧は俯いて消え入るような声で答える。
「アキト本当にべろべろだったから、そんな処じゃなかったよぉ···········」
暁人は安堵した。
夕霧との行為は大事にしたいと思っていたからだ。
「そっか···········」
気まずい空気の中、二人はあらぬ方向を向いて互いを意識していた。
読んで戴き有り難うございます。m(_ _)m
昨日は、私の作品ではあり得ないくらい沢山の方に読みに来て戴いて、有り難うございますう。*.゜+ヽ(○・▽・○)ノ゛ +.゜*
快挙です。
連載中にアクセス数が50件以上あるなんて、無かったのでとてもうれしかったです。
そういえば、この作品の前に投稿したR18の作品「ネクロフィリア」ですが、そうとうエグい作品だったようで、お気に入り様が完読して下さったのですが、それ以外の方々には全く読まれていません。
どうやらあらすじで挫け、あらすじに打ち勝っても第1話目を読んだ時点で思いきり挫けてしまうようです。笑
自分、なんてものを書いてしまったんだろう、と思いました。笑
そんな作品を、お気に入り様だからと言って完読して下さったお気に入りの皆様に、深い感謝と共に申し訳なさでいっぱいになりました。
有り難うございます。
そしてごめんなさい。m(_ _)m
と言いつつ、またエグい作品を今書いてるんですよお。
懲りない奴です。笑
お気に入りの皆様、無理だと思いましたら、無理に読まなくても大丈夫なので、くれぐれもご無理なさらず。(*´Д`*)
そういえばpart2、ネクロフィリアもこの作品も監禁物で、実は今書いてる作品も監禁物です。
意図してそうなった訳ではないのですが、監禁物三部作になりました。笑
監禁物、色んなアプローチがあって楽しいです。