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ピンクな夜に囁いて  作者: 楓 海
2/12

世界が反転

 読んで戴きましたら倖せでございます。m(_ _)m

「監禁ってなんだ?!

 ここから出せ!

 服よこせ! 」


 監禁と言うワードに反応して暁人はいきり立つ。


 天井に備え付けのスピーカーから夕霧の緊張感の無い声が響いて来る。


「折角、捕獲したのに

 そう簡単には出しませんよお」


「捕獲って言うな!

 オレは熊かよ! 」


「そんな怒らないでよお

 熊·············

 そっかあ、アキトお腹空いてるんだあ

 だから、怒りっぽくなってるんだね

 今メイクびしっと決めたら、ご飯持っていくから待ってて」


「メシなんてどうでもいいから、ここから出せ!

 つか、メイクなんてもっとどうでもいい!

 いいから、早く出せえええええええーーっ!!!! 」


 暁人は興奮して我鳴り続けるが、どうやら夕霧はもうそこには居ないらしく全く反応が無かった。


 ふてくされた暁人はピンクの絨毯に座り込んだ。


 我鳴り続けていたせいで息が上がり、疲れたのでその場に寝転んだ。


「だる··············」


 ハタと思い出し部屋を見回し時計を探した。


 仕事の時間が気になった。


 ドアの傍の濃いピンク色の時計は夕方の4時を差している。


 出勤時間は7時だから、後3時間しかない。


 暁人はこの状況を後3時間で打破しなければならない事に焦った。


 しかし、焦った処でメイクをびしっと決めてからでないと夕霧は姿を現さないだろう。


 夕霧がメイクにやたらと時間を掛けないタイプであることを祈らずにはいられない。


 しかし、夕霧が男だった事に改めてショックを受ける。


 店に来ていた夕霧を実は特別な意味でいいなと思っていたのだ。


 暁人は不意な思い付きににやりと、ホストにあるまじき悪そうな笑みを浮かべた。


 暁人はある計画を思い付いたのだ。


 どうやら部屋のドアは夕霧の指をプレートに翳して指紋を読み込ませないと開かないようである。


 暁人はドアの横に立って待つ事にした。


 手荒な事はしたくないが、こっちも切羽詰まっている。


 夕霧にはちょっと痛い思いをさせてしまうが、致し方無い。


 やがて食事を運んで来るスリッパのパタパタと言う足音が聞こえて来る。


 ピッと言う音と共にドアは開き、暁人はチャンスとばかりに夕霧の首に腕を回した。


 夕霧が悲鳴を上げる。


「きゃーーーっ!!

 何するの?!

 まだ、心の準備ができてないのに!! 」


 そのセリフが言い終わる頃、暁人の視界は反転し、片手を前に出して何かのか構えのような格好をした逆さまの夕霧が目に映り、次の瞬間背中に鈍痛が広がった。


 世界は逆さまで、そのまま

身体が重力に従いずり落ちた。


「ほがべっっっ!!! 」


 何語か解読し難い言語(?)が暁人の口から飛び出した。


 暁人は何が自分に起こったか直ぐには理解できないでいたが、逆さになって壁に貼りついている自分の状態に気付いて理解した。


 後ろから夕霧の首を腕で絞めて逃げ出そうとしたが、逆に夕霧に腕を捕まれて投げ飛ばされ、一端背中が壁に貼り付き、床に落ちたのだった。


 夕霧はハッと我に返り、握った両手を口元に当て叫んだ。


「きゃーーーーーっ!!

 条件反射でアキト投げ飛ばしちゃったあ!! 」


 夕霧は慌てて、散らばったピラフやスープを飛び越えて逆さで壁に貼り付く暁人に駆け寄った。


 暁人は後転する要領で起き上がった。


「はーい、60点! 」


 夕霧がふざけて言った。


「低··············」


 夕霧は半ば笑って言う。


「大丈夫ぅ? 」


 暁人は突かれたように振り返った。


「大丈夫な訳無いたろ!

 世界が反転したんだぞお!

 つか、なんでそんなに華奢なのに男投げ飛ばせんの? 」


「アタシ、空手黒帯だもん」


 夕霧はさらりと言う。


 暁人は突っ伏した。


「全く、なんて日なのお········?

 マッパでオカマに投げ飛ばされるって、どおゆう罰ゲームだよお」


「オカマじゃなあぃーい!!

 トランスジェンダーって言ってよお」


 夕霧は口唇を尖らせる。


 暁人は一瞬我を忘れて夕霧のその表情に見惚れた。


 もともと凹凸の少ない顔の夕霧はメイクすると、とても男には見えなかった。


 付け加えて、暁人は惚れっぽい性格をしている。


 悪く言うと節操が無い。


 ホストをしている暁人だが、惚れっぽい性格か功を奏してか、それとも顔面偏差値の高い顔をしているせいか、口が上手い訳でも、女性の扱いがずば抜けて上手い訳でも無い暁人はホストと云う業界で何故か生き残っていた。


「あ~あ、ご飯がめちゃくちゃ········

 頑張って作ったのにな」


 夕霧はしょんぼりとしゃがみ込んで、ばら蒔いたピラフを手で拾い始める。


 細い背中を丸めご飯を拾い集める夕霧を、暁人はぼんやり眺めていた。


 その背中があまりにもしょんぼりしているので、暁人は思わず言った。


「また作ってよ

 今度はちゃんと食べるから」


 付け加えて言うが、暁人は非常にほだされ易かった。


 その言葉に振り返った夕霧の顔は、笑みを輝かせている。


「ほんと? 」


 暁人は頷く。


 夕霧は小躍りして喜び、皿とカップを胸に抱え言った。


「もっかい作って来るね! 」


 踊り出さんばかりの軽快な足取りで部屋を出て行った。


 暁人は暫く満足気にドアを見ていたが、ハタと気付いて嘆きの唸りを発しながら頭を抱えた。


「ああああああ~~~~~~~~··········

 監禁しようなんて言ってる奴にほだされてどうすんだよお」


 暁人は自分の節操の無い性格を呪いながら、力無く項垂れた。


 






 読んで戴き有り難うございます。m(_ _)m


 愛しのDexcoreが新譜出しまして。❤❤❤

 「The LIGHT」と言う曲です。

 架神くん、カッコいいーーーーっ❗❗❗❗

 前髪切っていたのは、クリスタルレイクの「アポロ」をカバーした映像で見ていて知っていたのですが、この髪を明るい色に変えたんですよね。

 そして、曲❗❗

 めちゃくそカッコ良すぎるでしょお❗❗

 めちゃ激しいアレンジにヴォーカルのフレーズが伸びて、反則的にヤバい❗

 ファンで良かったあ、と思える瞬間でした。



 私、時々ふと思うのですが。

 人が生まれかわる時、もしかして同じ時空に生まれかわることもあるのかなあって。

 実はムックの逹瑯さん見た時、初めて見た気がしなくて、どんな音作ってるか知っていたんですよね。リエントールの砂月くん見たも時も初めてな気がしなかったし、そんな経験が結構ゾロゾロあるんですよね。

 私は前世でもこの時空に生きていて、変わらずヴィジュアル系が好きだったのかなあ。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 監禁から始まる物語!! 面白いです!! しかもマッパ!!笑 これからどう展開していくのか……続き楽しみにしてますね(*^^*)
[良い点] 面白いのです〜(*´艸`*) 後書きが熱い!!
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