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ピンクな夜に囁いて  作者: 楓 海
1/12

監禁

 この作品は枝垂れ桜のお蘭様の作品「血風任侠毘沙門天の子守唄」のキャラが登場するキャラコラボ作品です。

 枝垂れ桜のお蘭様の作品と合わせて、

 楽しんで戴けたら、倖せです。

 静寂と言えば不気味なほど音が無い。


 小暮暁人(こぐれあきと)は静かすぎる事に違和感を感じて目が覚めた。


 酷い頭痛が目覚めと共に暴れだす。


 額に手を当て、のろのろと起き上がりナイトテーブルの上にあるスマホを求め手を伸ばす。


 視界がやけに奇抜な気がした。


 暁人は部屋を見回して唖然とする。


 明らかに自分の部屋では無かった。


 何故なら、部屋の総てがピンクでコーディネートされているからだ。


「なんだ、こりゃあ? 」


 左視界のドアが突然開いた。


 そして少し掠れた声が二日酔いの頭を直撃する。


「おっはよーーお!! 」


 当然、視線はドアの方に誘導される。


 そこに立っていたのは、金髪をショートカットにし、ピンクのティーシャツにブルージーンズを着た、見るからに華奢な男だった。


 男は更にピンクのハート模様が付いたフリル付きのエプロンを着け、ハート模様のスリッパを履いている。


 明らかにオカマ。


 暁人は駆け寄って来るオカマにビビる。


 トラウマが蘇り暁人は、咄嗟に壁にすり寄ってオカマから距離を取ろうと無駄な試みをしてしまう。


 だがオカマは暁人の直ぐ傍まで来てしまった。


「来るな!

 オレはオカマが嫌いなんだ! 」


 オカマは目を丸くする。


「嘘お、夕べはお持ち帰りしてくれたのにい」


「はあーあ!? 」


 暁人は訳が解らない。


「憶えてないのお?

 昨日、一緒に飲んでくれたでしょお」


 一瞬時が止まり、暁人は夕べの記憶を辿り始める。


 夕べは相当飲んだらしく、二日酔いに記憶の断片が見え隠れする。


 確かに夕べ店が捌けた後、女の子に逢った気がした。


 女の子の面影がぼんやりと蘇り、次第に鮮やかになっていく。


「確かに女の子と一緒だったけどオカマじゃない!

 夕霧っていう店の常連客、れっきとした女の子だ! 」


 オカマは眉間に皺を寄せ、訴える。


「だからあ、アタシが夕霧なのお!

 ハッ··················」


 夕霧は何かを思い出したように飛び上がって、部屋の奥にある一面が鏡になっている壁に突進して行き、映っている自分の顔を覗き込んだ。


「きゃああああああああっ!!!

 ノンメイク!!

 アキトが起きたのが嬉しくてスッピンなの忘れてた!! 」


 夕霧は両手で顔を覆い指の隙間から目だけを覗かせ「見ないで!見ないでーー!!」と叫びながら部屋を駆け抜け飛び出して行った。

 

 呆然としてドアを見詰めていた暁人は大きなくしゃみをする。


 気付けば自分は素っ裸だった。


「見ないでーーって、こっちのセリフだよ

 オレ、マッパじゃん···············」


 暁人は(にわか)に慌てた。


「誰が脱がせたの?

 まさかあのオカマ?

 それともオレ?

 何も無かったよね?

 何も無かったよねえ?? 」


 ベッドの上の毛布を手繰り寄せ身体に巻き付け、意味も無く部屋を見回し、更に驚く。


 部屋の壁には処狭(ところせま)しと肖像画が飾られているのだが、その肖像画に描かれた人物は総て暁人だったからだ。

 

 暁人は不気味な気持ちになり、背中から体温が下がって行くのを感じた。


「何だよ、これーーーーぇっ!! 」


 しかし誰の返事がある筈も無かった。


『何これ?

 オレ、ストーカーとかされてたの? 』


 暁人は暫く考えていたが、考えてどうなるものでも無いと、仕方なく服を着ようと着るものを探し始める。


 ベッド近辺にそれらしき物は見当たらなかった。


 部屋中を眼球に力を込めて探し、ご丁寧にベッドの下まで覗き込んだがパンツさえ見つからない。


「服は何処だよ、スマホは、財布は?

 夕霧のやつ何処へやったんだよお」


 暁人は短いため息を一つ吐くと毛布をたくしあげて着るものを求めてクローゼットを開いた。


 クローゼットの中は空っぽで紙が一枚貼られている。


 そこには「アキトの裸ってステキ!」とピンクの丸い文字で書かれてあった。


 ピンクの丸い文字と言うのがふざけている。


「まさか··············」


 暁人は嫌な予感がしてチェストの引き出しを開く。


 そこにも白い紙に「服なんていらないの、アキトはそのままで美しいんだから」と書かれ、引き出しという引き出しをあけ捲るがそこには服は無く、「ネイキッドアキト、ビュリフォー!」「裸の天使、アキト」などと、やはりピンクの丸い文字で書かれた紙が入っているだけだった。


「夕霧のやつ!

 下らない事に労力無駄にしやがって

 服入れろ! 」


 夕霧が出ていったドアを開けようとするが、何故かドアノブが無い。


 部屋の中を注意深く見回して、意味ありげに衝立(ついたて)が置いてある向こう側にドアをもう一つ見付ける。


 暁人はそのドアを開けるがそこはバスルームでピンクの便器とバスタブがあるだけだ。


 ついでに部屋のカーテンを開けると窓枠が壁に付いているだけで、窓サイズの夜景のポスターが貼ってあるだけの偽物の窓だった。


 さすがに頭に来て出入口のドアを叩いて叫んだ。


「こらあ、夕霧!

 何考えてやがる!

 服よこせ!! 」


 突然、部屋のスピーカーから夕霧の声が響き渡る。


「あーあー、ただ今マイクのテスト中、マイクのテスト中·········

 大丈夫そうね·············」


 暁人は何事かと耳を澄ませた。


「アキト、アナタは今日からアタシとここで暮らすの

 悪い言葉で言うとお、これっていわゆる監禁!

 今日から、よ・ろ・し・く··········」


 暁人は噴火した。


「ふざけるなーーーーーーーぁっ!!!! 」







 読んで戴いて有り難うございます。


 なんとか書き上がったのですが、私としてはあまり納得の行く物ではなかったです。

 と言っても私の今の実力では、これが限界かあ、と言う感じです。

 ほぼ一年悩みに悩んで、途中、何度も挫折を味わいました。

 本当に私はコメディ苦手なんだなあとおもいましたよ。(TT)

 娘にも向いてないと言われました。笑

 それでも一生懸命書いたので、最後までお付き合い戴ければ嬉しいです。

 二万六千字、十二話、今日から宜しくお願い致します。m(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[一言] なんとも突飛なイントロですが、一気に引き込まれました…夕霧、すごいですね…いったいアキト、どうなってしまうのでしょう…というか、アキトの貞操が心配になるのは、少し差別的でしょうか…? ちょ…
2023/11/08 19:49 退会済み
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