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五大英雄と殺戮の少年  作者: ぜいろ
第4章 獣の王国と魔導王朝編 ー生きとし生けるものの価値ー
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長く短い悪夢 ep.5 双壁

フォルリンクレーからの襲撃者、黒の魔女ダスクを止めるためにエルドバ護衛団第3支部に現れたのは、ダリア達が初めて出会った獣人の騎士、黒豹のトルーグだった。


ダスクによって操られる兵士を一喝だけで収めるなど、二人の戦いの序盤はトルーグが優勢だったが、ダスクが自分自身を強化する技「強制催眠」を使ったところから形勢が逆転する。


トルーグはダスクの前に敗れ、加えて生物兵器「屍人」をダスクによって与えられてしまう。











ー護衛団第2支部ー


「おいおい、ここまでかぁ?」


黒の魔女ダスクは、エルドバ騎士位階(ランク)8位のシマウマの獣人、「俊足のゼブラ」の体を腕1つで持ち上げながら言う。


「……動きが、別人のようだ……!」


「当たり前だろ?自分自身を洗脳してんだ。獣人に劣らねぇどころか、俺はお前らを凌駕する」


ダスクは微笑み、壁にゼブラを顔面から打ち付ける。ゼブラは血を吐き、その場に倒れ込んでしまう。


「これが、執政官の力……」


「まあ、俺はちょっと()()だけどな。それにしても、時間稼ぎとは。一匹に逃げられちまったじゃねえか」


「……私がお前を倒せなくても良い。エルドバとしてこの戦いに勝てるのなら……本望だ」


「けっ、イカれてやがる」


ダスクはゼブラの頭に強烈な一撃を叩き込み、失神させるに至った。


「逃げられたのは想定外だが、まあ問題ねぇだろ。どうせいつかは()()()()()()()()


ダスクはそう言って、護衛団第2支部を後にした。








ーエルドバ首都上空ー


「キエル様!」


キエルは各地の被害を確認している途中で、地上から呼ぶ声を耳にした。そこを見ると、傷だらけのエルドバ兵士が数名、1箇所に集まっていた。


キエルは地上へと向かって滑空し、兵士たちの元へと降り立った。


「各地の被害状況はどうなっている」


「第1支部付近は仲間同士を攻撃する者が発生し、その症状が他の者にも移る事態が確認されております!」


「第2支部は現在襲撃を受け、ゼブラ様が敵を引き受けている状況です!」


「第3支部に関しては……。トルーグ様が敗北され、他の者達についても全員戦闘不能の状態です」


3人の騎士は、口を揃えてフォルリンクレーからの襲撃を受けた事を報告した。キエルは状況を整理し、取るべき策について考える。


「第2、第3支部。敵の容姿などについて報告を頼む。現在フォルリンクレーの執政官達が直々に襲撃を行っていると思われるのでな」


キエルのその言葉に対して、第2支部と第3支部のそれぞれの状況を伝えた兵士達は顔を見合わせる。


「……どうした?」


「その、私達も困惑しているのですが、第2支部と第3支部に現れた執政官が、全く同じ見た目をしていたのです。それに、特異な能力に関しても全く同じで……」


「待て、第2支部と第3支部はエルドバの首都の中でも相当離れているはずだ。何故そんなことが起こっている」


「だからこそ不思議なのです。敵は自らの能力を『洗脳』と明かしていたので、長距離を移動する術は持ち合わせていないはずなのですが……」


「転送装置……。いや、あれは巨大すぎる。それにエルドバとフォルリンクレーを繋ぐものに過ぎないはず……」


キエルは兵士達からの情報により、現在エルドバにおいて現れている執政官に対しての対策を可能な限り巡らせていく。





「一旦この件に関しては私が預かる。そして現在起きている被害を最小限に食い止めるために、動ける者達を集めて住民を首都から遠ざけるように誘導しろ。後のことは近衛騎士に任せてもらう」


「承知致しました」


キエルに情報を渡した3人の兵士達は皆散り散りになり、住民の避難誘導を開始した。






「全ての支部が襲われた。とすれば、最後に執政官が狙うのは……」


キエルはそこで重要なことに気が付き、すぐに羽を広げて、可能な限り速くエルドバ王城へと向かって飛び立った。



「支部への攻撃はあくまでも囮……。本命はやはり、王城か!」


キエルは空中を最短距離で進み、ドーフに任せた護衛団本部へと向かう。その先にはエルドバ王城があるからである。


「ドーフ、バルダン様……!」








ーエルドバ護衛団本部入口前ー


「……逃げたかと思えば、戻ってきたんか」


真獣化(リ・ビースト)によって獣からより人の姿に近づいたドーフは、護衛団本部の入口前広場で、3人の執政官と対峙していた。


「こいつらは逃げた訳じゃねえさ。お前らの司令塔である、あの鳥野郎の注意を引くために負けたフリをしただけだ」


そしてまたもや、第2支部、第3支部に現れたはずの黒の魔女ダスクが現れていた。しかもそこに居る彼女は、トルーグやゼブラとの戦いで負ったはずの傷が1つも無い状態だった。


「……国を落とすにしちゃあ、随分と少数やな。一人一人が実力者ならここを通れると思っとんのか」


そう言ってドーフは護衛団本部へと続く階段から腰を上げ、3人に向かって吠えた。





ウオオオオオンッ!





その声は木々を揺らし、空気を響かせた。衝撃が肌にまで伝わってくるほど、ドーフの殺意がダスク達を襲っていた。


「なるほど、今までの奴らよりは骨がありそうじゃねえか」


ダスクは右の手で左の拳を包み込むようにして構え、指をポキポキと鳴らして臨戦態勢をとった。


「俺達3人を止めなきゃお前の負けだな」


「やってみせてから言ってみろや」




ドーフは地面を強く踏み、亀裂を生じさせる。それ程までに強烈な()()()()。次に放たれる攻撃の威力は、ダスク達3人にとって脅威となることは間違いなかった。


「シーズ!」


ダスクが叫ぶと同時に、シーズはキエルに対して攻撃した時よりも遥かに速いスピードで地面を凍らせる。それは、ドーフの生んだ振動を抑え込む程の冷気だった。




正電荷(プラスボルト)




黄の魔女エクサがダスクに触れると、ダスクの体は電気を帯び始めたのか、彼女の髪が徐々に逆立ち始める。


「力づくで通して貰うぜ」


ダスクがそう言ったのに合わせて、エクサは自分自身にも正電荷(プラスボルト)を付与する。そしてそのまま、ダスクに向かって勢い良く近づく。


正電荷同士のぶつかり合い、それが何を意味するのか。




すなわち、人智を超えるほどのスピードを生む。





既に自分自身を洗脳によって強化したダスクは、ドーフの方へとめがけて、尋常ではないスピードを持って突撃する。


「正面突破なぞさせるわけないじゃろうが!」


ドーフは当然迎え撃つ姿勢を取り、そのままダスクの攻撃と相殺するように、あえて拳をぶつけあった。





ドゴオオオオンッ!




ダスクとドーフ、両名の攻撃の衝突は、二人の周りの地形を変えるほどの衝撃を生む。



間髪入れずにダスクは身を翻し、上方からの蹴りによって伸びきったドーフの腕を地面に叩きつけ姿勢を崩そうとする。


ガンッ


しかし、ドーフはその攻撃にも怯まない。ダスクは一瞬無防備な姿勢でその場に留まることになる。


「良い攻撃やったが、まだ足りんのう」


ドーフは逆にダスクを狙い撃ちし、ダスクの鳩尾に渾身の一撃を叩き込んだ。その衝撃は体内を駆け巡り、結果として勢い良くダスクは後方へと飛ばされる結果となる。


「ぐあっ!」


ダスクの悲痛な叫びが聞こえるも、ドーフはそれに情けをかけるつもりなど毛頭なかった。






その時、タイミングを合わせるかのように、上空からキエルが飛来する。ドーフの横に降り立ったキエルは、目の前に居る3人の執政官を見て、事態を把握する。




「なるほど、随分派手に暴れてくれたものだ。だが……」


「ここから先は死んでも通さん」


二人の近衛騎士は、王城へと続く道の前に大きく立ち塞がった。










作者のぜいろです!


エルドバ戦線が始まった時と同じような構図、つまりフォルリンクレーの執政官 vs. 近衛騎士という形になっているのですが、何しろフォルリンクレー側には未だに謎が多い人物、「黒の魔女」ダスクが居ます。


彼女の言う「特別」とは何なのか。そして彼女の真の能力とは?


今後の展開にもご期待ください!




よろしければ、ブクマ、いいね、評価、感想等お待ちしております!

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