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五大英雄と殺戮の少年  作者: ぜいろ
第4章 獣の王国と魔導王朝編 ー生きとし生けるものの価値ー
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そして集う五大英雄

十帝はこの世界の支配者であり、地位の揺るがない圧倒的な強者、というのは世界にとっての常識である。


幼い子供たちですら、五大英雄の逸話や世界の成り立ちなどを昔話として語り継がれる。


炎帝、水帝、雷帝、風帝、光帝の五人の英雄達の子孫は「表五帝(ひょうごてい)」と呼ばれ、その名前が世界中に轟く支配者たちである。


これに対して、世界に大きな影響を及ぼすと考えられる者達の中で選ばれし五人の英傑達は「裏五帝(りごてい)」と呼ばれ、それぞれにふさわしい名前が与えられる。



兎にも角にも、一筋縄では行かない曲者揃いの十帝による会議は3年に一度、世界中央に位置する炎の帝国アルカラにて行われることが習わしとなっている。アルカラでは十帝会議が行われる3日間、五大英雄を祀るための祭りが催され、人々は歓喜に酔いしれる。





ーアルカラ首都、世界連邦本部ー


「今日はよろしくお願いします、レオ様」


世界連邦連邦長のセイバですら敬語を使う相手、銀色の甲冑に身を包むその姿は、位無くとも道行く人に足を止めさせる。


真紅に染まる赤髪に、左の頬にはしる傷跡、凛とした紫色の目は、彼の存在感を知らしめるには十分すぎるほどだった。


「お久しぶりです、セイバ殿」


「今日は議長らしいですね」


「やめてくださいよ、敬語なんて。昔は貴方によく相手をしてもらった」


燃え盛るかのような炎のオーラに包まれたその男は、セイバに対して罰の悪そうな顔を向ける。誰が見ても分かる好青年だ。


「そうか……?だったら言葉に甘えて」


「そうしてください」




彼は炎帝、炎の帝国アルカラを統べる皇帝「レオ・クラウド」。先代炎帝である父の急逝に伴い、若干14歳という若さで十帝と成った。


炎を司る五大英雄に受け継がれた先天的な加護、「炎撃の加護」を持ち、彼の戦った後に草木は根すら残らないとも言われている。





「皆さんはお着きに?」


「いや、今来てるのは2人だけだ。他の方々はまあ、間に合わなさそうな人達ばかりだ」


セイバの青ざめた表情で、レオはその意図を汲み取る。何人かの十帝のメンツの顔が浮かぶが、とりあえずは会議が行われる国際会議場へと向かう。


「前回はほとんど聴講で終わっただけに、議長となると緊張しますね……」


「貴方なら大丈夫。戦う時には微塵にも恐怖など感じていないでしょう?これも同じ、戦いだと思えば良いんだ」


「なるほど、試してみます」



そう言って冷静な目になったレオの表情は、セイバも含んだ周囲の温度をまるで何度か上げてしまったかのような圧を感じる。


例え若くとも、彼もまた五大英雄の血を受け継いだ、れっきとした猛者なのである。





レオが国際会議場の扉を開けると、そこには二人の女性が既に席に着いていた。


一人は西方を治める水の帝国皇帝、「ハピナス・ラハン」その人であった。ダリア達に見せたように屈託のない笑みを浮かべてレオのことを待ち受ける。


もう一人は口元をマスクのような黒い布で覆い隠した女性。スーツのような服を身にまとい、背中にはローブが垂れている。


片眼鏡に透き通った美しい金色の長髪は、いかにも才女を思わせる。


「あ、レオちゃん」


「……」


そんな見た目からして対極的な二人の反応は、予想通りそれぞれであった。


「せっかくお呼ばれしたから焦って来たのに、マギアちゃん以外誰も居ないじゃない!」


「……いつもの事です」


まだ到着していない十帝達に対して、可愛い怒り方を見せるハピナスと、視線を動かさず冷静に受け答えをするマギア。二人はやはり反対の行動になることが多いらしい。


「とりあえず待機ですかね……」



ドガアアアアアンッ!





レオが会議場の椅子に座ろうとした瞬間、反対側の扉が轟音を立てて崩れ去った。立ち上る煙の中から、褐色の男が現れる。


「全く、いつ来ても息苦しい場所だな、ここは。いっその事天井に穴でも開けてしまうかっ!」


金色の髪に褐色の肌。全身から漂うダダ漏れの馬鹿げたオーラは、まさに歩く厄災と呼ぶに相応しいものだった。


「……反応が無いとは辛いものだなっ!」


そう言って男は堂々と国際会議場の中を進み、レオの正面に豪快に座る。


「よろしく頼むよ、()()()()()


「こちらこそ、ウィリアム殿」


「うむ」




荒々しくも猛々しい屈強な男。彼こそが北方を治める雷の帝国ファルハラムの皇帝、雷帝「ウィリアム・バッバーザード」である。


触れるもの全てが消し炭と化す程の(いかづち)を我が者とするウィリアムが持つ加護の名は、「雷轟の加護」。レオやハピナスと同じく、五大英雄の血を引く先天的な加護の持ち主の一人である。




()()()


ウィリアムは自分が破壊した扉の方を見やると、そこから一人の男が歩みを進めてきた。




黄緑色の美しい長髪を一つに束ね、目元を水色のバンダナで覆った青年は、国際会議場へと足を踏み入れる。歩く度に衣装に付いた鈴が揺れ、その音が会議場に響く。


「遅れて申し訳ありません。本部の近くには()()を繋いでおく場所が無いようで、手間取ってしまいました」


その青年は頭を下げると、レオから見てウィリアムの一つ隣の椅子に座る。


「元気にしてたか、青二才」


「……ええ、お陰様で」


青年とウィリアムの間には、激しい火花が散っているようにも見える。二人の間にはこの場に留まらない因縁があるからである。



ウィリアムとの間に因縁を持つ青年は、東方を治める風の帝国リカネルの皇帝「トルシェリン・アルファ」である。


人も魔物も、その全てを寄せ付けない怒涛の疾風を操る「風絶の加護」を持つ。もちろんこれも五大英雄の力を受け継ぐ先天的な加護である。




「あー、僕が最後だあ」



そう言って、最後の五大英雄の血を受け継ぐ者が、ウィリアムとトルシェリンが入ってきた扉から入ってくる。


幾つもの装飾品を飾り付けた黒色の軍服に身を包むその人物は、ウィリアムが破壊した扉の瓦礫を軽い身のこなしで会議場の中央部まで辿り着く。


「遅れちゃいました、すみません」


ニッコリと彼は笑ってみせるが、そうやって閉じられた目は、1ミリも笑っているようには見えなかった。



黒髪にツリ目、人を嘲り笑うようなその若い男は、ハピナスの右側に悠々と座る。


南方を治める光の帝国オルバランの皇帝「ミツル・シノハラ」は、「光陰の加護」を持つ五大英雄の子孫。光も闇も、全てを食らう悪魔の如き力を持つ。



「表五帝は揃ったな!まあ、そもそも裏五帝の奴らは出席率悪ぃからなあ」



そう言ってウィリアムは誰の許可を得たのか、懐から取り出した酒を開け、それを一瞬で飲み干した。


「十帝とは言え、表と裏じゃ()()()()()()()()()()。毎回ちゃんと出席するマギアちゃんがどれだけ偉いことか」


そう言ってミツルは両肘をついて目の前にいるマギアを見つめる。


「私は世界連邦直属の人間ですので。連邦に迷惑はかけません」


ミツルによる挑発にもマギアは平然として返答する。彼女の意思はそう簡単には揺るがないようだ。



世界の為政者が集まる十帝会議の場、会議が始まる前から、彼らの思惑は多様にして、一筋縄で行くものでは無い事は確かだった。

皆様こんにちは、こんばんは。作者のぜいろです!今回もノリノリであとがき、やっていきますよ!



今回は遂に、作品タイトルにも入っている「五大英雄」が全員姿を現す回となりました……!水の帝国サドムでは、ダリア達一行が水帝ハピナス・ラハンへの謁見、そして水帝の実力を知るという話を書きましたが、他の四人も中々に曲者ぞろいなので、ぜひぜひ戦闘描写などを楽しみにお待ちください!


五大英雄については、現在皆様のイメージを確立するために絵師の方にイラスト依頼中です!挿絵として登場するのは恐らく、本編の方をまた少し進めたあとの、次の「十帝会議」を描くタイミングを予定しております!もちろん今回の話を読んで五大英雄の容姿について想像を巡らせてみてください!



さて、ここで本作の重要な設定についておさらいです。そもそも五大英雄って何者?何をした人なの?ってところですね!


五大英雄はその名の通り、現代に生きる人々にとっての「英雄」です。今の世界の礎を築いた五人の人間を指していて、今のその子孫たちが世界の各地で支配力を維持することから分かるように、絶大な支持を受けています。


今の世界を創った、と言っても過言ではないほど重要な過去の「戦い」に勝利しており、その時から人々によって五大英雄として称えられることになったのです。


この「戦い」については、本編で恐らく現在の章の間には秘密が少し分かるように書けるかな、と思っています。今回の章でこの部分が進まなければ、次の章で確実に出しますので、覚えておいていただければ幸いです。ここら辺は、作者の構想が現在2つのルートで分岐しているのが問題なのですが、読者の方々は気にせずスルーして頂いて大丈夫です……。


ということで、まだまだ謎の多い五大英雄。皆様も是非彼らの強さ、容姿について想像力を働かせていただけると、私としても感無量です。





是非、いいね、評価、ブクマ、感想等お待ちしております!辛辣なものでも作者は喜んで受け入れます!



ではでは、作者のぜいろでした!

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