表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
五大英雄と殺戮の少年  作者: ぜいろ
第3章 水の帝国編 序章 ー顕現する過去の禁忌ー
53/138

シンの過去 -3 神殿の番人

「精霊の神殿に行く前に、ちょっと顔を出したい所があるんだ」


そう言うガガリアンさんに連れられて、俺とオノンは巨大な建物の前まで来ていた。


「……デカい」


「なんだよ、ここ」


目の前の建物に呆気に取られている俺とオノンに対して、ガガリアンさんは教えてくれた。


「ここは西方聖騎士団本部。シンも将来ここで働くことになるかもな」


西方聖騎士団本部と呼ばれるその場所は、建物の頂上に世界連邦の旗、聖騎士団のシンボルマーク、そしてサドム国旗が掲げられていた。



「さあ、中に入ろう」


そう言ったガガリアンさんは、驚きを隠せない俺とオノンを導くようにして中に入っていく。




「ようこそ、西方聖騎士団へ。何か御用ですか?」


建物に入るとすぐそこには、聖騎士と思われる甲冑を着た屈強な男達と、簡易的な受付のようなものがあった。


受付に立っている容姿端麗な長髪の女性は、ガガリアンさんに対して頭を下げてからそう言った。


「ファンドを呼んでくれ。ガガリアン・シャリオットの名前を出してくれればきっと話が早い」



受付の女性はシャリオットの名前を聞いて驚いた表情を一瞬見せたものの、すぐにまた冷静な顔をして、別の受付へと何かを話していた。


話を受けた別の受付の女性は、しばらくして一人の男性騎士を連れて戻ってきた。



「兄貴、久しぶりだな!」



その人はとてもガガリアンさんに似た見た目をしていた。嬉しそうな表情でガガリアンさんの元へと歩み寄る。


「ここに来るなんて珍しいじゃないか……。それに、後ろの子供達は?」



恐らくガガリアンさんが言った、ファンドという人であるその人は、俺達の顔を覗き込んだ。



「ハーシュ辺境伯の息子達さ。今の戦争の影響で俺の所に預けられてる」


そう言ってガガリアンさんは俺とオノンの頭を撫でた。



「ああ……。確かにハーシュ殿は此度の戦争に駆り出されてるからな、無理もない」


そう言って彼は、俺達と目線を合わせるようにして屈むと、ニコッと笑った。



「俺はファンド・シャリオット。お前達が世話になってる兄貴、ガガリアンの弟だ。よろしく」


そう言って差し伸べられる手に、俺は一応握手で返した。ファンドさんは「よしよし」と言って嬉しそうだ。




「ファンド、この大変な時期に悪いんだが、精霊の神殿への船は出てるか?ビュケルにはあまり戦争の影響は出てないようだが」


「ああ、出てるには出てるね。ただ、兄貴が()()()よりも精霊の神殿へと行くことは難しくなってる。一応、()()()()に話は通しとくよ」



ファンドさんの口からは、また知らない人の名前が出る。ただ、精霊の神殿に関わる人物ではありそうだ。



「ありがとう、恩に着るよ」


「兄貴の頼みなら幾らでも」


二人の兄弟がそれから少し他愛も無い話をした後、ガガリアンさんは俺達を連れて西方聖騎士団本部を後にした。




「オルゴーって奴は、『水帝の盾』ムタファ家の堅物でな。精霊の神殿に向かう人々にとって()()として恐れられてる奴なんだ」


「えっ……」


「そんなにヤバいやつなのかよ……」



ガガリアンさんがあまりにも神妙な面持ちで話すものだから、俺とオノンは少し顔がひきつってしまう。



「なに、女性と一体一で話すことも出来ないような奴だから安心しろ。あまりにも口を開かないから、堅物って呼ばれてるだけさ」


ガガリアンさんが笑ってそう言ってくれたので、俺達は少しほっとした。






ほっとしたのはいいのだが、いざ本人を目の前にするとそうも言ってられなかった。


「……」


港で待っていたとんでもない大男はら睨みをきかせるようにして俺達の顔を覗く。その顔には大きな傷があり、身長に見合った巨大な体躯は、まさに化け物のようだった。


「ようオルゴー。元気にしてたか」


「……はい。……ガガリアン殿も元気そうで何より」



その大男でさえも、ガガリアンさんに対しては腰を低くしているようだった。



「なあ、なんであのおっさん、あんなでかい奴に頭下げられてるんだ?」


「それだけ優秀な騎士だったんだろ」



俺達のコソコソ話を聞いていたのか、オルゴーと呼ばれた大男は俺達の前に仁王立ちしていた。



「……ガガリアン殿は、……西方聖騎士団に知らない者は居ない英雄だ。……無下にするな」



オルゴーさんの圧力に、俺とオノンは黙って頭を上下に振った。





「……乗れ、精霊の神殿へ連れて行く」



オルゴーさんに招かれて、俺とオノンは港に泊まっていた船へと乗り込んだ。しかし、ガガリアンさんはそれに着いてこようとはしない。




「ガガリアンさんは、行かないの?」



俺がそう尋ねると、ガガリアンさんは首を横に振った。



「俺は、そっちへは行けない。と言うよりも、()()()()()()()()()




ガガリアンさんはそれだけ言って、オルゴーさんに「後のことは頼んだぞ、俺は此処で待ってる」とだけ話し、港を後にして行った。




「……行こう。……精霊の神殿までそう遠くはない」



オルゴーさんの言葉に合わせるようにして、船の運転手は舵を切った。










「おじさん、こんな所に呼び出して何の用?」


「おお、ソニーユ……。久しぶりだな……」


「そうだね。それで?何の用って聞いてるんだけど」


「ああ、お母さん……。アイシャは、元気か?」


「元気だよ。最近は会ってないけどね」


「聞いたよ、ソニーユ。聖騎士団に入るらしいな。精霊の加護まで受けて……。優秀なんだな」




「あのさ」




「いつまでも家族ヅラしないでくれる?救国の英雄だかなんだか知らないけど、今の貴方は少なくとも、尊敬には値しない」



「ソニーユ……」




「……名前を呼ぶなよ!」





「シャリオットの名前に泥を塗る人間は、要らないんだよ」

作者のぜいろです!


今回のシンの過去で出て来たオルゴー・ムタファは、ボルザーク・ムタファ(西方聖騎士団統帥)の次男になります。


今から9年前なので、オルゴーは25歳という作者の設定がなされています。現在の彼は34歳です。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ