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五大英雄と殺戮の少年  作者: ぜいろ
第2章 霧の王国編 ー霧龍の民と自我無き神獣ー
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新しい旅路

「……やっぱり行くんだな」


俺がかつて入って来た城壁とは、反対側に位置するザバン城壁の門で、俺とシンをキーンさんは見送ってくれた。


俺は王国奪還作戦の後、体を完全に回復するために、10日ほどザバンに滞在した。国民達が自らの手で、新しいザバンを作ろうとしているのを、俺は自分の目で確かめていた。


「ジジイによろしく頼む」


「ああ、もちろんだ」


カルマさんは、ザバン共和国としてのスタートを円滑にきれるように、今は議会の設立や法律の制定で大忙しらしい。なんでも、王国奪還作戦の時に敵対していた人と一緒に国を復興しているとか。


「帰ってきた時に、お前を倒せるようになっとくよ」


シンは、キーンの隣に立つアゴンに向かってそう言った。


「ああ、いつか必ず帰ってこい。私はここで待とう」


アゴンは、ネオン鉱石によってサルノー家に隷属の契約を結ばれていたようだ。あとから聞いた話では、他の国から流浪の民としてザバンに流れ着いたアゴンの戦力を欲しがったサルノー家が独断でやった事のようで、他の人間は関与していないらしい。



シンとアゴンさんの決着は、二人の間でついていないことになっているようだ。だから、シンがザバンに帰ってくるまで、その戦いはお預けということになる。





キーンさんとアゴンさん、そして多くの王国軍兵士たちに見送られ、俺とシンは砂の王国ザバンを後にした。それにしても、予定より長い滞在になってしまった。



「ところでダリア、ザバンから水の帝国『サドム』までは一本道じゃないのは分かってるか?」


「え、そうなの!?」


ゴーシュさんは俺に、サドムに行く途中でザバンがあるというざっくりとした情報しか教えてくれなかった。



「お前が知ってるか分かんねぇけど、俺も昔問題を起こしててな。その時俺を追ってたのが、サドムの連中だ。正直あんまりサドムに行くのは気が進まねぇ」


確かカルマさんがこの国の過去を教えてくれた時に、シンがサドムからの亡命者だという話を聞いた気がする。同じような雰囲気を感じていたのはその為かもしれない。



「……まあ、とにかくだ。ここからサドムに行くには2つのルートがある」


「2つのルート……」


「1つは、霧の国ミスティアを通ってサドムへ向かうルート。基本的に使われるのはこっちだし、俺もサドムから逃げてきた時は、こっちを使った」


霧の国ミスティア……。五大帝国の一つサドムに隣接する国、一体どんな国なのだろう。


「そしてもう一つ」


シンの顔が急に曇る。



「禁域の一つ、ジュカテブラの遺跡群を通り抜けることだ。ただ、これは絶対に勧めねえ。命が惜しけりゃミスティアを通るのが妥当だ。ただ、その分遠回りになっちまうがな」


禁域、という言葉に、俺の体は神獣アラポネラと出会った時のことを思い出す。


ゴーシュさんが教えてくれた。禁域は、その場所自体が危険なものを意味する言葉であり、他の意味として神獣達の棲家を表しているらしい。



「その禁域は、神獣がいるのか?」


「ああ、いる。と言っても、目撃されたケースと、そもそも生きて帰ってきた例が少ないのもあって詳しいことは分からないらしいけどな」



そんな道、通るべきではないという結論に、俺たちは達した。俺たちはザバンから出て北西に位置する国、霧の国ミスティアへと向かうことを決めた。








ー霧の王国ミスティアー


「いけません、お嬢様!今すぐ城にお戻りください!」


傍に控える兵士の一人が、そう言って姫をその場に留めようとする。しかし、彼女は止まらない。



「嫌です、国がこんな事になっているのに、王家として見過ごす訳にはいきません!」


姫は兵士の声を振り切って、城を出ていこうとする。しかし、扉までもう少しというところで、一人の男が姫の前に立ち塞がった。


「少々お転婆が過ぎますね、姫様」


青色の整えられた髪に、美しい翡翠色の目をした青年は、姫を言葉だけで鎮める。


「あなたのことはよく知りませんが、今外で何が起きてるか分かっているんですか!?このままでは、国民にまで犠牲が広がってしまうかもしれません!」


「分かっていますとも……。だからこそ我々が派遣されたのです」


青年は自分の持っている剣を姫の前に置き、片膝を床に付ける。この世界では、目上の人間に対する最大級の敬意の表し方であり、抵抗の意思がないことを示す。



「世界連邦所属聖騎士団筆頭、ノエル・ジャガーと申します。この度ミスティアに降りかかる災いに対処するため、()()()()()()()()()ここに居ります」


ノエルと名乗ったその男の言葉に、姫は言葉を失う。この世界で『五大英雄』の名前を出すということは、それだけの覚悟、重みがあるのだと言うことを、姫は知っていた。



「ある者が予言致しました」


ノエルは下げていた顔を姫の方に向け、姿勢を崩さずに続ける。


「2つの凶星がこの国に訪れ、災いを退ける、と。しかし、私を一つと数えても、まだ予言には足りていないのです」


姫は言いたいことがありそうな顔をするが、グッとその言葉を飲み込んだ。




「来るべき日を、待つのです。災いを退けるために」





五大英雄と殺戮の少年 第2部


霧の王国編 開幕

作者のぜいろです!


砂の王国編が終わり、今回から新章霧の王国編が始まります!


霧の国ミスティアに降りかかる「災い」の正体とは?2つの凶星が示す意味とは?


是非、ご期待ください!



評価、いいね、ブクマ等お待ちしております!(最近ブクマ増えてきて嬉しいばかりです)



ぜいろでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 平和的に始まったかと思えば、途端にどん底に落ちて先々が気になる伏線。 加護やその枠に当てはまらぬ自我のある力。建国の歴史などの舞台背景からみても、今後どうなるんだろうと序章で強く惹きつけら…
[一言] まだ、追いつけてませんが 面白くて好きです! それと、色々かっこよかった……羨ましいです 応援しとります!
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