山登り
どうもお餅サンドです。
実は前から投稿していた別アカウントがあったんだけど、ログインのパス忘れちゃって新しくアカ作り直しました。◀️◀️くそアホ
この小説はアルファポリス様に掲載中のものを、少しだけ改投したものになります。
先が気になる方はぜひそちらへ!
誤字が多いけどそこはまあ、察してください
「はぁ、はぁ、もう無理帰る!」
「はぁ?ちょっと何言ってるのよ、まだ中腹よ?男ならもっと頑張りなさいよ!」
(はぁ、はぁ、別に男に生まれたくて男になったんじゃないよ!)
俺は今、何故か登山をしている。
屋敷の裏には雑木林と小川が流れていて、さらにその奥には小高い丘がある。
そのさらに奥に行くと、手前の山が標高600m位になる山脈の入口があるんだけど、俺は今その600m級の山を登ってる
(はぁ、どうしてこうなったんだよ。)
ーー
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それは午前中の事
「おぉ~ やってるやってる!」
朝食を食べて部屋に戻って来たら、部屋の窓から小麦の収穫をしている町人たちの姿が見えた!
「黄金の畑もこれで見納めか」
なんか収穫とゆうことで嬉しくはあるものの、やっぱりちょっと寂しく感じるな!
多分農家だったらそんなことよりも収穫なんだろうけどさ。 主な収入源なわけだし
それでもこうゆう光景に憧れて田舎に住みたいと思ってた俺としては、寂しく思っちゃうのは仕方の無いことだと思う。
「なーにしけた顔してるのよノア、5歳児がそんな渋いセリフ吐いたって滑稽なだけよ?」
おいおいマジかよ、俺のノスタルジータイムを邪魔しないでくれよ!
てか本当に毎度毎度…
「シア姉さん、ノックをしてってこれで何回目? 何度も言われた事が出来ずにこうして5歳児に説教される姉さんの方が滑稽とゆう字にピッタリだと思うんだけど!」
「なっ、うんうん聞き間違えだよね? ねぇノア、もう一度今言ったことを言ってくれないかしら、私ちょっと聞こえなかったわ」
何だよ! 自分は言いたいこと言っといてちょっと言い返しただけでキレるの? さすがにそれはどうなの?姉として。
「もういいよ、次からは気をつけてよ? で?なんの用?」
「あっそう?まあ今回は特別に聴き逃したことにしてあげるわ! それはそうと、今から遊びに行くわよ!」
「は? やだよ! 俺今日やる事があるし、どうせ大した事しないでしょ? 」
ふふ!即答してやったぜ!
残念ながら今日は無理だ!何せ今日はボードゲームを作ろうと思ってるからな! 用事があるんだから絶対に遊びになんて行くもんか!
「やることってなんなのよ!」
「別になんでもいいでしょ?なんでそれを姉さんに言わないといけないの?」
「私の誘いを断るんだからその理由を教えるのは当たり前なんじゃないの?」
「………」
ち、正論だ。
「それで?その用事ってのは何なの?」
「今日は前に買ってきた木板を使ってゲームを作ろうと思ってたんだよ!」
「ん?ゲーム?何それ面白そうね! 」
ん?なんかシア姉さん乗ってきたぞ?
これはこのまま押しまくれば行けるか?
「そうでしょ? 出来たら絶対姉さんも楽しめるよ!」
「ふふふ、それは楽しみじゃない!出来たら一番最初に呼んでよ?」
「もちろんだよ! なんなら姉さん用のやつも作るよ!」
くふふ、単純単純! 所詮は7歳児のお子ちゃまだな! 万事上手く行きそうだ!
「本当? ありがとうノア! 私はノアみたいな弟を持てて幸せよ! ふふふ」
「でも、それは明日でも出来るでしょ?」
ん????
「私の用事は今日じゃなきゃダメなの、それにお姉ちゃんとダリルお兄ちゃんも一緒に行くしね」
くそ、なんだよそれ! 俺は絶対行かないぞ?
「あのねぇ、俺は今から作るゲームをノルヴェスにうって、将来生きていくための資金にするの!わかる? 俺の命がかかってるんだよ? 姉さんはそんなに俺の命を捨ててもいいと思ってる訳?」
「はぁうるさいわね、行くったら行くのよ! それにゲームは明日でも作れるんでしょ? 命命って、そんなに命が欲しいなら私の言うことを聞く事ね! じゃなきゃノアが魔法の練習の時に羽目を外して、庭の咲いてる母さんのお気に入りの花を燃やした事をバラすわよ!」
「すいませんでした! ぜひ行かしてもらいます」
「ふん、最初から悪あがきせずに来るって言えばいいのよ!」
チクショー!そうえばあの時シア姉さんがたまたま剣の稽古しにきて内緒にしてもらったんだったな!
あの情報をここで出してくるなんて酷いじゃないか。
ーー
ーーー
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とまぁ、こんな感じで登山をしている。
「こらこらシアちゃん、そんな言い方はダメでしょ? シアはノアのお姉さんなんだから」
おぉ~、シア姉さんを言いくるめた!さすがエルーナ姉さん、お姉さんの鏡のような人だ! よっ!天使様!
「大丈夫よノア、私たちがノアに合わせるから、ゆっくりでもいいの! 目的の場所は山頂なんかじゃないからもうすぐ着くのよ?だかね?あとちょっとだけ頑張ろ?」
え? 目的地山頂じゃないの? なんでそれもっと早く言ってくれなかったのさシア姉さんは!
登山だからてっきり山頂が目的地だと思って、わざとハードペースに着いてきて途中リタイア狙ってたのに、もう目的地に着くならここまでの努力全部無駄じゃんかよ!
はぁ~もうやってらんない、とっとと目的地行っちお!
「わかった、もう疲れたけど身体強化魔法使って登りきっちゃうよ!」
「うふふ、うん!ノアはそうじゃなくっちゃね! じゃああとちょっと、頑張っていくわよ!」
「「「「 オー!! 」」」」
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それからどれくらいだ? 5分?10分くらいか? まぁ再び登り始めて割とすぐに「ふふふふ、よく頑張ったわねノア、ここが今日の目的地よ!」とゆうエルーナ姉さんの天使のような声に、俺は発動してた身体強化を解いた。
「な、なんだよこれ! スゲェーー!!!! 何ここ!!」
俺の目の前には今、広いセンバート領がある!
スゴすぎるだろここ! センバート領を一望できるじゃんか!
目的地とゆうのは、山の中腹にある小さい広場の様な場所のことだったのだ!
「ふん!来てよかったでしょ?」
シア姉さん……
「うん!凄いよここ! 誘ってくれてありがとね!」
俺がそう言うと「ちょ、別に良いわよそんな事! 」と、何故だかバツの悪そうな顔をしながらも「はぁ~、さすがにちょっと疲れたからあっちで座ろ~っと!」
とか言いながらあっちへ行っちゃった。
なんかシア姉さんがいつもと違うように感じたけど、よく分からん姉さんだよ。
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「ノア、ここは気に入ったかい?」
「ダリル兄さん!うん、すごいねここ」
「ふふ、そうでしょ?だってここ、センバート領開拓時代にここなら一望できるって理由で、父さんと母さんが無理やり作った広場だからね!」
「は? え?この広場を?」
「そうだよ! 僕が初めてここに連れてきてもらった時に昔を懐かしむように2人で話してたからね」
「なにそれ、戦争の英雄ってのは知ってたけど、そんなに化け物じみた事までしてたの?」
「まぁ、そうなるよね? 僕も初めて来た時そうなったよ。」
ウチの両親どんだけだよ! 地形変えるとかヤバすぎでしょ!
兄さんからの突然のカミングアウトで、普段は優しくておっとりしてる俺の両親が、人間離れした存在なんだと改めて感じた気がする。
(ちょっとスゴすぎだけどね。)
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その後エルーナ姉さんに呼ばれて(なんだろう)と思っていたが、どうやらお昼ご飯をここで食べるみたいだ!
登山中から3人が荷物もってるけど何に使うのかな? と思っていたが、どうやら荷物の中身はピクニック用品だったらしい
大きめのゴザを敷いてみんなで昼食になる!
今日のお昼はバスケットに入った沢山のサンドウィッチと木の容器に入ったミートソースパスタ、そして水筒に入った冷製スープだ!
「ノア、手を洗うから水の魔法をお願い!」
「ほいほい!」
こーゆう時に魔法が使えると本当に便利だ!
もはや詠唱なんてなくてもお手の物になった水魔法で、ちょうどいい大きさのウォーターボールを作る!
「ありがと! じゃあ、ても洗ったし頂きましょ!」
「「「「いただきます!」」」」
うん!このサンドウィッチめっちゃ美味いな! シャキシャキのレタスとベーコンに目玉焼き、そしてかかってるソースはエルサーラのとこで買ってきてダンに教えたウスターソースだ!
香ばしいベーコンのパンチと濃厚な卵の黄身、そしてそれらをさっぱりまとめるウスターソース!
これは大当たりだな! めちゃくちゃ美味い!
それにちょっと臭いかもしれないけどこの景色と、そしてこの食事をみんなで食べるってゆう状況が、最高のスパイスなのかもしれないな!
俺が求めていたのはこれだよ!こーゆう他愛のない時間を誰かとまったり過ごす。
果たして俺はこんな幸せで良いんだろうか~ なんてな。
ーー
ーーー
ーーーー
食事の後は各自まったりしていいと言われたので、俺は1人で景色を見ながら(あぁ、みんな小麦の収穫してるんだなぁ~)とか思っていた
ここからだ本当に豆粒のようにしか見えないけど、沢山の人達が収穫作業をしてるのが見えるからな!
そんなにたわいもない時間を過ごしていると、エルーナ姉さんが話しかけてきた。
「ふふ、ノア楽しそうね?」
「うん! こんなに幸せな日はそうそうないね!」
「あらあら、じゃあ後でもいいからシアにちゃんとお礼を言わなきゃダメよ?」
ん?シア姉さんに? どゆこと?
「どうしてシア姉さん?」
そう言うと、エルーナ姉さんはちょっとだけ驚いたように言う
「あら?聞いてなかったの? 」
え?なんの事?
「そっか、ふふ、シアは恥ずかしかったのね」
「ちょっと姉さん、一人で納得してないで教えてよ!」
「あらそうだった、あのね? この登山の事を言い出したのはシアなのよ?」
へーそうなんだ、あのシア姉さんがね~、なんか意外かも
「ほら、今日じゃなきゃダメって言ってなかった?」
「え? んー、あ!言ってた言ってた! でもなんで?」
「それはほら、ノアが初めてテルヌスの町に行った時に、脇の小麦畑をキラキラした目で見てたでしょ? それに落ち着くとか言ってたし、今日収穫が始まったって聞いて、慌てて準備したんでしょうね」
んー、確かにそんなこと言った気がしなくもないな。
てかそんなこと覚えて無いんだけど!
「シアは素直じゃないしちょっとだけ乱暴なところもあるけど、それでもノアのことが大好きなのよ?」
ふ、あれでちょっとだけとは思えないんだけどね。
とゆうか、エルーナ姉さんは何を言ってるんだ?
「その顔は「は?このアホ面は何適当なこと言ってるんだ?」て顔ね!」
いやいやそこまで思ってない!
「ふふふ、ほら、考えてみて? 今日の登山、シアは荷物をふたつ持ってたでしょ? それに登山中、何度も声を掛けられなかった?」
「えぇ~っと、まぁ、確かにそうかも」
「あの子はノアが遅れたり疲れすぎちゃう事がないように、ずっとノアの事を気にかけてたのよ? それに荷物もね!」
ふふ、まさかね!
あのシア姉さんがそんな事思ってるわけ無いじゃんか!
「あら、信じられなさそうね。まぁそれはおいおい分かっていくことだと思うからいいわ? でも、ノアがさっき言ってた幸せな日を作ってくれたのは間違えなくシアなんだから、ちゃんとお礼は言わなきゃね?」
「まぁ、楽しかったし後で言ってあげなくもないけど」
(ふふ、本当、シアもノアも素直じゃないわね! でもこの2人、実は案外似たもの同士なのよね。)
エルーナ姉さんとのお話が終わったあとも中々タイミングが見いだせずに、登山の疲れもあってか、昼寝をしたらグッスリと寝入っちゃったらしい。
ーー
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「はぁ、はぁ、はぁ」
「シアちゃん大丈夫? 荷物ひとつの持とうか?」
「大丈夫! あと少しだし本当に大丈夫だから!」
(はぁ、 ふふ、今日のノアはすごく楽しそうだったわね、今はお兄ちゃんの背中の上でグッスリと寝入っちゃってるけど!)
「シア、姉さん……」
「あれ?ノア起きたの? 何?」
「Zzz~」
なんだ寝言か、ビックリさせないでよね。
「姉さん……今日…はありがとう」
なっ! ///
何よもう! 本当にいつもいつも生意気なんだから!
そう言うことはちゃんと直接言わなきゃダメでしょ!
でもまぁ…ふふ
「どういたしまして」
最後のシアの呟きは、誰にも聞こえることなく雄大なセンバートの山に消えていった。




