女の強かさを忘れてたよ
どうもお餅サンドです。
実は前から投稿していた別アカウントがあったんだけど、ログインのパス忘れちゃって新しくアカ作り直しました。◀️◀️くそアホ
この小説はアルファポリス様に掲載中のものを、少しだけ改投したものになります。
先が気になる方はぜひそちらへ!
誤字が多いけどそこはまあ、察してください
「それにしても、兄さんはモテモテだったね」
「ふ、言っておくけど、ノアもそのうち笑ってられなくなるからね? うちの両親からして男前になるのは当然だし、頭も良いんだから」
おぉ、兄さんは顔も良くて性格とかも母さんに似ておっとりと穏やかだからモテモテなんだろうが、それでも兄さんそう言われると怖くなってくるな。
俺はまったりしたいのであってモテたいわけじゃない。
まあモテ無さすぎるのも嫌だけどさ?
今は子供なんだし楽しみたいんだ!
「ふふふ、でも、ノアが女性に振り回される所とかなんかイメージできないや!」
(おい!)
なんで俺が振り回させる前提で話してるのか
いや、これは間違いだな。
世の中のいかなる男も恋愛をすれば女に振り回されるものか。
俺だって前世でも恋愛はしてたからな。 この事実だけは異世界でも変わらないらしい。
惚れたら負けだなこりゃ。
ーー
ーーー
ーーーー
「いらっしゃい! あら?ダリル様とノアール様じゃないかい!どうぞどうぞ!」
カランカラン! と入店音がなる扉を開けて食堂に入る。
中は人が多く賑わっててワイワイしてて、なんだか前世のお昼の牛丼屋を思い出すな。
すると、女将さんがなんの躊躇もなく俺の正体を言い当ててきた。
やっぱりもうみんな知ってるんだな、さすがは田舎の情報力というところか。
「皆さん知っているみたいですけど、改めまして、ノアール・センバートです。 よろしくお願いします。」
「あらあら、随分としっかりしてるじゃないか、2年前にシア様が挨拶に来た時はもっと緊張してたんだがねぇ」
ニコニコな笑顔でそんな極秘情報をくれる女将さん!
俺、女将さんに一生ついて行きやす!
ふふふ、これはいいことを聞いたな!
ありがとうおばちゃん!
これでいざとなったら姉さんにやり返せるよ!
ただ、俺がしっかり者だと認識されると厄介だから、そこは正しておかなきゃな。
「ふふ、最初の挨拶くらいきちんとしておかないと、ダメ息子だと思われるでしょ?」
「おやおや、これは食えない坊ちゃんだ!ワッハッハ!」
「ふふふ、まあね」
お、このジョークが受けたのは今日初めてだな。
このおばちゃんはいい人みたいだ。
「お昼を食べに来たんだよ、なにかおすすめはないですか?」
「それはありがたい!ありがとうございますダリル様、ここ最近はピザがもう人気で人気で。
皆色んな具のピザを開発してるんでよ!」
お、いい感じに広まってるみたいだな
実はつい先日、ここマール食堂のマールおばちゃんと仲のいいメルーに頼んで、屋敷で出るピザのレシピを教えてもらったんだ。
この国は今のところ、平和で食料危機とかも起きてないらしいので、食文化が生まれ、そして広まるチャンスはいくらでもあると思ってたんだよな!
それはつまり、儲けも、多くなる可能性が高いと言う証拠だ。
「そういえばピザはノアール様の発明だったわね!おかげさまで最近は儲かってるよ!」
「ふふ、どうも。 今は俺が思いつかないトッピングを誰かが考えつくのを楽しみにしてる所だね!」
「あら、さすがは貴族様って訳ね?そうえばノルヴェスがこの前きて、「ぜひ王都で広める」って言ってたけど、あれもノアール様の差し金なのかい?」
「まぁ、そうなるのかな? この前ノルヴェスが屋敷に来た時に聞いたよ、別に隠すことでもないから許可しといた」
ノルヴェスはいつも行商の最初と最後にウチに寄って挨拶してくからね
めちゃくちゃ焦りながらピザの事を問い詰められた時は焦った焦った!
あのギリとした商売人ったら顔が近すぎてファイヤーボールをお見舞いしてやろうかと思ったくらいだ。
「ノア、あれを小金稼ぎに利用するつもりだね?」
「あ、バレた? だってあんな簡単な料理、見ただけで作り方なんか想像できちゃうよでしょ? それならピザ発祥の地として宣伝してもらった方が、センバート家のため、領のためになるってもんさ」
「ノアにも使用料が何%か入ってくるんだろ?」
ちょっと兄さん、それは言わない約束でしょ。
「……ふふ、まぁね」
ま、この恩恵が出てくるのは何年もしてからだから、その時は兄さんも本腰入れて家の仕事をしてるだろう! 頑張れ兄さん!
ーーーーーー
「ねぇ坊ちゃん、何か新しい料理はなんかないのかい?」
「はぁ、ちょっとお母さん!メルーさんからピザのレシピ教えてもらったのつい最近じゃない!そんなすぐに思いつかないでしょ! あ、私はこのマールの娘のシドリーです。 母がごめんなさい」
マールさんの質問にさすがの俺もちょっと呆れる。
まだ儲けるつもりだよこのおばちゃん!
なんて思ってると、謝ってきたのはシア姉さんよりも1個か2個年上だろうと思うこの食堂の看板娘のシドリーだ。
「ふふ、別に気にしてないよ? てか色々と考えはあるんだけどね、でも、うちで色々試してからじゃないとだめかな。 それよりおばさんまだ稼ぐきなの?」
さっきピザで儲けてるって言ってなかったか?
どんだけ儲けたいんだ。
俺は呆れ気味にそう言う。
「稼げる時に稼ぐ! この先何があるかなんてわかんないからね!違うかい?」
「う、その通りだね」
ふふふ、正論で返されたな。
「ま、教えてくれるなら今は待っとくしかなさそうね!」
「ふふ、まぁ気長に待っててよ」
「あぁ!期待して待っとくよ!」
はぁ、完全にのせられたな。
世界が変われど、女性のしたたかさはどこも同じみたいだな! 気づいたら言いくるめられてるよ
あ~怖い怖い
「ねぇ兄さん、もうじき小麦は収穫だよね?」
「?うん、そうなるね、ノアもここに来る前に見たとおり、もういつ収穫しても大丈夫なくらい実ってたでしょ?」
「前から気になってたんだけど、なんで一大生産してる小麦が春頃の収穫なのに、収穫祭は秋にやるの?」
これ、前から疑問だっただよね
「ふふふ、僕も昔同じことを疑問に思って母さんに聞いてみたことがあるよ、収穫祭は昔からあるお祭りだから詳しくは分からないんだけどね? 昔は小麦って庶民の口にはなかなか入らない高価なものだったんだ、だから民衆は秋になるライ麦なんかを食べていたそうだよ」
さすが兄さん!
俺の突飛な質問にも的確に答えてくれやがる!
てか本当に博識だなこの人は。
「なるほどライ麦か、確かセンバート領でもちょっとだけ栽培してたよね?」
「あぁ、お酒の減量になるんだよ」
ライ麦の酒?
それを聞くとまず思いつくのはライ・ウイスキーなんだけど
でもウイスキーってまだなかったよな?
そんな俺の疑問はよそに、兄さんはさっきの補足説明をしてくれる。
「それと、ここセンバートでは果樹のお手入れをすることで色々な果物が取れるようになってるけど、昔は野山に生えてたものを勝手に取って食べてたからね、秋になるものが多かったんだってさ!」
「はぁ~、言われてみれば納得出来るかも、俺はてっきり冬は作物が出来なくて秋の蓄えで過酷な冬を乗り越えるから、秋の収穫を祝ってたのかと思ってたけど。」
「どうだろう、それも理由の一つにあるんじゃないかな?色んな理由があって秋にやるんだと思うよ? 」
この疑問の答えは多分もう誰も分からないんだろうな。
でも、こうして兄弟でひとつの事に対して議論するのはたのしいな!
また今度、違うお題で話してみたい。
ーー
ーーー
ーーーー
俺たちは腹を満たした後、町を散策してから帰る時間になり、今は家族とも合流して屋敷への帰り道。
畑とかじっくり見たりしたかったんだけど、これからはいつでも、空間魔法で来れるからいいか
なんて思う。
このザ!田舎!って感じの屋敷へ繋がる一本道を歩いてると、なんだか心が癒されるな。
「ノア、町は楽しかったかい?」
「うん!ここはいい町だね、みんないい笑顔だったよ!」
「そーね!そうなるようにデイリスが頑張ってるのよ?」
そう言いつつも、ドヤ顔で胸を張ってる母さんって可愛いよね。
4人の母親にしてこの子供が抜け切ってない感じがさ。
でも、まあ母さんの言うとうりだと思う。
冒険者だった父さんたちにとって領地の運営なんて慣れないものだったに決まってる。
なのに街の人達が皆父さんと母さんに感謝してたからな。
中には、俺にまでお礼を言ってくる領民も居たくらいだ。
俺の両親は思ってたよりもすごい人たちで、本当に尊敬できる人だよ。
「それは…本当にすごいね」
そんな会話を聞いた父さんは、照れてるのかなんの反応もなしに歩いてる。
ただ、父さんと腕を組む母さんがギュ!と組む力を強めたことからも、照れてるのは間違いないらしいな。
ふふふ、案外可愛い父さんだ。
「ノアは町で何か買ったの?」
「うん、娯楽の玩具作って稼ぎたいから木材を買ったし、雑貨屋で凄いソースを買えたよ! また新しい料理ができそうだね!」
「本当に?やったぁ!帰ったらすぐに作りなさいよ!」
はぁ、その気満々だったからいいんだ…良いんだよ?
だけど、なぜこの姉はそんなに上から目線物を言えるのか。
「そうね、ピザも美味しかったし、そうしてもらいましょう!」
は? なぜそうなる?
「え、今日はもう疲れてるんだけど」
俺はこの世界では絶対働かんぞ! そーゆーのは好きな時にやるから楽しいんだ!
「そんなんでどーすんのよ!男でしょ!」
「まだ5歳のね! 」
姉さんなんか、そこらの男より体力あるんだから一緒にしないで欲しいよ
「ノア、女性にそんなことを言ってはダメよ?声に出てたわ」
えっ?まずい、つい声に出してしまった…
「ノーアー…… 何が男女よっ!!」
「そんなこと言ってないよ!」
「待ちなさーいっ!」
「くそー! 兄さん、さっきの借りをここで返してー!」
「ノア、世の中には超えちゃいけないラインがあるんだよ、それが今だ!」
な!この役立たず!
「クソーーーーーーー! 助けなければよかったァーーーーーーーー!」
「悪いのはアンタの軽口でしょうが!待ちなさい!」
頭にコブを作りながらも、俺たちは楽しく屋敷に戻るのだった…
(クッソダリル兄さんめ、恩を仇で返すとはこの事だ! 絶対に仕返ししてやる!)
ーー
ーーー
ーーーー
ーー翌日ーー
「よし、それでいいよ!後は茹でるだけだね!」
「へー、坊っちゃんよくこんなの思いたな!」
まぁ、俺が考えたんじゃないんだけどね。
ところで今更だけど、俺は今パスタを作ってる。
昨日町へ行って改めて思ったことなんだけど、食事が充実して無さすぎるんだ!
ある程度平和で食料に余裕があると、どうしても求めてしまうのはクオリティ、味だ!
特に俺は、現代の数々の調味料や食品添加物を使った料理の味に慣れた現代人の感覚が残ってるから、どうしても味を求めちゃうのは仕方がないと思う。
なので、昨日のマール食堂での約束もあるし、ピザと同じように汎用性が高く、この領地に大量にある小麦粉を使った主食を考えてたら、これになった
と言っても、『小麦粉』『オリーブオイル』『塩』『卵』を混ぜて、切って茹でるだけの超簡単料理なんだけどね。
「ほれ、麺はこんくらいでいいのか?」
「うん! 後は、トマトのミートソースを乗っければ完成だよ!」
「おう!じゃあこれで完成だな!早速試食するか!」
「うん、早くしないと匂いを嗅ぎつけた猛獣に取られそうだし」
「ハッハッハ!確かにそりゃ言えてるな!」
「「頂きます!」」
俺たちは、試作の平麺ミートスパゲティ?を頬張る!
「これはいいな坊ちゃん!つるんと喉を通っていくから夏の食欲がない時なんかでもこれなら全然食べれる!」
「上出来だね! それに今回は平麺だけど、もっと細くしてもいいし、色々試せるよ!」
「なるほどな、確かにこれならピザみたいに乗っける具材を変えるだけでもいけるし、具材に合わせた麺の形とかも研究する価値がある! これは早急にメルーと相談がいるな」
ふふ、向こうには色んな形のパスタがあったよね?
スパゲティにフィットチーネ、マカロニとかペンネとか、あとはカールとかもあったな。
ふふふ、パスタの今後はダン夫婦に頑張ってもらうしかないな!
「坊ちゃんには、またいいものを教えてもらったな いったいどうやって思いついてるんだい?」
「どうなんだろうね、何となくこんなものがあったら良いなぁ、みたいな?」
(大嘘)
「クァー、そいつが難しいんだけどな!まぁまた何か思いついたらいつでも来な!」
「うん!」
ピザにパスタ、これで料理の方は順調に普及できそうだな!
今後も少しずつレパートリーを増やしていけば、現代の味を知ってる俺でも満足出来る料理がたくさん出てくると思う。
ダンたちもただ真似してるだけじゃなくて、日々色々考えて改良とかしてるし、たまに新作料理も作ってくるからな。
この世界の料理人も捨てたもんじゃない!
「ダンのあの張り切りようだと当分は食事に飽きることはないと思うし、次は買ってきた木材での玩具作りだな!」




