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夏場の剣の稽古

どうもお餅サンドです。


実は前から投稿していた別アカウントがあったんだけど、ログインのパス忘れちゃって新しくアカ作り直しました。◀️◀️くそアホ


この小説はアルファポリス様に掲載中のものを、少しだけ改投したものになります。

先が気になる方はぜひそちらへ!


誤字が多いけどそこはまあ、察してください



コンコン


「おはようございます!ノアール様!」


「おはようコーティー」


「今日はお早いお目覚めですね」


「まぁ、朝食もまだなのに外であんだけ騒がれたらね…」


清々しい天気の中、今日もいつものようにコーティーに起こされる…という訳には行かなかった。


センバート家では、子供が5歳になると、デイリス父さんから剣の稽古を受ける決まりになってる。


センバート家は、父さんが20年前に西の隣国と起きた戦争で大活躍したおかげで叙爵した男爵家なんだけど、陛下に賜った領地は見ての通りのド田舎で、来た当初は相当な苦労をしたらしい


特に苦労したのが周囲の山々に#跋扈__ばっこ__#していた魔獣や猛獣の討伐だった。



そう、この世界に入るんだよね。魔獣とか危険な生物が沢山さ


そんなこともあって、何かあった時に自分の身は自分で守れるようにするため、剣の稽古を受ける決まりなんだ。


俺の場合は魔法でいいと思うんだけど。父さんも剣が好きで教えるのも楽しみみたいなんだよね。




「おはよう」


「「おはよ!」」


いつも通り、俺が起きてくるのは一番最後だ。


魔法を使い切るのって本当に大変だからな。酷い貧血みたいにダルすぎてやばい


ダイニングのいつもの席に着きつつ


「3人は外?」


と聞く。


「そうだよ、今日は稽古の日だからシアが張り切っちゃってね。」


「あの子も女の子なんだから、出来ればもう少し落ち着いて欲しいんだけど、本人があんなに楽しそうにしてるからねぇ~!」


朝食後にすぐにでも外に出れる動きやすそうな格好をしたデイリス父さんが言うには、運動大好きシア姉さんが、いつもの如くエルーナ姉さんとダリル兄さんを連れ回してるらしい


元気が有り余りすぎてるだろ。

 

朝っぱらから庭が騒がしかったのもそれが理由だ。


あの優しい母さんも苦笑いだよ。


まぁ、エルーナ姉さんがお淑やかだから嫌でも比べちゃうのかな?


シア姉さんはたしかに落ち着きがないし大雑把で、エルーナ姉さん達に可愛がられてるからかわがままだしな



ーー

ーーー

ーーーー



「ご馳走様! ねぇお父さん!早く行こ!行こ!」


「あぁ、お茶を一杯飲んだら行くよ。」


ふふ、お茶一杯も待ちきれないなんてな…


季節は夏、朝はまだまだ涼しいしカラッと乾燥した気候なので、日本の夏とは比べ物にならないくらい快適ではあるが、暑いものは暑い。


今日は母さんと一緒にみんなの稽古を見学することになってるんだ


みんなに遅れて母さんと庭のウッドデッキへ行き、幌を利用したパラソルのようなものが付いたテーブルの所へ腰を下ろした。



「それにしても、この日除けは本当に良いわね、よくこんなもの思いついたわねノア」


「ん?まぁ、俺も外でゴロゴロする時に日除けが無いと暑いし焼けるからね」


そう、実はこのパラソルは俺の考案だ

春先とかなら良いけど、真夏に直射日光を受けながら昼寝なんてとんでもない!


なので、昔幌馬車で使っていた綿性の生地でできた幌を木に貼り付ける形のパラソルにした。


図面を書いて、父さんに渡したら、3日くらいでできあがってきたよ。、


町の木工店に依頼したみたいだね、町に行く機会があれば是非立ち寄ろう。



「ノアは魔法が好きだったり料理を分かってたり、こんな日除けまで考えたり、剣とは無縁の生活なのね」


横にいるしっかり者のメイド、レミリアに入れてもらった紅茶を飲みながら、母さんがそう言ってきた


ふふ、俺ってそんな評価だったんだね。


他人からの評価を知れるのって楽しいな。


「まぁ、戦いとかってあんまり好きじゃないし、知恵を絞り出すのって楽しいからさ、剣の稽古は遠慮したいよ」


「ふふ、それはいい事ね! 自分で色々考えるのは成長にも繋がるから積極的にやったら良いわ! 私もできる限り応援はしてあげれるしね?」


お、おぉ、まあ実際は知恵ではなく知識があるだけなんだけど、魔法に関しては知恵で色々出来そうだし。


そう言いながら母さんが頭を撫でてくれるのが……うん、なんか嬉しいな。


「でも、5歳になったら剣のお稽古はしないとダメよ? ここらにはあまりいなくなっちゃったけど、強力な魔獣も沢山いるしいざとなったら剣で戦わなくちゃえけない事もあるからね」


「うん、まぁ嫌だけど頑張るよ」


俺がそう言うと、母さんは満足気に頷きながら微笑んだ


「でもノア?あなたが裏庭で魔法の練習をしてるのはみたことがあるけど、一体いくつの魔法適正があるのかしら?」


「え、バレてた?!」


「うふふ、まあ私は元魔法使いだからねぇ~感知は得意なのよ」


それはつまり、魔法版地獄耳ということか?


そこはさすがというべきなのかな


「そうなんだ。で、魔法適正の話だったね… 」


俺は神様に転生させられた影響で全適正があるし、個人魔法は空間魔法という、所謂チートだ。


習った限りだと、一般人は適正一個に少ない魔力で、生活ではほとんど使わない。


魔法使いになっても魔力量が多く攻撃魔法なんかは使えるようになるけど、適性は一個、たまに二個持ちがいる程度らしい。


魔法使いのさらに上に魔導士というのがいるが、そいつらの中には二属性、三属性をあやつるものたちもいるそうだ。


そんな国の頂点よりも適性があるってどう考えてもやばいことだ。


ただ、家族にくらいは知られても良いけどね。どうせ日常でも使っちゃうし


「まあ一応さ、初級の魔法入門書にあった詠唱でやったら、錬金以外は全部できたよ

…」


「なっ!本当なの?」


こういう時は説明よりも見せた方が早い。


土魔法で適当にスプーンを作り、火の玉と水のたま出して俺の頭の上をクルクル回す。


出したばっかのスプーンも、無属性のサイコキネシスで回らせて、風は見せにくいからウィンドカッターで雑草をきって、あとは氷の塊と電気の塊も浮かべる。


「こ、これは凄いわね。周りに知られたら間違いなく大騒ぎになる。」


「ふふ、それは困るんだけど」


「まあそう言うわよね。なら極力人前では使う魔法を固定しておいた方がいいいわね」


「うん、そうさせてもらうよ。」


「うふふふ、えぇ」


なんかわりとあっさりと受け入れられたな。


良かった良かった。


それにしてもテスナ母さんと2人きりで長々と話すのは久しぶりだけど、やっぱりなんでか癒されるんだよなぁ~ 仕草? 話す速度? 場の雰囲気?


いや、母さんの場合全部なんだろうな。


やっぱりすげーやうちの家族は。



そんなことを思いつつ、4人が稽古する庭へ目を向けると、ダリル兄さんがシア姉さんと模擬戦をしているところだった



それにしても、シア姉さんの身体能力はエグイな!


兄さんは盾を使った巧みな攻撃をしているんだけど、ことごとく姉さんに躱されるかいなされてる。


ダリル兄さんはどちらかと言えば頭を使うタイプだけど、それでも3年間父さんの稽古を受けて、動きも早くて的確に見えるしバランスのとれた戦闘をしてるけど、シア姉さんはそれに対応してるからな。


いつもは傍若無人な姉さんだけど、あの動きはカッコイイと思ってしまう。



結局この勝負は両者とも一歩も引かずに引き分けに終わった。


ちなみにエルーナ姉さんは父さんと模擬戦をしてたが、エルーナ姉さんの武器はあのスラッとした体から放たれる強力な攻撃だ!


木剣が父さんに躱されて地面に当たった時に、地面がちょっとえぐれていたのを思うと、一撃一撃に相当なパワーが込められてるんだと思う


てか木剣も良く耐えてるよなあれ…


うちの兄弟が強すぎるんだが…


さっきはシア姉さんと引き分けたダリル兄さんも、剣だけじゃなくて魔法も組みあわせた戦闘なら多分シア姉さんは負けるだろうな。


さすがはデイリス父さんの子供たちというか、やっぱり鷹の子は鷹なんだろうね。





ーー

ーーー

ーーーー




稽古から少したったある日、夏の日差しに触発された虫たちが雑多な歌声をあげる中、センバート邸に御用商人のノルヴェスが商隊を引連れて行商に来た。


町に行く前にうちの屋敷に寄っていくんだよ


センバートは田舎だし農業ばかりだから、塩とかの生活必需品だったり嗜好品とか加工物とかは外に頼るしかないからね。


必要なものは前回来た時に頼んであって、あとはノルヴェスが売れそうだと思ったものを持ってくる


ノルヴェスが来たとゆう報告を受けて俺はすぐに降りてきたが、今は商会の人が荷卸をしているようでノルヴェスは父さんたちと話していた



(やっと来たか、 間に合ってよかったよ。)


「ノア、ノルヴェスが来たんですって? 」


「うん、今父さんたちと話してるみたい」


珍しく急いで階段を降りてきたのはエルーナ姉さんだ。


「そう、間に合ってよかったはね。 それで、例のブツはどう?」


「まだ確認は取れてないけど、ノルヴェスの事だし大丈夫だと思うよ?」


「まぁそうね、とゆうか、そうじゃないと困るからね」



そう、実は前回ノルヴェスがうちに来た時に、父さんと母さんには内緒で、子供の俺たち4人はお小遣いを出し合って、とある高級品をお願いしていた


その事は、既にうちのメイド長のネモや、しっかり者のレミリアとコーティーには教えてある!


ちなみにド天然娘のアリスと、よくボーッとしてるタミアにはこのことは伝えてない


バレたら困るからな!



そんなこんなで待っていると、父さんたちとの話し合いが終わったノルヴェスが、こちらに気づいて近寄ってきた


「ノルヴェス、元気だった?」


「これはエルーナお嬢様、ノアール様坊、お久しぶりですね! 私は元気にやらせていただいておりますよ!」


そんな軽快な挨拶をしてくるノルヴェスは、黒が強いグレーの髪に優しそうな顔のクセに笑顔が作り笑いといったザ・商人 て感じの奴だ。


「前回依頼を受けた例のブツ、金額分しっかりと用意させてもらいました! さっきミカが厨房へ持っていきましたよ」


「あら、それは良かったは」


「本当だよ、いつもはもう少し早く来るのに、今回は遅かったね」


「ええ、旅の道中で商隊の馬車が一台故障しましてね、直してたので時間がかかったんですよ。 でも、例の日までに間に合ってほっとしてますよ、商人は信用で成り立ってますからね」


だそうだ。


その後も世間話をして、俺たちは早速厨房へ向かった



ーーーー


「ダン、メルー、ネモ!」


「お、嬢ちゃんに坊ちゃん、お前らの言ってた例のブツ、無事に受け取ったぞ!」


「うん、今ノルヴェスに聞いてきた」


「それで、量はどれくらいになったのかしら」



エルーナ姉さんがそう聞くと、ダンが1リットルくらい入りそうな小坪の蓋を開けて、中身を見せてくれた


そこには、ツボの半分くらいまで入った、少し茶色っぽい粉のようなものが、ほのかに甘い匂いを漂わせている。



「(ペロッ) うん、ちゃんと甘いわね、それでノア? これだけの量があるけど、ノアが言っていたものを作るのには足りそうなの?」


「ふふ、これだよこれ! やっと届いたね。 うん!これだけあれば十分足りるよ!」


「そう、それは良かったわ! 結構な額を出したものね」


俺はその粉の量を確認して、指に少しつけてペロッと舐めた


(うん、甘い)



そう、俺たち4人がお小遣いを出し合って購入した例のブツとは、この時代かなりの高級品であった砂糖である!



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